離縁宣言から始まるオリビアの下剋上

なつ

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もっと他にやり方は無かったのかと尋ねられオリビアは悲しそうに打ち明ける。

「お昼の儀式まで私は本当に洗脳されたままでしたわ。人々を洗脳してもなお思い出すことは無かった。ですが実りの雫が教えてくれたの。雫をそそぐ際に自分の本当の姿を…。その些細なきっかけで思い出すことが出来たものの気がついた時には時間があまりにも経ちすぎていましたわ。」

ハロルドは歴代最高の雫の量だと言われていたが今までもオリビアは聖杯に触れていた。2人分の雫なのだから歴代最高と呼ばれるのは当然である。

気がついた時には民は自分の力で洗脳され魔女狩りのように人々が捕らえられている。少しでも協力者を集めるために人通りの少ない牢を選び訪れた。

オリビアを恐れ協力しないと言われても傷つけられないように逃がすつもりだった。しかしいざ牢へ訪れると中から何が起こったのかを冷静に整理する声が聞こえる。

中心で話を進めている人ならば力になってくれるかもしれない。そんな希望を抱き牢の扉を開けた。

時間がない中今後の方針が決まる。幸いにもガルトを含めた3人は帝都民で2人は地方の人。それぞれ帝都や故郷に散らばり密かに洗脳を解くことを優先することになった。

地方民は農家が多く帝都にまで足を運べていない人も多い。ということは地方に行けば行くほど洗脳の影響を受けないということ。

未来の皇后と平民ではもう会えるタイミングはないだろう。

最後にガルドは尋ねる。

「洗脳が解けたのが今日ならば懐妊したというのは本当なんですよね?御体が心配です。」

「お気になさらず…。手は打っています。あなた方は自分の安全を優先してください。今後私がガルドさん達に接触出来る機会はもうないでしょう。ご武運を…」

そうしてオリビアと5人は散らばった。

懐妊したことになっているオリビアはもちろん先に手を打っていた。これから数々の行動で水晶瞳の秘密が帝国民や貴族にバレるのは時間の問題。水晶瞳を持つ子供が居れば国を乗っ取ろうと誘拐や暴動が起きる可能がある。そんな場合ではないし何よりオリビア自身がフレデリックを拒絶してしまっている。

危ない橋だがフレデリックには寝室に入れば交わったと勘違いするようにフレデリック自身に力を使い診断する医師にも10回目の診断で懐妊したと誤診するように力を使わせてもらった。

念の為に根回ししていたがそのおかげでハロルドは上機嫌だ。お昼のこともあわさってさぞかし油断していることだろう。そこが勝ち筋だと思ってもいい。

オリビアがどれだけ情報を集めてもリアムが今どこにいるのかは全く掴めない。ティナ・フィータムは崖下に転落し死亡したとされていてもちろんフレデリックとの子供も死亡扱い。

以前までフレデリックの子供が水晶瞳では無いと証明するはずだったが洗脳の力を大人数がその身で体験した。

未知の力としてオリビアは怖がられるだろう。目を合して話してくれる人もいないのかもしれない。だがこれで、世論は確実に動かせる。

あとはハロルドを倒すだけ。

帝都でリアムとオリビアが挨拶を交わした時にリアムは「次にお会いするのは"実りの雫"の夜会ですね。」と言っていた。

夜会は3日間ある。3日間のうちいつ仕掛けるのか分からない以上常に対応できるように準備する必要がある。城に戻り夜会の準備をしながらある人物の事を思い出した。バレッタ・ミッチェルの事を。

オリビアは洗脳を行っていない。ハロルド自身が洗脳をかけるはずもない。ハロルドが身を預かると言って囚われているはず。何を企み閉じ込めているのかわからないがリアムが消える直前に一番近くいた令嬢。オリビアは少しでもリアムの行動を知りたかった。

令嬢を閉じ込めているとしたら少し離れたところにある塔のような建物に閉じ込められているだろう。

オリビアは隙を空いてその塔を訪れた。

中から開けられないように板でとめられていて扉はいとも簡単に開けることが出来た。少しホコリっぽく暗い室内の中から声が聞こえる。

「誰か来たの…?」

か細い声で聞こえた女性の声。驚かさないようにゆっくり近づく。

「ミッチェル嬢…?」

「きゃっ!誰なの!」

「落ち着いてください。私はオリビア・ウォールデン…学園で何回か話したオリビアです。」

「ウォールデン嬢…?どうして…ここに…」

怯える様子をみて洗脳されずに閉じ込められているのが分かる。ベットなどは用意されているが生活環境が酷い。ご飯もあまり貰えて無い様子で痩せていた。

「時間がありません。食事は後で持って来ますわ。しかし陛下が何を企んでいるか分からない以上下手に居場所も移す訳にも行きません。もうしばらく待っていてください。」

「私がこんな状態なのをパパが許すわけないわっ!一体どうなってるのよ…リアム様も消えちゃったしずっとこんな生活が続くの…?」

震える手をオリビアは優しく包む。

「あなたのことは必ず助けますわ。だから私を信じてください。」

「ウォールデン嬢…。私学園で色々な嫌がらせをしたのにどうして助けてくれるのですか…。」

「嫌がらせもなにも小さきことであまり気にしていませんでしたわ。だからお気になさらず…」

当時のオリビアは感情を欠落しており少し皮肉を言っていたレベルでは虐められていたと感じていない。学年が違うため直接的な攻撃もなかった。

ほかの令嬢からすれば虐められているオリビアとなっていたが当の本人がその感情を持ち合わせていない。
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