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彼女の名はツムギ。年齢は20歳。ツムギは1年前の記憶が無い。道端に倒れていたという。頑張って両親が記憶を思い出させる為に色々努力したが結局思い出せずに1年が経った。
当時は携帯のパスワードもわからず携帯屋さんでロックを解除してもらい「私たちは見ないからひとりで見てみるといいわ。何か思いだすかもしれない。」と両親は言ってくれた。
自分の携帯を見てみると2年前に小説を書いていたらしい。しかも部屋には同じタイトルの漫画まである。小説の名前は「捨てられ少女の下剋上」
想像以上の大ヒットで漫画化もした小説。主人公の名前はアリア。物語は貧乏で親に捨てられた少女が皇太子に気に入られ王妃になるという純愛もの。ツムギは主人公がみんなに好かれる物語より一人の男性が一途に思う物語が好きで「捨てられ少女の下剋上」も皇太子が身分も関係なしにアリアにアタックするお話。
そんな大ヒットも3年前の話。漫画の存在を知って一通り読んだが特に何も思い出さなかった。読んだのは1年前でツムギ自身も小説の存在も忘れかけていた。普通の日常。記憶が無いからか楽しいこともないし退屈だった。18歳から始めている仕事。記憶が無いので1から全てを教えてもらい徐々に再開した。
今日もいつも通りに仕事を終えて家に帰ろうとしていた帰り道。考え事をして歩いていた所に「キィー!!」と大きな音が聞こえビックリして横を見たツムギ。トラックが自分に接近しているのが分かった。でももうどうにもできない距離で目を瞑ることしかできなかった。
その瞬間思ったのは「思い出せなくてごめんなさい。」だった。
そのあとの事は覚えていない。恐る恐る目を開けると元いた世界とは思えない服装の人たちがツムギを囲むように見ている。何が起こったのか理解できないツムギ。そんなツムギをほっといて周りは騒いだ。
「成功した!」「やったぞ!これで我々は救われる。」
何を言っているのか訳が分からない。理解が出来てなくて周りを見る余裕はなかったが喜びつつも驚いた顔をしているもの何かを思い出し悲しそうな顔をしているもの様々な人がいた。固まっているツムギの元へ一人の男性が近寄りハッとした後、悲しそうな目をして何事もなかったかのように跪いて挨拶をした。
「急に申し訳ありません。お初にお目にかかります。私はルバート王国国王、リアム・ルバートと申します。よくぞ参られました。創造神様。」
何が起こったか理解が出来なくてもリアム・ルバートはツムギが作った小説に出てくる皇太子の名前。そしてその顔は何度も見た漫画化された皇太子の顔そのまま。
ツムギももちろん漫画は全部読んだ。小説じゃ見えない側近たちの顔、全て漫画のままだった。これはコスプレの話どころじゃない。小説の中だと確信する。
元いた世界の最後の記憶はトラックに轢かれる寸前までの記憶。生死をさまよっていてこんな夢を見ているのか理解が出来ない。でも夢は夢かもしれないと思った時点で夢を確信するもの。ツムギはどうしても夢だと決めつけれなかった。それはリアムの必死な目のせいかもしれない。目を開けた時に聞こえた「救われる」と喜んだ声を思い出す。何かの危機がありリアムはこんなに必死な目をしているのかもしれない。
「ここは本当に現実なんですか。存在しているんですか。」
「はい。存在しております。創造神様のおかげで存在しているのです。」
会話も出来ていてツムギの事を創造神と呼ぶ。自分の事を神ではなく創造神と限定して呼ぶのに違和感はするものの夢という話で終わらせるわけにはいかない。ツムギは様子を見る事にした。
当時は携帯のパスワードもわからず携帯屋さんでロックを解除してもらい「私たちは見ないからひとりで見てみるといいわ。何か思いだすかもしれない。」と両親は言ってくれた。
自分の携帯を見てみると2年前に小説を書いていたらしい。しかも部屋には同じタイトルの漫画まである。小説の名前は「捨てられ少女の下剋上」
想像以上の大ヒットで漫画化もした小説。主人公の名前はアリア。物語は貧乏で親に捨てられた少女が皇太子に気に入られ王妃になるという純愛もの。ツムギは主人公がみんなに好かれる物語より一人の男性が一途に思う物語が好きで「捨てられ少女の下剋上」も皇太子が身分も関係なしにアリアにアタックするお話。
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今日もいつも通りに仕事を終えて家に帰ろうとしていた帰り道。考え事をして歩いていた所に「キィー!!」と大きな音が聞こえビックリして横を見たツムギ。トラックが自分に接近しているのが分かった。でももうどうにもできない距離で目を瞑ることしかできなかった。
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そのあとの事は覚えていない。恐る恐る目を開けると元いた世界とは思えない服装の人たちがツムギを囲むように見ている。何が起こったのか理解できないツムギ。そんなツムギをほっといて周りは騒いだ。
「成功した!」「やったぞ!これで我々は救われる。」
何を言っているのか訳が分からない。理解が出来てなくて周りを見る余裕はなかったが喜びつつも驚いた顔をしているもの何かを思い出し悲しそうな顔をしているもの様々な人がいた。固まっているツムギの元へ一人の男性が近寄りハッとした後、悲しそうな目をして何事もなかったかのように跪いて挨拶をした。
「急に申し訳ありません。お初にお目にかかります。私はルバート王国国王、リアム・ルバートと申します。よくぞ参られました。創造神様。」
何が起こったか理解が出来なくてもリアム・ルバートはツムギが作った小説に出てくる皇太子の名前。そしてその顔は何度も見た漫画化された皇太子の顔そのまま。
ツムギももちろん漫画は全部読んだ。小説じゃ見えない側近たちの顔、全て漫画のままだった。これはコスプレの話どころじゃない。小説の中だと確信する。
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「ここは本当に現実なんですか。存在しているんですか。」
「はい。存在しております。創造神様のおかげで存在しているのです。」
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