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少女に名前はない。しかしこう呼ばれている。クロと。少女は黒い髪に黒の目。草木の上を歩けば全て枯れ、命を吸い取るギフトの持ち主。「呪われた少女」「悪魔」様々な呼び名を持つ。
ギフト。それは神に与えられた特別な能力の事を言う。全ての生物がもらえる訳ではなく選ばれた極一部の人間が与えられる特別なもの。
少女については謎な事も多く最近では実在しているのかもわからないという人も多い。もう都市伝説扱い。根も葉もない噂が飛び交う。
しかし少女は存在する。ひっそりと静かに世界を旅をしている。クロのギフトは触れるだけで命が吸い取れる。真っ黒なフードをかぶりさまよう少女。
寿命を取るとは言っても食事は必要で正体がバレないように町を訪れる。そこで出会った。少年に。少年はボロボロで今にも死にそうな様子。でもクロは触れれば寿命を取ってしまう。クロは周りに草木が無いかを探し小さな花を見つけた。その小さな花に近寄り「ごめんね」と呟きそっと触れる。その花は枯れなかった。その瞬間クロはさっきの少年の所に駆け寄り声をかける。
少年はどうやらお腹が空いているみたいでクロは急いで食べやすいものを買ってきて与える。疲労なのかはわからないが熱も出ていた。意識も朦朧としていて医者に見せるなど少年の面倒を見た。
クロは何かに追われるように急ぐ。2日後には元気になった少年に伝える。「私はいかないといけない。このお金があればしばらくはお金には困らないはず。だからもう私は行くね。」
少年は数日前に唯一居た母親を亡くし、「行かないで」と必死に訴える。「一人にしないで」と。
少年は金色の髪の毛に金色の瞳。悪目立ちしてしまうかもしれない。この先苦労するのもクロには分かっていた。でも一緒に連れていくことはできないと必死に伝えた。「もう少しだけ」という必死な姿で頼まれて断れるはずもなくもう少しだけ一緒に居ることになった。
「時が来たら私は何も言わずに消える。」「私には一切触れない。」それだけを約束した。その日からクロは小さな植木鉢に入った花を持ち歩き定期的に触る。事情があるのは誰が見ても分かる。でも少年はそれでもよかった。初めて他人から貰った優しさ。クロがまだ18歳という若さな事。少年は15歳だということ。沢山話をした。
そして時は来た。唐突に。町の道を歩いていた時、癖のように触れた花が枯れてクロは持っていた植木鉢をそばに置いて伝えた。
「短い間だったけど今までありがとう。しっかり生きてね。」
その瞬間クロは走り出した。逃げるように町の外に向かった。
ギフト。それは神に与えられた特別な能力の事を言う。全ての生物がもらえる訳ではなく選ばれた極一部の人間が与えられる特別なもの。
少女については謎な事も多く最近では実在しているのかもわからないという人も多い。もう都市伝説扱い。根も葉もない噂が飛び交う。
しかし少女は存在する。ひっそりと静かに世界を旅をしている。クロのギフトは触れるだけで命が吸い取れる。真っ黒なフードをかぶりさまよう少女。
寿命を取るとは言っても食事は必要で正体がバレないように町を訪れる。そこで出会った。少年に。少年はボロボロで今にも死にそうな様子。でもクロは触れれば寿命を取ってしまう。クロは周りに草木が無いかを探し小さな花を見つけた。その小さな花に近寄り「ごめんね」と呟きそっと触れる。その花は枯れなかった。その瞬間クロはさっきの少年の所に駆け寄り声をかける。
少年はどうやらお腹が空いているみたいでクロは急いで食べやすいものを買ってきて与える。疲労なのかはわからないが熱も出ていた。意識も朦朧としていて医者に見せるなど少年の面倒を見た。
クロは何かに追われるように急ぐ。2日後には元気になった少年に伝える。「私はいかないといけない。このお金があればしばらくはお金には困らないはず。だからもう私は行くね。」
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「時が来たら私は何も言わずに消える。」「私には一切触れない。」それだけを約束した。その日からクロは小さな植木鉢に入った花を持ち歩き定期的に触る。事情があるのは誰が見ても分かる。でも少年はそれでもよかった。初めて他人から貰った優しさ。クロがまだ18歳という若さな事。少年は15歳だということ。沢山話をした。
そして時は来た。唐突に。町の道を歩いていた時、癖のように触れた花が枯れてクロは持っていた植木鉢をそばに置いて伝えた。
「短い間だったけど今までありがとう。しっかり生きてね。」
その瞬間クロは走り出した。逃げるように町の外に向かった。
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