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4-5 王立学園

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 学園生活が始まると予想していたよりも忙しくなった。

 この学園に入学した女生徒は大半が結婚相手を探しに来ている、と言うのもあって、好条件であるオリヴァーの周囲には自然と女生徒が集まった。英雄と呼ばれる祖父を持ち、王の右腕として文官のトップに立つ父を持ち、なおかつ侯爵家の次男とあらば引く手あまただ。前回の人生でもそれなりに女生徒に人気があったけれど、自分よりもオリヴァーが目立つのを許せなかったルドルフの妨害により徐々に数を減らして卒業時にはほとんど女生徒が寄り付かなくなっていた。

 男女ともに好意を持たれることが多かったけれど、オリヴァーは一応、異性愛者だ。ルドルフに隠れて女性と遊ぶことも多かったが、今回は隠れる必要もないわけだし大っぴらに遊ぶつもりでいたけれど、予想に反して手を付ければ後々面倒になりそうな気配もあり、なんやかんや誠実な毎日を送っている。この学園に来ている女生徒に後腐れのない関係を求めた自分がバカだった、と反省した。

 オリヴァー自身、女に飢えているのか、と言えばそうでもない。ただ前回の人生で出来なかったことをしたいと思っただけだったので、意外とルドルフに抑制されていたことを知る。好奇心で身を滅ぼすのも避けたい。

 そうなると必然的に絡む相手は同年代の男になっていくのだが、あまり嬉しくないことにバルナバスが同じクラスとなってしまいやたらと絡んでくるのでいつの間にか行動まで共にするようになってしまった。

 重ねて残念なのが選択した科目も剣術で被ってしまっている。

「その顔、どうにかなりません?」

「どうして組む相手がお前なんだ?」

 二人一組になっての打ち合いも、大体がバルナバスと一緒だ。

「俺だって勘弁してほしいところがあるんですよ。どうしてオリヴァー様と仲がいいのかって問い詰められるんですから」

「仲良くはないだろう」

「そうなんですけど、周りから見たらそうでもないようで」

 ちらちらと注目を浴びているのに気づいてオリヴァーがそちらに視線を向けると、パッと逸らされる。

「でも、俺のおかげでルドルフ殿下から逃げられてるんでしょう?」

 にこりと人懐こい笑みを向けられて、オリヴァーは眉間に皺を寄せる。近寄ってくるバルナバスをしっかり拒絶しないのは彼の言うとおりだ。どうしてか嫌われているバルナバスが傍にいれば、ルドルフが近寄ってこない。おかげで快適な学園生活が送れている。

「オリヴァー様ってやたらと王族から気に入られてますね?」

「…………全く、嬉しくない話だ」

 オリヴァーは力なくぶんと剣を振った。

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