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8.ざまぁみろ!この傲慢クソ王子!

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「現時点をもってエイダン・ドルーア王太子の継承権を剥奪します。」その一言で会場は凍り付く。

「お、お前!なんの権限があってそんな事を言ってるんだ!!父上早くこんな無礼なやつ追い出しましょう!!」

とうとうシャーロットの事を「お前」呼ばわりしたエイダン。それをみた国王は全てを諦め膝をつき頭を下げる。

「我が息子の無礼お詫び致します。剥奪の件。了解いたしました。このたびはお手数をおかけしてしまい本当に申し訳ございませんでした。」と。

周りはざわついた。当然の事。自分たちの国王が膝をつき謝罪したのだ。エイダンもそれを見てさっきの違和感を思い出す。ダンスを踊った後にシャーロットに話しかけていれば濡れ衣ではないと証言出来ていた。後悔してももう遅い。エイダンは全てを察して帝国の皇女の名を思い出した。「まさか…貴方はいえ、貴方様は…」ビエラはなんで急に「様」をつけるの?と首を傾げた。

「もう全てにおいて遅すぎます…。そうです。私は…私の名はシャーロット・オリビア。この意味が分かりますか?」

その名を聞いた貴族たち。きれいなドレスが汚れることを気にせず頭を下げる。エイダンはあまりの驚きで固まっていた。ビエラは頭が相当悪いのか理解していなかった。エイダンはビエラの頭を無理やり下げさせエイダンも頭を下げる。

「頭を上げてください。」ニコっと笑うそのお姿はまさに天使。

皇女と言えど剥奪の権限ぐらいはある。エイダンは全てを察して絶望してしまった。シャーロットは説明する。結婚するに値するかどうかを確かめるために身分を偽り試していた事。そしてこの事実は国王しか知らなかったことを。国王があんなに必死だったのも全てに納得がいく。それほどオリビア帝国の力はすごいのだ。

でも本当にエイダンはビエラを愛していたらしく、王太子ではなくなるけど結婚は出来るよとビエラに言った瞬間王太子じゃないなら貴方に興味ありません!!と即切り捨てるビエラ。悪女というにはバカすぎて無理な話だが次の標的は新たに王太子となる弟のマルクス王子だろう。

ビエラに罰は与えないつもりだったがシャーロットに濡れ衣を被せたことは立派な罪。侯爵家は潰さないが身分を落とし伯爵令嬢となった。王太子と結婚出来る家柄は侯爵以上。しかも今回の事もありビエラの貰い先は中々見つからないだろう。ビエラはエイダン同様に絶望した。こんな人目のあるところで行う予定ではなかったがその代わり罪を軽くしていた。

エイダンはやればできるのだ。王にはなれなくともやり直せる。ビエラも本当は追放レベルだが貴族の身分は置いといてあげた。これが今与えられる最善の罰だろう。

その話は瞬く間に広まり大きな事件となった。もう婚約者ではないシャーロットは早速次の王国に向かうことになる。シャーロットが与えた罰で少しでも信頼が回復するように願い旅立つ。そして自分自身を愛してくれる人に出会うための旅がまた始まる。どんなに口が悪くても隠したら勝ちなのよ!!【完】
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