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3-3 Bub
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寄宿学校に通える人数はそう多くないことから、一学年一クラスだ。王子のルイーズやアルフォンス、オズワルドは同じクラスだった。先程の愚行を謝りたくなったけれど、王子が同じクラスにいるとなれば人がそこに集中してしまい、その輪に入る勇気がなかった。
ルイーズには入学式での共通イベントの他に教室で声を掛けられる出会いイベントがある。ルイーズに声を掛けられるには全ステータス50以上が必要になり、周回アイテムがないと出会いすら厳しい。ステータスをまんべんなく上げるのも大変なのに王子とはイベントも多く、一年の序盤で出会っておかないとプロポーズイベントまで完走しない。
ま、そんなヒロインの展開なんてモブの俺には全く関係ない。逆玉狙いは俺の精神的にきついから、この三年間でいい就職先を探すほうが簡単そうだ。そのためには成績上位に食い込んで優秀な人物であるというアピールが必要だ。ゲーム内であろうがなかろうが、俺自身のステータス上げは必要な作業らしい。
セント・ルーネカレッジには部活動があり、自身のスキルを上げるものや攻略対象者たちと同じクラブなど選択肢は色々ある。ただヒロインは生活費を稼がなければならないため、部活動をしていると他のステータスを上げられないというデメリットもあった。親密度を上げるには打って付けなので、あまりステータスを必要としないキャラを攻略するなら部活に入るのは悪くない。
俺はというとどんなことが得意で何ができないのかが分かるまで部活動には入らないつもりだった。興味本位で入って周囲の足を引っ張るのも嫌だ。それに俺も週に二回ぐらいはバイトをしないと日々の生活が大変だ。学校には前もって許可を取ってあるので門限さえ守ればバイトに出るのは問題ない。あまりいい顔をされなかったが。
教師も教師で有力貴族の次男だったりするのでこの学校を卒業している人が多い。バイトをしてまで学校に通う気持ちが理解できないのだろう。けれどそれを気にして虚勢を張ったところで生活ができないのだから仕方ない。
バイトは学校からさほど距離のない食堂ですることになった。夜は居酒屋としても経営していて酒を提供する店に学生が働きに出るのに難色を示されたけれど、土日の日中だけでは休みがほとんどないので平日の晩一日と土曜の日中だけ働くことになった。
貴族の子息令嬢が庶民が通う食堂になんて来ることもないだろう。バイトしている間だけは何も考えずに済みそうだ。
寮では二人一部屋で生活する。ここでは貴族階級など関係なく、王子と言えど例外ではない。それでも王子と一緒になる人は限られていて、彼の側近でもあるジェイクが同室だ。てっきり王子と友人でもあるアルフォンスが同室なのかと思っていたけれど違ったらしい。ゲームではジェイクを差し置いてアルフォンスが同室だった。
「まさか、同じ部屋になるとは思わなかったなあ」
にこにこと微笑んでいるアルフォンスに俺は一歩たじろぐ。人数こそは多くないけれど、どんな確率でアルフォンスと同室を引いてしまったのだろうか。嫌いと言うわけではないが、俺をおちょくったり馬鹿にしてきたりするところもあって、アルフォンスに対して苦手意識を持ち始めていた。
ルイーズには入学式での共通イベントの他に教室で声を掛けられる出会いイベントがある。ルイーズに声を掛けられるには全ステータス50以上が必要になり、周回アイテムがないと出会いすら厳しい。ステータスをまんべんなく上げるのも大変なのに王子とはイベントも多く、一年の序盤で出会っておかないとプロポーズイベントまで完走しない。
ま、そんなヒロインの展開なんてモブの俺には全く関係ない。逆玉狙いは俺の精神的にきついから、この三年間でいい就職先を探すほうが簡単そうだ。そのためには成績上位に食い込んで優秀な人物であるというアピールが必要だ。ゲーム内であろうがなかろうが、俺自身のステータス上げは必要な作業らしい。
セント・ルーネカレッジには部活動があり、自身のスキルを上げるものや攻略対象者たちと同じクラブなど選択肢は色々ある。ただヒロインは生活費を稼がなければならないため、部活動をしていると他のステータスを上げられないというデメリットもあった。親密度を上げるには打って付けなので、あまりステータスを必要としないキャラを攻略するなら部活に入るのは悪くない。
俺はというとどんなことが得意で何ができないのかが分かるまで部活動には入らないつもりだった。興味本位で入って周囲の足を引っ張るのも嫌だ。それに俺も週に二回ぐらいはバイトをしないと日々の生活が大変だ。学校には前もって許可を取ってあるので門限さえ守ればバイトに出るのは問題ない。あまりいい顔をされなかったが。
教師も教師で有力貴族の次男だったりするのでこの学校を卒業している人が多い。バイトをしてまで学校に通う気持ちが理解できないのだろう。けれどそれを気にして虚勢を張ったところで生活ができないのだから仕方ない。
バイトは学校からさほど距離のない食堂ですることになった。夜は居酒屋としても経営していて酒を提供する店に学生が働きに出るのに難色を示されたけれど、土日の日中だけでは休みがほとんどないので平日の晩一日と土曜の日中だけ働くことになった。
貴族の子息令嬢が庶民が通う食堂になんて来ることもないだろう。バイトしている間だけは何も考えずに済みそうだ。
寮では二人一部屋で生活する。ここでは貴族階級など関係なく、王子と言えど例外ではない。それでも王子と一緒になる人は限られていて、彼の側近でもあるジェイクが同室だ。てっきり王子と友人でもあるアルフォンスが同室なのかと思っていたけれど違ったらしい。ゲームではジェイクを差し置いてアルフォンスが同室だった。
「まさか、同じ部屋になるとは思わなかったなあ」
にこにこと微笑んでいるアルフォンスに俺は一歩たじろぐ。人数こそは多くないけれど、どんな確率でアルフォンスと同室を引いてしまったのだろうか。嫌いと言うわけではないが、俺をおちょくったり馬鹿にしてきたりするところもあって、アルフォンスに対して苦手意識を持ち始めていた。
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