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アイネクライネ2
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「実はロビーに行きたいんだけれど裏口から来てしまって、場所が分からなくて困ってたんです」
「そうだったんですね、私もロビーに行くところなので、よろしければ一緒に行きますか?」
「助かります、ありがとう」
確かにここの通路は広い上に入り組んでいて、分かりにくいかもしれない。とはいえ清流も初めてくる場所なのだが、たぶん来た道を戻ればいいだけなので迷うことはないはずだ。
「あっ、そうです、あのときの食事代…!」
「…そんなことありましたっけ?」
「だめですよ、あのときのおつりまで預かったままなんですよ私。お金に関することはうやむやにしたくないんです」
とぼけたように首を傾げる男性に清流は言いつのる。そういえば洸ともこんなやり取りをしたなと思い出して、ふと、何か引っ掛かるものを感じた。
「けれどこんなところで再会するとは。今日はデートか何かですか?」
「えっ?い、いえ…その、相手のご両親と初めてお会いすることになってて…」
それはおめでたいですね、と微笑む男性に清流はなんと返したらいいか分からず俯いた。
「どうされたんですか?あまり浮かない顔をしていますが…もしかして会うのは気乗りがしませんか?」
「いえっそんなことはないんです、会いたいといっていただけて嬉しいですし、会えることは楽しみなんです。でも…少し不安で」
「不安とは?」
「その…受け入れてもらえるかなとか、どういう印象を持たれるかなとか」
自分の場合は過去のこともある。
結婚相手として相応しくないと思われる可能性だってあるのだ。
「心配することはありませんよ。私があなたとお話ししたのは居酒屋での一度だけですが、あなたがとても素直で真面目で、ご両親の愛情をたくさん受けてこられた素敵なお嬢さんだということは分かります。だから自信を持って」
清流はその言葉にはっとして顔を上げると、男性が励ますように柔和な笑顔を向けている。
「それに、緊張しているのは親の方も同じなんですよ。実は私も今日、息子のお相手の女性と初めてお会いするんです」
「えっ、そ、そうなんですか…?」
「うちの息子はこう言ってはなんですが…昔からそれなりに女性に言い寄られてはいたようなんですが、変に冷めたところがあるというかあまり興味がなかったようでね。だからそういう女性ができたというのは喜ばしいんです。
けれど本人からは『余計なことは話すな』とか『変なこと言ったら二度と会わせない』とか脅されて、おまけに迷って待ち合わせにも遅刻しそうだし、やれやれ会ったらまた何を言われるか…」
こんな偶然、あるだろうか。
そもそも男性のお子さんは思春期の息子さんだったんじゃ?
清流がそんなことを考えていると、男性の持つスマートフォンが鳴った。
「噂をすれば息子からです。もしもし、あぁ母さんはもう着いた?分かっている、時間に遅れるっていうんだろう?ちょっとホテルの中で迷ってしまって今親切なお嬢さんに……」
そんな会話をしているときに、通路を抜けてホテルのロビーに出た。
ちょうど誰かと電話中の洸がこちらを振り向いて――今まで見たことのないほど驚いた表情をした。
「何で、親父と清流が一緒にいるわけ…?」
(え、お父さん……?)
洸のその言葉に、清流もぽかんと二人の顔を見比べるしかなかった。
◇◇◇◇
「改めまして、加賀城駿です」
ラウンジで正面に座った駿から名刺を受け取って、清流は目を丸くした。
『維城商事 代表取締役社長』とある。
洸の父親なのだから当然の肩書きなのだが、居酒屋で話をした男性が洸の父親であり働いていた会社の社長だったという事実に呆然としながら、先ほど覚えた違和感の正体が分かった気がした。
(…何で気がつかなかったんだろう)
眼鏡をかけていない駿の顔を見て、その顔に見覚えがある気がしたのだけれど、それは一度会社のサイトで見た維城商事の社長その人だったのだ。
「あの、知らなかったとはいえその節は大変失礼しました…」
「いやいや、眼鏡をかけると眼鏡の印象が強くなって、意外と身元がばれなくてね。一人でふらりと飲みたいときはそうすることにしているんだ」
「なんでそんな芸能人みたいなことしてんだよ…っていうか居酒屋で社員ナンパするとか何考えてんだ」
コーヒーに口を付けながら得意げに話す駿に、洸は呆れたように言う。
「だからナンパじゃないと何回説明すれば…清流さんからも言ってやってくれませんか?」
「気安く名前呼ぶな」
「まぁまぁ、ということは意外なところでも縁があったってことじゃないの?それって素敵なことじゃない!」
はたしてどちら側につくべきか、間に挟まれておろおろしていると、洸の母のマドカが助け舟を出してくれた。
「清流、このおっさんに変なこと言われたりされたりしてないか?」
「えっと……」
『上司というよりも人として、とても尊敬しています』
『貴方はその上司の方が好きなんですね、その方は幸せ者だ』
あのときの会話を思い返してみると、知らなかったとはいえ、自分は好きな人の父親に思いっきり恋心を打ち明けていたような形になっていて、思い返すと今さらながら顔から火が出るほど恥ずかしい。
しかも駿も話を聞いて、洸のことをてっきり思春期の息子だと思っていたことは――言わないほうがよさそうだと清流は自分の心の中に留めておくことにした。
それから洸の母のマドカが、フランスに住む親族の話や子どもの頃の洸の話などをたくさん話してくれた。洸本人は嫌がっていたけれど、それらのエピソードを聞いてとても温かい光景を思い浮かべることができた。
その流れで、清流も両親のことや自分自身の過去のことを打ち明けた。
話を静かに聞いてくれた二人は、同情しながらも俯く清流を安心させるように微笑んでくれた。
「その話を聞いても、さっき話した通り、貴方がご両親の愛情をたくさん受けて育った素敵なお嬢さんだという印象は変わりませんよ」
「そうよ、結婚式も盛大にやりましょうね!こんな可愛いんだもの、100回お色直ししたっていいくらいよ!」
「100回もできるかよ…ってか、清流もまだ働き始めたばかりだしすぐにってわけじゃないから」
盛り上がる母のマドカに釘を刺しつつ、ほら心配することなかっただろ?と洸は清流に囁いた。
「……ありがとうございます」
清流は小さく頷いて、明るく受け入れてくれた二人に感謝した。
2時間ほどいろいろな話をして、今度はランチを一緒に食べようと約束をしてからラウンジを出た。
そのとき清流は肝心なことを思い出して、駿を呼び止める。
「もしかして、あのときの食事代のことかな?」
「え?あ、はい……」
駿はそうだなぁと少し考えてから、何か閃いたように手をぽんと叩いた。
「じゃあ、息子と結婚するまで貸しにしておくのはどうかな?いつか家に来てくれたときに返してくれたらいい」
思いがけない提案に目を丸くしている清流を見て悪戯っぽく笑う顔は、やはり洸に少し似ていると思った。
「ところで、本当にうちの息子でいいのかい?なかなか頑固で子どもっぽいところもあるけれど」
少し肩を竦めて苦笑する駿に、清流はちらりと洸を振り返る。
これまで過ごした半年間の中で洸が見せてくれた、いろんな顔の一つ一つを思い返す。
優しいところも、厳しいところも、実は嫉妬深いところも。
何気ない日常が愛おしく思えるものをたくさんもらった。
そしてそれらが、これからの日々を彩ってくれて、幸せにしてくれるものだと知っている。
「はい、もちろんです」
「うちの息子は幸せ者だね」
過去を嘆くことはもうしない。
ありのままを認めて受け入れてくれる人が、
こんなにも自分の周りにいてくれるから。
「…またなんか余計なこと言ってるだろ」
「それは清流さんと私との秘密だ」
「だから気安く呼ぶなって。もう行くぞ清流」
不意に洸が清流の手を取って強く握るので、清流は驚いて洸の顔を見上げる。
「!?ちょっ、ご、ご両親の前ですよ…!?」
「いいだろ、もう恋人同士なんだから」
後ろからおやおや、とか、あらあらなんて声が聞こえて真っ赤になる清流の顔を見て――洸はりんごみたいだな、と笑った。
「そうだったんですね、私もロビーに行くところなので、よろしければ一緒に行きますか?」
「助かります、ありがとう」
確かにここの通路は広い上に入り組んでいて、分かりにくいかもしれない。とはいえ清流も初めてくる場所なのだが、たぶん来た道を戻ればいいだけなので迷うことはないはずだ。
「あっ、そうです、あのときの食事代…!」
「…そんなことありましたっけ?」
「だめですよ、あのときのおつりまで預かったままなんですよ私。お金に関することはうやむやにしたくないんです」
とぼけたように首を傾げる男性に清流は言いつのる。そういえば洸ともこんなやり取りをしたなと思い出して、ふと、何か引っ掛かるものを感じた。
「けれどこんなところで再会するとは。今日はデートか何かですか?」
「えっ?い、いえ…その、相手のご両親と初めてお会いすることになってて…」
それはおめでたいですね、と微笑む男性に清流はなんと返したらいいか分からず俯いた。
「どうされたんですか?あまり浮かない顔をしていますが…もしかして会うのは気乗りがしませんか?」
「いえっそんなことはないんです、会いたいといっていただけて嬉しいですし、会えることは楽しみなんです。でも…少し不安で」
「不安とは?」
「その…受け入れてもらえるかなとか、どういう印象を持たれるかなとか」
自分の場合は過去のこともある。
結婚相手として相応しくないと思われる可能性だってあるのだ。
「心配することはありませんよ。私があなたとお話ししたのは居酒屋での一度だけですが、あなたがとても素直で真面目で、ご両親の愛情をたくさん受けてこられた素敵なお嬢さんだということは分かります。だから自信を持って」
清流はその言葉にはっとして顔を上げると、男性が励ますように柔和な笑顔を向けている。
「それに、緊張しているのは親の方も同じなんですよ。実は私も今日、息子のお相手の女性と初めてお会いするんです」
「えっ、そ、そうなんですか…?」
「うちの息子はこう言ってはなんですが…昔からそれなりに女性に言い寄られてはいたようなんですが、変に冷めたところがあるというかあまり興味がなかったようでね。だからそういう女性ができたというのは喜ばしいんです。
けれど本人からは『余計なことは話すな』とか『変なこと言ったら二度と会わせない』とか脅されて、おまけに迷って待ち合わせにも遅刻しそうだし、やれやれ会ったらまた何を言われるか…」
こんな偶然、あるだろうか。
そもそも男性のお子さんは思春期の息子さんだったんじゃ?
清流がそんなことを考えていると、男性の持つスマートフォンが鳴った。
「噂をすれば息子からです。もしもし、あぁ母さんはもう着いた?分かっている、時間に遅れるっていうんだろう?ちょっとホテルの中で迷ってしまって今親切なお嬢さんに……」
そんな会話をしているときに、通路を抜けてホテルのロビーに出た。
ちょうど誰かと電話中の洸がこちらを振り向いて――今まで見たことのないほど驚いた表情をした。
「何で、親父と清流が一緒にいるわけ…?」
(え、お父さん……?)
洸のその言葉に、清流もぽかんと二人の顔を見比べるしかなかった。
◇◇◇◇
「改めまして、加賀城駿です」
ラウンジで正面に座った駿から名刺を受け取って、清流は目を丸くした。
『維城商事 代表取締役社長』とある。
洸の父親なのだから当然の肩書きなのだが、居酒屋で話をした男性が洸の父親であり働いていた会社の社長だったという事実に呆然としながら、先ほど覚えた違和感の正体が分かった気がした。
(…何で気がつかなかったんだろう)
眼鏡をかけていない駿の顔を見て、その顔に見覚えがある気がしたのだけれど、それは一度会社のサイトで見た維城商事の社長その人だったのだ。
「あの、知らなかったとはいえその節は大変失礼しました…」
「いやいや、眼鏡をかけると眼鏡の印象が強くなって、意外と身元がばれなくてね。一人でふらりと飲みたいときはそうすることにしているんだ」
「なんでそんな芸能人みたいなことしてんだよ…っていうか居酒屋で社員ナンパするとか何考えてんだ」
コーヒーに口を付けながら得意げに話す駿に、洸は呆れたように言う。
「だからナンパじゃないと何回説明すれば…清流さんからも言ってやってくれませんか?」
「気安く名前呼ぶな」
「まぁまぁ、ということは意外なところでも縁があったってことじゃないの?それって素敵なことじゃない!」
はたしてどちら側につくべきか、間に挟まれておろおろしていると、洸の母のマドカが助け舟を出してくれた。
「清流、このおっさんに変なこと言われたりされたりしてないか?」
「えっと……」
『上司というよりも人として、とても尊敬しています』
『貴方はその上司の方が好きなんですね、その方は幸せ者だ』
あのときの会話を思い返してみると、知らなかったとはいえ、自分は好きな人の父親に思いっきり恋心を打ち明けていたような形になっていて、思い返すと今さらながら顔から火が出るほど恥ずかしい。
しかも駿も話を聞いて、洸のことをてっきり思春期の息子だと思っていたことは――言わないほうがよさそうだと清流は自分の心の中に留めておくことにした。
それから洸の母のマドカが、フランスに住む親族の話や子どもの頃の洸の話などをたくさん話してくれた。洸本人は嫌がっていたけれど、それらのエピソードを聞いてとても温かい光景を思い浮かべることができた。
その流れで、清流も両親のことや自分自身の過去のことを打ち明けた。
話を静かに聞いてくれた二人は、同情しながらも俯く清流を安心させるように微笑んでくれた。
「その話を聞いても、さっき話した通り、貴方がご両親の愛情をたくさん受けて育った素敵なお嬢さんだという印象は変わりませんよ」
「そうよ、結婚式も盛大にやりましょうね!こんな可愛いんだもの、100回お色直ししたっていいくらいよ!」
「100回もできるかよ…ってか、清流もまだ働き始めたばかりだしすぐにってわけじゃないから」
盛り上がる母のマドカに釘を刺しつつ、ほら心配することなかっただろ?と洸は清流に囁いた。
「……ありがとうございます」
清流は小さく頷いて、明るく受け入れてくれた二人に感謝した。
2時間ほどいろいろな話をして、今度はランチを一緒に食べようと約束をしてからラウンジを出た。
そのとき清流は肝心なことを思い出して、駿を呼び止める。
「もしかして、あのときの食事代のことかな?」
「え?あ、はい……」
駿はそうだなぁと少し考えてから、何か閃いたように手をぽんと叩いた。
「じゃあ、息子と結婚するまで貸しにしておくのはどうかな?いつか家に来てくれたときに返してくれたらいい」
思いがけない提案に目を丸くしている清流を見て悪戯っぽく笑う顔は、やはり洸に少し似ていると思った。
「ところで、本当にうちの息子でいいのかい?なかなか頑固で子どもっぽいところもあるけれど」
少し肩を竦めて苦笑する駿に、清流はちらりと洸を振り返る。
これまで過ごした半年間の中で洸が見せてくれた、いろんな顔の一つ一つを思い返す。
優しいところも、厳しいところも、実は嫉妬深いところも。
何気ない日常が愛おしく思えるものをたくさんもらった。
そしてそれらが、これからの日々を彩ってくれて、幸せにしてくれるものだと知っている。
「はい、もちろんです」
「うちの息子は幸せ者だね」
過去を嘆くことはもうしない。
ありのままを認めて受け入れてくれる人が、
こんなにも自分の周りにいてくれるから。
「…またなんか余計なこと言ってるだろ」
「それは清流さんと私との秘密だ」
「だから気安く呼ぶなって。もう行くぞ清流」
不意に洸が清流の手を取って強く握るので、清流は驚いて洸の顔を見上げる。
「!?ちょっ、ご、ご両親の前ですよ…!?」
「いいだろ、もう恋人同士なんだから」
後ろからおやおや、とか、あらあらなんて声が聞こえて真っ赤になる清流の顔を見て――洸はりんごみたいだな、と笑った。
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