【完結】ずっと独りだった少女は愛してくれる少年に出会う【全5話】

なつ

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クロは走った。後ろを振り向かずに。その必死さから警備隊からは違和感を覚えて「待ちなさい」と声をかける。それでも止まらない少女を追いかけて腕をつかんだ。

その瞬間にクロのギフトが発動する。必死に腕を振り払い警備隊に伝える。近くにあった大きな木に近づき「ごめんね」と呟いた後に大きな木に触れた。その瞬間に立派な木はみるみるうちに枯れていき倒れた。フードを深くかぶり伝える。「私は命を奪うギフトを持っています。だから私に触れないでください。」と。その言葉で触れてしまった警備隊の男性は寿命を奪われたと怒るものの触れればまた取られる。今は町から追い出すのが最優先だった。

紙を取り出し何かを書いて寿命を奪ってしまった男性に渡して「この紙を渡せば寿命がかえってきます」と言い、街を出たクロ。

クロの後を追いかけてきた少年は警備隊に渡された紙を見る。その紙に書かれていたのは紹介文だった。

その紙には聖女宛ての手紙。取られたとされる寿命の年数が書かれていた。

聖女。それは少年も聞いたことがある話。この世界には聖女が存在する。あらゆる病気を治してくれる聖女様。しかしその聖女様は全ての人間を助けてくれるわけではない。不治の病など治療法が見つかっていない病気の方ばかりを助ける。

普通の人は聖女とは関われない。崇められている存在。そんな雲の上の人物への紹介文。「こんなので俺の寿命が本当に帰ってくるのか…」という男性。聖女に会えたら叶うだろう。しかし呪われた子と呼ばれる少女の紙切れで本当に会えるのかどうかもわからない不安。男性は頭を抱えた。

すると近くに居た男性が話す。「少し聞いちまったんだがその紙の存在なら聞いた事がある」という男性。他にもその紙を貰ったとされる知人が居たそうで「その紙は本物」だと言い切っている。

少年は聞いた。どうしてクロと呼ばれているのかと。それは聖女が真っ白い髪にすごくきれいな白色の瞳を持ち呪われた子と呼ばれる子は逆に真っ黒。クロと呼ばれる原因は聖女がシロと呼ばれているからだった。聖女とクロは何かしらの関係があるのは明確だった。しかし少年にとってはどうでもいい。今はクロを見失わないように追いかけるだけ。

街の外に出ると道はなく草原が広がっていた。そしてわかりやすい枯れた草の足跡。少年はその足跡をたどっておいかける。クロにとって追いかけてほしくないかもしれない。でも最後の言葉を聞いたときにすごく悲しそうだった。そんな理由で必死に追いかけた。
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