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3年の月日が経ってもレイは少年を忘れられなかった。これは恋愛感情ではなくただの心配。それは明確であってもレイの心の中に少年が残っているのは事実。でも待ち続ける方はもう忘れてしまいたくなる。いつ来るかもわからない。もう来ないかもしれない人を待つのは心がもたない。
毎日欠かさず来てくれていたのに急に来なくなるのも作戦なのかと疑ったこともあった。でももう彼女は疲れてしまった。彼女は街を出る事を決意した。来るかもしれないという感情があるからしんどくなるのだと街を出る準備をして荷物を持ち、街の外に出る為に歩いていた。
宿を転々としていただけだったので持つ荷物が少なく外に出るための門が見えるのも早かった。手続きの列が混んでいたので最後に心残りのように最後の踊りをすることを決めた。
踊っても少年の姿は、いや少年の思われる人物は現れなかった。3年も経ったのだ。身長も伸びただろう。見たかった。そう無意識に思ってしまった。自分に呆れながら歩く。考え事をしながら歩いていたために人にぶつかってしまった。
「すいません。」と謝りその人の横を歩こうとすると「お姉さんは変わらず美しいね。」と声が聞こえた。
レイを『お姉さん』と呼ぶ人は一人しかいない。レイはビックリして後ろを振り向くがそこには貴族と思われる裕福そうな服を着た高身長の男性が立っていた。
人違いかと残念そうに前を向くと耳元で「人違いじゃないですよ。お姉さん」と囁いた。
「テオ…?」と呟くと微笑んで「正解」という男性。
レイには信じれなかった。だってあんなに子供だった少年がこの男性のはずがないと。
「お茶でもしませんか?」その誘いで店に入った2人。
店に入ってから最初に聞いたことはこの質問だった。「本当にテオなの?」当たり前だろう。3年もどこにいたかわからなかった少年が急に現れたのだ。
「本当にすいません。けど、僕を覚えていてくれて嬉しいです。」テオは話し出した。最後に話した日の後に何があったのかを。
テオは伯爵家の息子だった。初めて会った日の服装は貴族とバレないように変装した姿。テオは将来伯爵家を継ぐ立場だった。毎日が勉強の日々。両親が居ない隙に隠れて外に遊びに行っていたのだ。そしてそのお忍びでレイに惚れたのだという。踊りに通う前は週に1回程度だったお出かけが毎日になりバレる危険があるもののテオは毎日踊りを見に行っていたのだ。
それは両親がいるときも例外ではなかった。
毎日欠かさず来てくれていたのに急に来なくなるのも作戦なのかと疑ったこともあった。でももう彼女は疲れてしまった。彼女は街を出る事を決意した。来るかもしれないという感情があるからしんどくなるのだと街を出る準備をして荷物を持ち、街の外に出る為に歩いていた。
宿を転々としていただけだったので持つ荷物が少なく外に出るための門が見えるのも早かった。手続きの列が混んでいたので最後に心残りのように最後の踊りをすることを決めた。
踊っても少年の姿は、いや少年の思われる人物は現れなかった。3年も経ったのだ。身長も伸びただろう。見たかった。そう無意識に思ってしまった。自分に呆れながら歩く。考え事をしながら歩いていたために人にぶつかってしまった。
「すいません。」と謝りその人の横を歩こうとすると「お姉さんは変わらず美しいね。」と声が聞こえた。
レイを『お姉さん』と呼ぶ人は一人しかいない。レイはビックリして後ろを振り向くがそこには貴族と思われる裕福そうな服を着た高身長の男性が立っていた。
人違いかと残念そうに前を向くと耳元で「人違いじゃないですよ。お姉さん」と囁いた。
「テオ…?」と呟くと微笑んで「正解」という男性。
レイには信じれなかった。だってあんなに子供だった少年がこの男性のはずがないと。
「お茶でもしませんか?」その誘いで店に入った2人。
店に入ってから最初に聞いたことはこの質問だった。「本当にテオなの?」当たり前だろう。3年もどこにいたかわからなかった少年が急に現れたのだ。
「本当にすいません。けど、僕を覚えていてくれて嬉しいです。」テオは話し出した。最後に話した日の後に何があったのかを。
テオは伯爵家の息子だった。初めて会った日の服装は貴族とバレないように変装した姿。テオは将来伯爵家を継ぐ立場だった。毎日が勉強の日々。両親が居ない隙に隠れて外に遊びに行っていたのだ。そしてそのお忍びでレイに惚れたのだという。踊りに通う前は週に1回程度だったお出かけが毎日になりバレる危険があるもののテオは毎日踊りを見に行っていたのだ。
それは両親がいるときも例外ではなかった。
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