28 / 34
幕間 王都にて
第28話
しおりを挟む
王国への協力が正式に決まり、次の本格的な任務が始まる前に束の間の休息が与えられた悠斗、リリア、リリーナの三人。イザークからも「今日は好きに過ごして良い」と言われ、リリーナが王都の食文化を満喫したいと言い出したことから、『美食探し』をすることになった。
「王都には大人気の屋台が並ぶ通りがあるらしいよ!行ってみよう!」
とリリーナが満面の笑みで先導し、悠斗とリリアも彼女に続くことになった。
活気あふれる市場通りに着いた三人は、さまざまな食べ物を次々に試す。王都名物の焼き鳥や香ばしい香草パンに舌鼓を打つが、奥の方に進むとちょっと変わった屋台が目についた。屋台には「ムーンブレスのしずく」と書かれた看板が掲げられている。
どうやら、珍しい素材で作ったジュースのようで一口飲むだけで疲れが取れると評判のようである。
「これは気になるね。三人で飲んでみようよ!」
リリーナの提案に、悠斗とリリアも頷き、それぞれ注文することに。屋台のおばあさんが見たことのない紫色のフルーツを丁寧に搾り、三つのカップにジュースを注ぐ。
「ふむ……なんとも不思議な香りだな」
悠斗がカップを覗き込むと、リリアも興味津々の表情でカップを手に取った。
三人がジュースを飲み干すと、不思議な香りが鼻腔に広がり、体がふわりと軽くなったような感覚に包まれる。
「これは本当に疲れが取れるね!」
とリリーナが笑顔で言った直後、なんと彼女の頭の上に小さな花が咲いた。
「え、ちょっとリリーナさん、それ……」
悠斗が驚いて指をさすと、リリーナは頭を触りながら
「何かついてるの?」
とたずねる。リリーナの髪の中には小さな花が次々と芽を出していた。さらに、リリアもそのジュースの影響で影の力が妙にふわふわしてしまい、影が勝手に形を変え、まるで踊っているかのように揺れている。
「一体何が起こってんだ?絶対これ、ただのジュースじゃない気がするんだけど……」
悠斗が戸惑うと、リリーナとリリアも頷く。
3人が困惑していると、屋台のおばあさんがにっこり笑いながら近づいてくる。
「それはね、ムーンブレスと呼ばれるリラックス効果が強い特別な果物なの。心を軽くする効果があるんだけど、個人差はあるけど、飲んだ人の体にちょっと面白い反応が出るのよ」
「疲れが取れるだけじゃなくて、そんなわけわからんことまで……!」
と苦笑する悠斗に、リリーナは「これも良い思い出かもね!」と大笑いし、リリアもふわふわと踊る影を見て微笑んだ。最後には影も落ち着き、リリーナの髪の花も自然に消えていった。
「王都には大人気の屋台が並ぶ通りがあるらしいよ!行ってみよう!」
とリリーナが満面の笑みで先導し、悠斗とリリアも彼女に続くことになった。
活気あふれる市場通りに着いた三人は、さまざまな食べ物を次々に試す。王都名物の焼き鳥や香ばしい香草パンに舌鼓を打つが、奥の方に進むとちょっと変わった屋台が目についた。屋台には「ムーンブレスのしずく」と書かれた看板が掲げられている。
どうやら、珍しい素材で作ったジュースのようで一口飲むだけで疲れが取れると評判のようである。
「これは気になるね。三人で飲んでみようよ!」
リリーナの提案に、悠斗とリリアも頷き、それぞれ注文することに。屋台のおばあさんが見たことのない紫色のフルーツを丁寧に搾り、三つのカップにジュースを注ぐ。
「ふむ……なんとも不思議な香りだな」
悠斗がカップを覗き込むと、リリアも興味津々の表情でカップを手に取った。
三人がジュースを飲み干すと、不思議な香りが鼻腔に広がり、体がふわりと軽くなったような感覚に包まれる。
「これは本当に疲れが取れるね!」
とリリーナが笑顔で言った直後、なんと彼女の頭の上に小さな花が咲いた。
「え、ちょっとリリーナさん、それ……」
悠斗が驚いて指をさすと、リリーナは頭を触りながら
「何かついてるの?」
とたずねる。リリーナの髪の中には小さな花が次々と芽を出していた。さらに、リリアもそのジュースの影響で影の力が妙にふわふわしてしまい、影が勝手に形を変え、まるで踊っているかのように揺れている。
「一体何が起こってんだ?絶対これ、ただのジュースじゃない気がするんだけど……」
悠斗が戸惑うと、リリーナとリリアも頷く。
3人が困惑していると、屋台のおばあさんがにっこり笑いながら近づいてくる。
「それはね、ムーンブレスと呼ばれるリラックス効果が強い特別な果物なの。心を軽くする効果があるんだけど、個人差はあるけど、飲んだ人の体にちょっと面白い反応が出るのよ」
「疲れが取れるだけじゃなくて、そんなわけわからんことまで……!」
と苦笑する悠斗に、リリーナは「これも良い思い出かもね!」と大笑いし、リリアもふわふわと踊る影を見て微笑んだ。最後には影も落ち着き、リリーナの髪の花も自然に消えていった。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる