1 / 22
1章 成り立ち
1.出会い
しおりを挟む
私は死んだ。死を選んだ。人々はいうだろう。可哀想に…。と。でも私自身そんな事は気にしてない。運が悪かっただけだ。可哀想というなら生きている間になんとかしてほしかった。でももうどうでもいい。生きる事に疲れた。退屈だった。ただそれだけ。
そう思っていたのに私は死んだはずなのに、次に目を開けると「あの方」がいた。
「あの方」は言った。あの世の中は退屈だったか?と。
私は言った。退屈だったと。ここが私のいた世界とは全く異なる場所だとは理解していた。でももう本当にどうでもよかった。もう何も考えたくない。
そんな私を「あの方」は拾ってくれた。ここに居ればいいと。ここはここで退屈だぞ?それでもよかった。
この場所に名前はない。「あの方」が神様と名乗っているのも誰かが決めたわけではない。招待した人間たちがそろって「あの方」を神様といった。私も神様だと呼ぶだろう。
「あの方」に拾ってもらってずっと「あの方」の仕事を見ていた。「あの方」は気まぐれで死んだ人間の望みを聞き時には叶え、時にはそのまま転生させたりと自由に生活していた。この世界は食事を必要としない。水も。まずそれ自体が存在していなかった。地上からも持ってはこれない。「あの方」がここは退屈だという理由はすぐにわかった。娯楽も何もないこの世界はただ人間の生活を覗くだけの生活。それでも私はここに居たかった。人間は醜くすぐ裏切る。そんなことは起こらない。なぜならこの世界は「あの方」と私だけだったから。
でももう「あの方」はここに居ない。この場所は人間を見守る役が絶対に一人はいなければならない。逆に一人いればいいのだ。私は「あの方」の代理としてここの管理を任された代行者。ここの管理を任されてもう127年。「あの方」は私から「あの方」の記憶を全て奪った。顔も、声も、名前さえ憶えていない。
覚えているのは白と黒、綺麗に分かれた羽だけ。そう、羽。私にも授けられた。ここに居る以上羽つけなければいけない。唯一存在しているルール。羽は心の中を表す。基本、人間の羽の色は灰色みたいに白と黒が混ざっていてくすんでいると聞いた。私の羽は灰色より白っぽくて「あの方」はビックリした様子でこういった。
「白すぎる。そんな心の色は見たことねぇ、」
「そうなんですか、」
「あぁ、白は心の綺麗さを表し黒はいわゆる欲だ。バランスを取って初めて成立するもんだがお前は白すぎる。お前はいい人なんかじゃねぇ。欲の無い空っぽの人間だ。随分地上は暇だったと思うぜ。でも神様に向いているのはお前みたいな欲のねぇやつさ。」
これは予想だけど、私の羽を見た瞬間私に神様の役職を渡す気だったんじゃないかな。
でももう聞けない。顔も名前も覚えてない。人間の世界に降り立ってしまった。探すこともできない。でも私は信じてる。きっと帰ってきてくれる。そう信じて私はこの仕事を全うする。
そう思っていたのに私は死んだはずなのに、次に目を開けると「あの方」がいた。
「あの方」は言った。あの世の中は退屈だったか?と。
私は言った。退屈だったと。ここが私のいた世界とは全く異なる場所だとは理解していた。でももう本当にどうでもよかった。もう何も考えたくない。
そんな私を「あの方」は拾ってくれた。ここに居ればいいと。ここはここで退屈だぞ?それでもよかった。
この場所に名前はない。「あの方」が神様と名乗っているのも誰かが決めたわけではない。招待した人間たちがそろって「あの方」を神様といった。私も神様だと呼ぶだろう。
「あの方」に拾ってもらってずっと「あの方」の仕事を見ていた。「あの方」は気まぐれで死んだ人間の望みを聞き時には叶え、時にはそのまま転生させたりと自由に生活していた。この世界は食事を必要としない。水も。まずそれ自体が存在していなかった。地上からも持ってはこれない。「あの方」がここは退屈だという理由はすぐにわかった。娯楽も何もないこの世界はただ人間の生活を覗くだけの生活。それでも私はここに居たかった。人間は醜くすぐ裏切る。そんなことは起こらない。なぜならこの世界は「あの方」と私だけだったから。
でももう「あの方」はここに居ない。この場所は人間を見守る役が絶対に一人はいなければならない。逆に一人いればいいのだ。私は「あの方」の代理としてここの管理を任された代行者。ここの管理を任されてもう127年。「あの方」は私から「あの方」の記憶を全て奪った。顔も、声も、名前さえ憶えていない。
覚えているのは白と黒、綺麗に分かれた羽だけ。そう、羽。私にも授けられた。ここに居る以上羽つけなければいけない。唯一存在しているルール。羽は心の中を表す。基本、人間の羽の色は灰色みたいに白と黒が混ざっていてくすんでいると聞いた。私の羽は灰色より白っぽくて「あの方」はビックリした様子でこういった。
「白すぎる。そんな心の色は見たことねぇ、」
「そうなんですか、」
「あぁ、白は心の綺麗さを表し黒はいわゆる欲だ。バランスを取って初めて成立するもんだがお前は白すぎる。お前はいい人なんかじゃねぇ。欲の無い空っぽの人間だ。随分地上は暇だったと思うぜ。でも神様に向いているのはお前みたいな欲のねぇやつさ。」
これは予想だけど、私の羽を見た瞬間私に神様の役職を渡す気だったんじゃないかな。
でももう聞けない。顔も名前も覚えてない。人間の世界に降り立ってしまった。探すこともできない。でも私は信じてる。きっと帰ってきてくれる。そう信じて私はこの仕事を全うする。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから
gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる