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必死に追いかける少年。走っていくとそこにはクロが立っていた。

「どうして追いかけてくるの」

少年の方を振り向かずに話す。足元の草はもちろん枯れている。少年は叫ぶ。「貴方が寂しそうだったから」と。「僕はついて行きたい、連れて行って」と。

「一人が好きなのほっておいて」

「それが嘘なのぐらい世間知らずな僕でもわかるよ。こっち見てよ!向けないのは泣いてるからじゃないの!!たった数日でも僕にとっての恩人なんだ。僕お母さんを亡くしてからまだそんなに月日経ってなかったけど一人じゃ不安だし寂しかった。そんな様子だとずっと1人だったんじゃないの。ずっと1人がいい人なんて居ない!」

また走り出そうとするクロの手を握った。「僕はまだ15歳でガキかもしれない。でも一緒に居たいんだ」

「離して!!お願い。もう誰の命も取りたくないの…」と振りほどこうとしても寿命が流れてくる感覚が無かった。「えっ…」と驚いているクロに少年は微笑む。

「さっきね…僕もギフト貰ったんだよ。一緒に居たいっていう願いを叶えてくれたの…」

「どういうこと…?」

「僕がついさっき貰ったギフトは【ギフト無効化】だからね。どれだけ触れても大丈夫。もう一人じゃない。僕がずっと一緒に居るから。」

少女にとってその言葉は心の奥底まで届いた。ずっと独りだった少女は信じれなくて顔を覆いながら泣いてしまう。

「やっと見つけた…」

その声に驚いて声が聞こえていた方を向く二人。そこには真っ白な髪に真っ白な瞳。この世の人だとは思えない姿。この人が聖女なのだと直感で分かる。

「ずっと探してたんだよ。目撃情報があったって聞いたから急いできて正解…。もうどこにも行かせない!」

少年は何が起きたのか理解が出来ずに首を傾げている。でもなんとなく分かっていた。だってクロと聖女様は瓜二つだったから。

少年は聞いた。二人は双子ということを。聖女様が姉でクロが妹。そして聖女様が使ったギフトの代償がクロに行くということ。だから聖女様はギフトをあまり使わない。病気を治すということはその人の生きる年数も増える。その為の寿命の差を埋める為に生物から無意識に寿命を奪ってしまう。でも草木だけは例外で草木だけは育って生きてきた年数を貰う仕組み。

2人は孤児だった。顔はそっくりなのに色が正反対の2人は気味が悪いと虐げられていた。二人が5歳の頃。聖女様のギフト持ちが判明し聖女様だけが引き取られたという。それでも聖女様は一緒がいいと反対したらしい。仕方がないなとクロも引き取られたが二人の扱いは全くの別物だった。聖女様だけがリーラという名前を授けられ妹のクロは周りから冷たい目で見られる日々。

そんなときにクロにも異変が起きた。聖女様とクロのギフトが連携しているとも知らない教会は聖女様と掲げギフトを使わせ続けた。聖女様が使いすぎたギフトの代償はクロのギフトとして現れた。今まで与え続けた寿命を一気に回収するように教会に居た人間の命を奪ったのだ。

それが10年前の話。その話の原因を知っているものはリーラとクロだけ。しかし噂を嗅ぎつけた住民たちがクロだけを追い払った。リーラは言った。このお金だけでも渡して欲しいと。そのお金は教会にあったすべてのお金。

それはさかいにクロは全く姿を見せなくなった。
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