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オリビアは自身の執務室に帰った。姿を消しハロルドの後をついていって潜入することもできたがもし失敗してしまった時に洗脳が解けていることや能力を使えることすべてがばれてしまう。危険はおかせなかった。思い通りにいかなければ洗脳でどうにかするだろう。話す内容も気になって仕方がなかったが相手は同じ能力を使える皇帝。危険を侵してまで潜入するメリットが感じられなかった。
そしてハロルドはドスドスとフレデリックのいる執務室に近づく。ノックもせずに扉をバンッと大きな音が鳴るほど強く開け同時に「フレデリックっ!!!」と叫んだ。ハロルドが部屋に連れてきたのはたった2名だけ。
フレデリックは扉の大きな音に驚きもせずハロルドの方に目を向けか細い声で「父上…。」と声を出した程度。それだけ今の現状にフレデリックは焦り憔悴していた。
ハロルドはそんなフレデリックをみて鼻で笑う。
「おい。扉から少し離れたところで待機しておれ。一切人を近づかせるな。」と連れてきた2名に指示を出し何も言わずに2名は部屋から出て行く。その厳選された2名はハロルドがまだ代償に気が付いていないときに洗脳で服従させられた2名。洗脳という能力を信用しているからこそ洗脳している護衛2名を一番に信用している。どこに行っても2名を自分から離すことはない。
「何か申すことはあるか?」と座っているフレデリックを見下ろすハロルド。フレデリックは悔しそうに声をひねり出す。
「私はずっとあの男爵家の令嬢との結婚が嫌で嫌でたまりませんでした。父上の命令とはいえなんであんな人形みたいな女と…と」
昔、フレデリックは結婚が嫌だとハロルドに進言した。そのときに感じ取ったハロルドの強固な決意を目のあたりにし、それ以降は諦めていたという。結婚すれば何か変わると信じたものの変わらぬ感情。仕事も淡々とこなすオリビアが鬱陶しくなり隠れて女性と関係を持つことに。違う令嬢と関係が続ければ続くほどオリビアと比べてしまっていた。なぜあの女は笑わないのだろうと。何を言っても全て受け入れ愛され続けることを気持ちが悪いと感じた。
ティナに誘われ夜を共にし、たった一度で身ごもった時フレデリックは感じた。離縁するチャンスだと。
「父上はあの女との結婚を神託だ占いだとおっしゃられていましたよね。神なんて存在していないと思ってましたが初めて信じましたよ。これが運命なのかって。」
「その運命とやらで離縁しようと?」
「はい。産まれる直前には父上も長期の旅に出るタイミングでしたので私は離縁を決意したのです。父上は結婚だけを強いました。一度妃にしてやったからもういいんではないかと!そう思いましてね。父上に従っていましたが俺は唯一の息子。自由にしたって俺は皇帝になれる!だったら結婚相手も俺によりふさわしい女を選べばいいんだってそう思ったのですよ!!」
ティナに裏切られたショックが原因なのか今まで逆らってこなかった分を解消するように荒い口調で告げる。そんなフレデリックにイラついたのかハロルドは「だまれっ!」と目を光らせて怒鳴った。
目があったフレデリックは急に言葉が出なくなり口を押さえ焦る。
「もういいわい。ワシに怒鳴るとは大きくなったものじゃのぉ。その女狐に騙され混乱しているのだな。そうだろう?たった一晩で子ができるわけがない。お前は騙されたんじゃ。騙されて気がついただろう?やはりお前を愛してくれるのはオリビアだけなのだと。オリビアへの愛情が芽生えてお前は愛妾や他の妃も娶らずオリビアだけを愛すのだ。」
「オリビアだけ…を?」
「あぁ。そうだ。そしてオリビアとの子を産め。そうすればすべてが元通りじゃ。国民には正直に騙されたと説明しなさい。フィータム家が悪いと。早急に子供を産み男児が産まれればお前が次の皇帝になるのだ。それまではおとなしくワシのいう事だけ聞いておればよい。ワシの前で猫を被ってたように全員の前でも良き皇太子となれ。そして嫌いで仕方なかったオリビアの事を今日から愛せるようになるだろう。」
ずっと赤く光る瞳を見ていたフレデリックはハロルドの思惑通り洗脳にかかった。
「そうです…よね。オリビア…ずっと私だけを愛してくれていたのに…私やっと気がつきました。父上ありがとうございます!混乱していたとはいえ父上に失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした。さっそくオリビアに会ってきます!」
さっきまでの暗い表所が嘘のように笑顔でオリビアに会いに行くとハロルドに伝えたフレデリック。洗脳は成功した。
「あぁ。だが先に騙されていたことの説明をしてからだのう。いってまいれ。」
「はい!ではオリビアに愛を伝えるためにあのだましてきた令嬢を追い出してきましょう。」
そうしてフレデリックはティナの部屋へと向かった。ノックもなしにバンッと開けた扉の音はまるでフレデリックとティナがオリビアの部屋に押し入った時のような音だった。
そしてハロルドはドスドスとフレデリックのいる執務室に近づく。ノックもせずに扉をバンッと大きな音が鳴るほど強く開け同時に「フレデリックっ!!!」と叫んだ。ハロルドが部屋に連れてきたのはたった2名だけ。
フレデリックは扉の大きな音に驚きもせずハロルドの方に目を向けか細い声で「父上…。」と声を出した程度。それだけ今の現状にフレデリックは焦り憔悴していた。
ハロルドはそんなフレデリックをみて鼻で笑う。
「おい。扉から少し離れたところで待機しておれ。一切人を近づかせるな。」と連れてきた2名に指示を出し何も言わずに2名は部屋から出て行く。その厳選された2名はハロルドがまだ代償に気が付いていないときに洗脳で服従させられた2名。洗脳という能力を信用しているからこそ洗脳している護衛2名を一番に信用している。どこに行っても2名を自分から離すことはない。
「何か申すことはあるか?」と座っているフレデリックを見下ろすハロルド。フレデリックは悔しそうに声をひねり出す。
「私はずっとあの男爵家の令嬢との結婚が嫌で嫌でたまりませんでした。父上の命令とはいえなんであんな人形みたいな女と…と」
昔、フレデリックは結婚が嫌だとハロルドに進言した。そのときに感じ取ったハロルドの強固な決意を目のあたりにし、それ以降は諦めていたという。結婚すれば何か変わると信じたものの変わらぬ感情。仕事も淡々とこなすオリビアが鬱陶しくなり隠れて女性と関係を持つことに。違う令嬢と関係が続ければ続くほどオリビアと比べてしまっていた。なぜあの女は笑わないのだろうと。何を言っても全て受け入れ愛され続けることを気持ちが悪いと感じた。
ティナに誘われ夜を共にし、たった一度で身ごもった時フレデリックは感じた。離縁するチャンスだと。
「父上はあの女との結婚を神託だ占いだとおっしゃられていましたよね。神なんて存在していないと思ってましたが初めて信じましたよ。これが運命なのかって。」
「その運命とやらで離縁しようと?」
「はい。産まれる直前には父上も長期の旅に出るタイミングでしたので私は離縁を決意したのです。父上は結婚だけを強いました。一度妃にしてやったからもういいんではないかと!そう思いましてね。父上に従っていましたが俺は唯一の息子。自由にしたって俺は皇帝になれる!だったら結婚相手も俺によりふさわしい女を選べばいいんだってそう思ったのですよ!!」
ティナに裏切られたショックが原因なのか今まで逆らってこなかった分を解消するように荒い口調で告げる。そんなフレデリックにイラついたのかハロルドは「だまれっ!」と目を光らせて怒鳴った。
目があったフレデリックは急に言葉が出なくなり口を押さえ焦る。
「もういいわい。ワシに怒鳴るとは大きくなったものじゃのぉ。その女狐に騙され混乱しているのだな。そうだろう?たった一晩で子ができるわけがない。お前は騙されたんじゃ。騙されて気がついただろう?やはりお前を愛してくれるのはオリビアだけなのだと。オリビアへの愛情が芽生えてお前は愛妾や他の妃も娶らずオリビアだけを愛すのだ。」
「オリビアだけ…を?」
「あぁ。そうだ。そしてオリビアとの子を産め。そうすればすべてが元通りじゃ。国民には正直に騙されたと説明しなさい。フィータム家が悪いと。早急に子供を産み男児が産まれればお前が次の皇帝になるのだ。それまではおとなしくワシのいう事だけ聞いておればよい。ワシの前で猫を被ってたように全員の前でも良き皇太子となれ。そして嫌いで仕方なかったオリビアの事を今日から愛せるようになるだろう。」
ずっと赤く光る瞳を見ていたフレデリックはハロルドの思惑通り洗脳にかかった。
「そうです…よね。オリビア…ずっと私だけを愛してくれていたのに…私やっと気がつきました。父上ありがとうございます!混乱していたとはいえ父上に失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした。さっそくオリビアに会ってきます!」
さっきまでの暗い表所が嘘のように笑顔でオリビアに会いに行くとハロルドに伝えたフレデリック。洗脳は成功した。
「あぁ。だが先に騙されていたことの説明をしてからだのう。いってまいれ。」
「はい!ではオリビアに愛を伝えるためにあのだましてきた令嬢を追い出してきましょう。」
そうしてフレデリックはティナの部屋へと向かった。ノックもなしにバンッと開けた扉の音はまるでフレデリックとティナがオリビアの部屋に押し入った時のような音だった。
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