異世界に英雄候補として召喚されたけど魔力が足りなくて奴隷になりました。なので手に入れた特別な力で復讐します。

疾風

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第8話

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 リセリアはガイルと対峙する。彼女の目が鋭く光り、内に秘めた決意がその瞳に宿っている。

「逃すか!!」

 ガイルが、逃げる遥斗と奴隷達に向かって炎系の魔法を放った。

「させない」

 リセリアがそう言い放つと同時に、場が閃光し炎の魔法が消えた。

「なっ!?貴様、今何をした?」

 ガイルは自分の魔法が消されたことによって、あからさまに焦った声で尋ねる。

「そう簡単になんでも教えてあげるわけないでしょう?」

 リセリアは不適な笑みを浮かべる。

「小娘風情が!」

 ガイルは笑みを浮かべながらも、どこか焦りを隠しきれない様子で叫んだ。
 リセリアは一歩、ゆっくりと前に進み、冷たい声で言い放った。

「私を甘く見ないことね。あなたのような卑劣なやつ。私は許さない」

 その言葉と同時に、リセリアの足元から淡い光が広がり、空気中に微細な青白い粒子が浮かび上がる。それらの粒子はやがて螺旋状に集まり、彼女の両手に導かれるように集結していった。ガイルはその異様な光景に驚き、一瞬後ずさりするが、すぐに顔を引き締めた。

「クソォおおおおおおお!!何ができるか知らんが俺は貴様に負けん!」

 彼はリセリアに向かって猛然と突進するが、その動きが彼女の放つ威圧感に阻まれ、思うように進めなくなっていた。

「言ってるでしょう?私を甘く見るなってね」

 リセリアは手をかざし、静かに言霊を口にする。その瞬間、彼女の前に立ちはだかっていたガイルの体が動けなくなる。まるで見えない鎖で縛られたかのように、彼の体が硬直し、彼の顔には恐怖の色が浮かび上がった。

「く、くそっ……!貴様、何をした!」

 リセリアはその問いに答えることなく、再び力を解き放つ準備を進めた。彼女の手が宙に浮かび、そこから放たれた光が、まるで鋭利な刃のようにガイルに向かって収束する。その一瞬、リセリアの魔力が爆発的に増幅され、彼女の周りには強力なオーラが満ち溢れた。

「終わりよ、ガイル」

 リセリアの声は冷徹でありながらも、どこか静謐な力を秘めていた。彼女が力を放つと、青白い光がガイルに一斉に襲いかかり、彼の防御を容易く貫いた。ガイルは叫び声を上げる間もなく、その場に崩れ落ちた。

 その場に立ち尽くすリセリアは、微かに息を整えながら、すでに背後へと遠ざかりつつある遥斗たちの方へと視線を移した。彼らを守り、無事に脱出させるためには、何としてもここで立ち止まるわけにはいかなかった。

「これで、奴隷たちの自由への一歩が切り開かれたわ」

 そう呟くと、リセリアは冷ややかな表情を保ちながら、館内を見渡し、さらなる敵が現れないか確認しつつ、遥斗たちの後を追うためにその場を後にした。
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