帝都あやかし物語

来海空々瑠

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無実の令嬢は疑いを晴らす

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帝都の街が一年で一番華やかに賑わう「四神祭」の日がやってきた。街中のあちこちにお祝い用の飾り花が飾られて、行き交う人々もどこか高揚している。大通りには屋台も数多く並び、街全体がお祭りモードになる。それが、この四神祭である。

この帝都を守護せし神々に祈りを捧げ、次の1年の安寧と繁栄を祈願する。それが、この四神祭の目的だ。

そんな中、私は九条家と高羽家が開く婚約発表会の会場に仙が用意した招待状を使って潜り込んでいた。めでたい四神祭が開催される今日の日に、あの女は九条家との婚約を正式に発表するパーティを開くのだという。

大きな帽子を被って顔を隠し、隅の方で目立たないように会場の様子をじっと見つめる。洋装、和装が入り混じったパーティ会場は、高羽家とゆかりのある紳士淑女たちが多く、みんな和やかに談笑していた。

「ねえ、聞きました?椿嬢が今日着るドレスは、高羽家当主がわざわざ海外から取り寄せた生地で一から作らせたものだそうですよ」
「気合の入りっぷりがすごわね。さすが、この帝都の華、九条家との結婚ですわ」

あちこちからそんな会話が聞こえてくるのを横目に、私は手のひらをギュッと握りしめた。

我が家を貶めた高羽家。

私を大罪人に仕立てあげることで、九条家との婚約を決め、哀れな同居人を迎え入れることで、その広い心を称賛され、この帝都で時の人となった高羽椿。けれど、その偽りの繁栄も今日までだ。

「では、ただいまより九条家のご子息である蒼志様、高羽家のご令嬢である椿様、おふたりのご婚約発表会を始めます」

司会の厳かな言葉とともに会場の中央へと、両家の両親、そして子どもたちが並ぶ。久しぶりに見た椿は、薄い桃色のドレスに身を包み、にこやかな笑みを浮かべて現れた。
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