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3章 思い出のタルト・タタン
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「へぇー、香澄ちゃん、茶道やってるんだ」
「おじいちゃんがずっとやっていたので、私も習わされたってだけですけど」
あれからパーティ会場の片隅で、ビュッフェ形式の料理をつまみながら他愛もない会話をしていた久志と香澄。クールビューティで話しかけづらい印象があった香澄だったが、話してみると会話は弾む。どうやら最初は少し緊張していただけのようだった。
「でも、茶道やってるってすごいじゃん。俺やったことないんだけど、お点前とかいろいろ覚えないといけないんでしょ?緊張しそうだな、お茶飲むとき」
「確かに初心者にはハードル高いですよね」
久志の本格的な茶道に関する知識といえば、飲むときに茶碗を二回まわす、などその程度。足がしびれる正座も苦手だし、着物を着たりと結構大変そうだな、というのが印象だ。
「最近は、そういう人のために『テーブルスタイル茶道』っていうのもあるみたいですよ。正座なし、着物なし、お点前も一つだけで、茶道初心者に人気らしいって聞いたことあります」
「テーブルスタイル……確かに、それなら気軽にやれそう」
とはいえ、久志にとってはお茶よりも茶菓子の方が気になるところだが。そんなことを考えながら会場を見渡していると、「それはそうと、間宮さんって」と香澄から声をかけられ、「ん?」と彼女の方を向く。シャープな瞳にじっと見つめられ、ドキリとする久志。だが、続いた言葉は──。
「スイーツ好きなんですか」
と、意外な言葉。久志は、かけられた言葉に目をパチパチとさせた。
「え、うん……。そうだけど」
なんで分かったのだろうと首を傾げていると、香澄はテーブルの上に並ぶスイーツを指さした。
「だって、食べたくてウズウズするって顔してスイーツ見てるから」
「え、俺そんな顔してた?」
「はい。食べたいものがあるなら、遠慮せずどうぞ」
女子高生にも見破られるほど、分かりやすい表情をしていた自分が少しだけ恥ずかしくなる。けれど、おいしそうなスイーツを前にウズウズしていたのも事実。「じゃあ、お言葉に甘えて」と久志は、ビュッフェ台に並ぶスイーツをいただくことにした。
「おじいちゃんがずっとやっていたので、私も習わされたってだけですけど」
あれからパーティ会場の片隅で、ビュッフェ形式の料理をつまみながら他愛もない会話をしていた久志と香澄。クールビューティで話しかけづらい印象があった香澄だったが、話してみると会話は弾む。どうやら最初は少し緊張していただけのようだった。
「でも、茶道やってるってすごいじゃん。俺やったことないんだけど、お点前とかいろいろ覚えないといけないんでしょ?緊張しそうだな、お茶飲むとき」
「確かに初心者にはハードル高いですよね」
久志の本格的な茶道に関する知識といえば、飲むときに茶碗を二回まわす、などその程度。足がしびれる正座も苦手だし、着物を着たりと結構大変そうだな、というのが印象だ。
「最近は、そういう人のために『テーブルスタイル茶道』っていうのもあるみたいですよ。正座なし、着物なし、お点前も一つだけで、茶道初心者に人気らしいって聞いたことあります」
「テーブルスタイル……確かに、それなら気軽にやれそう」
とはいえ、久志にとってはお茶よりも茶菓子の方が気になるところだが。そんなことを考えながら会場を見渡していると、「それはそうと、間宮さんって」と香澄から声をかけられ、「ん?」と彼女の方を向く。シャープな瞳にじっと見つめられ、ドキリとする久志。だが、続いた言葉は──。
「スイーツ好きなんですか」
と、意外な言葉。久志は、かけられた言葉に目をパチパチとさせた。
「え、うん……。そうだけど」
なんで分かったのだろうと首を傾げていると、香澄はテーブルの上に並ぶスイーツを指さした。
「だって、食べたくてウズウズするって顔してスイーツ見てるから」
「え、俺そんな顔してた?」
「はい。食べたいものがあるなら、遠慮せずどうぞ」
女子高生にも見破られるほど、分かりやすい表情をしていた自分が少しだけ恥ずかしくなる。けれど、おいしそうなスイーツを前にウズウズしていたのも事実。「じゃあ、お言葉に甘えて」と久志は、ビュッフェ台に並ぶスイーツをいただくことにした。
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