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7.無自覚のクソ

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「父上…?どうしてシャーロット嬢に敬語なんか…」

動揺する息子…王太子。ビエラも何が起こっているのかわからない様子。それでも話続けるシャーロット。

「婚約破棄の件、了承しました。この話は無かったことにいたしましょう。これであなた達の望んでいた愛するものとの結婚が果たせるのです。謝るなら今のうちです。どうしますか…?」

「謝るとは?何の話だ!」

「王太子殿下は私と側近たち。ビエラ嬢はその男爵令嬢とパーティーを台無しにしてしまった謝罪です。」

王太子には心当たりがない様子。やっぱり無自覚クソだった。ビエラは必死にとぼける。

「もういいですわ。チャンスを上げたというのに…」

「チャンス…?」

シャーロットは怯えている令嬢に近づき聞いた。「本当のことを話してください。脅されて言わされたのでしょう?その問題は私が解決します。だから本当のことをはなしてください。」

任せてと言わんばかりの目。男爵令嬢は反抗したらどうなるのかが怖くて怖くて仕方がなかった。でもシャーロットの目を見てシャーロットを信じたくなった男爵令嬢は勇気を出して本当のことを話す。

「私はビエラ様に殴られそして言われました。言うことを聞いたらもう関わらないと…嘘の証言をしてしまい申し訳ありませんでした…」

ビエラは焦る。「これは誰か他の誰かの仕業ですわ!しかももう婚約者ではないのならこの国には関われないはずです!シャーロットさんはただの客人…部外者ですわ!」

シャーロットが本当に伯爵令嬢なら部外者かもしれない。しかし彼女は王国の主である帝国の皇女。部外者なわけが無い。

「哀れですね。そして王太子殿下。貴方はもっとひどい。早く本性を現しなさい。」その一言で王太子の側近たちが会場に入ってくる。

「無礼だぞ!お前たちがここに入ってきていいと思っているのか!!」

何も言わない側近たち。そしてシャーロットは言う。「私が許可したからいいのよ。」

「シャーロット嬢。さすがに調子に乗りすぎだ。俺はこの国の王になる男だぞ!!」やっと一人称が「俺」になってくれた。わかりやすい挑発にも乗ってくれるわかりやすい王太子。実に哀れである。

側近たちは証言した。王太子の業務を押し付けられ日々虐げられている事。シャーロット嬢をも見下しビエラ様と一緒にシャーロット様を嘲笑っている事。側近たちの震えながらの証言は信憑性がでる。

そしてシャーロットは告げた。

「現時点をもってエイダン・ドルーア王太子の継承権を剥奪します。」と
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