【全18話】推しを追い詰める主人公になりました～仕組まれた転生～【完結】

16.レイヤ

タクは本を開き話し出した。

『ミレイ・ミーズアイは僕に惚れてる。嫌な記憶は全部忘れて幸せに暮らすんだ。そして両親の前世の記憶は全部消えて僕たちが結ばれることに喜ぶ』

その言葉で本は光りだす。名前を出された人物たちは頭を抑えて苦しみだす。

「一人忘れていたね。悪役令嬢のマリア・エルトリス。」

『マリア・エルトリスは今の出来事をすべて忘れて断罪された内容を認める。』

その言葉でマリアの頭も痛み出した。ミレイのそばまで寄りミレイの頭をなでながら「痛いよね。ごめんね。学園のみんなもいたそうだったけどミィちゃんたちは消さなきゃいけない記憶とか多いからもっと痛いと思う。でもねもうすぐ幸せになれるからもうひと頑張りだよ！！」

ミレイはもうこの男から逃げれないと受け入れようとしていた時に皇太子殿下を蹴り飛ばす人物が現れた。

「おい！大丈夫か？！あの本の仕業だな任せろ。」

そういってタクが持っている本を奪うために走っていく。痛みで誰なのかもわからない。

「誰だよ！皇太子である僕の顔を蹴り飛ばすなんて死ぬだけでは許されないぞ！！」

「誰だよってひでぇな。もう一人殺したやつがいるだろ？」

「お前…確かに見たことあるぞ…。ミィちゃんに付きまとっていた男じゃないか！お前までこの世界に来ていたのか！もう僕たちの邪魔をしないでくれ！」

「はぁ？！付きまとってるのはどこのどいつだよ！！4人も殺しておいて自分も死んで罪を償わずに死んだこと許されると思ってんのか。その怪しい本に頼ってばっかのお前にミレイは渡さねぇ。お前のせいでミレイの家族は苦しんでるんだ！ミレイを好きだと言ってただ自分の行いを正当化してるだけだろ？！なんで殺された奴を好きになれるって思ってんだ。頭おかしいんじゃねぇの？！」

「くそっ！『お前は消え…』」本の能力を使おうとしたがミレイが痛みに耐えながらタクに突進する。

その隙を逃さないように助けに来た男は本を奪い『お前はその体から出ていけ。』と発言した。

「お前だけが名前を受け継いでいない。昔の皇太子殿下はお前ではなかったはずだ。元の身体に皇太子殿下を閉じ込めているのかはわからないがお前の顔は嫌でも忘れられねぇ。見つけてきっちり罪を償わせてやる。絶対探し出してやるからよぉ。」

そうして皇太子殿下に入っていたタクは気を失い倒れた。それと同時にミレイたちを襲っていた痛みは消え改めて助けてくれた男の人を見るとそこにはレイヤがいた。

「レイヤ…？レイヤなの…？」

「お、おう。久しぶりだな。来るのが遅くなっちまってすまねぇ。」

「まさかレイヤも殺されてたなんて…。」

「いや、お前誕生日だったから少し家に寄ろうとしていたらあの男が出てくるのが見えて急いで家の中を見に行ったら…それを目撃したからか嫉妬なのかはわからないが俺も動揺していたから背後を取られて死んじまったんだ。」

「レイヤ…。」

そういって立ち上がったのはマリアだった。