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第一章 悪魔の花嫁
堕ちし城 act1
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「先に行って!」
ハーヴィーの双剣が翻り、けれどその男だったものは背をそらし――異常に深く身体を折った。剣戟から逃げ、のけぞった上半身をバネのように跳ね上がらせ、剣を持った腕を勢いに乗せて振り下ろし――ハーヴィーはバックステップで大きく距離を取る。
下がりながら、聖水を瓶ごと男に投げつけた。
「ハーヴ!」
「はやく!もう――【夜】だから!」
駆け寄ろうとしたエルドに、ハーヴィーはさらに聖水を男だったものに投げつけ、怒鳴った。
「ここはいいから!」
「俺らが負けるわきゃねえ」
ゴッ!と鈍い音が響く。ドラクルがもうひとりを小手で殴り、それがよろけたすきに蹴り飛ばした。
武装した男だったものは地面に倒れる。だが、ほんの数瞬ですっくと立ち上がった。
「はやく!」
「……分かった」
エルドは剣を握りしめ、身体の向きを変えた。
その背中越し、聞き馴染んだ祈りがふたつ重なる――
すでに、宵闇があたりを暗くした。
それに混じって、ぽこ、ぽこ、と地から、拳よりも小さな黒いものが生まれ出てくる。それは、手足のない犬のようだったり、角を持ったカエルのようだったり、潰れた胴体の魚だったり。
あとから、あとから、地面から生まれ出てはふわりと漂う。
2日かけてたどり着いたときには、すでにこの城――ネモイラ公爵の居城は、瘴気と邪鬼に囲まれていた。
中に入ってもいないのに、周囲の空気は濁りきっていた。
《力よ、鎧になれ》
あまりの匂いに、たまらず力の膜を作って全身に纏う。それを見たハーヴィーも加護術で皮膜を作り、ドラクルにも同じように。
「あー助かったわ」
「もちろん【夜】になったら切れるから、自分でしてよね」
「ああ……しかし、」
城の敷地の手前だ。
あたりは荒野で、堀が城の周囲を囲っている。城壁がなく、おかげで様子はよく見えた。
盛り土をしたのか、中心の城の土台は周囲より高く作ってある。四角く、石レンガを頑丈に組み合わせ、物見の塔が四隅にある。真ん中にホールがあるのか、丸い屋根がある。
その周りは、城下町だった。ただ、城に従事する人々しか住まわせていないらしい。家は100軒もないとか。
堀は等間隔に、三方に跳ね橋があり、今はひとつだけ下がっていた。
そこに、うろうろと人間だったものが、待ち構えていた。
「……アンデッド、か?悪ぃ、まだ見えねえ」
ドラクル目をすがめているが、加護がまだ戻ってこないのだろう、不完全な夜目はうっすらとしか風景を見せないようだ。
「ああ。……兵士の格好をしているな」
「門番かもね」
いたましそうに、まだ離れた距離でハーヴィーは祈った。そして、不安そうにこちらを見た。
「――エルド、どう」
「まだ、致命的なほどの大きな力は感じない」
城の内部から、圧迫するような空気は感じている。
徐々に威力は増している気がする――これは、間違いなく、堕術。
やはり、公爵は、悪魔を――最上級の【魔王】を召喚しようとしている。
「やっぱりおかしいね」
ハーヴィーはすでに双剣を柄を握っている。
「なんで召喚しないの」
「ああ。気づいたのかもしれない」
2日だ、壊滅した村をあとにして。
もうすでに召喚の儀式は行われていてもおかしくなかった。
けれど、一縷の望みをかけて急行したエルドたちは、間に合ってしまった。
「たしかに、犠牲の数的には少ないな……」
ドラクルが物憂げにつぶやく。
「国一個分くらいは必要だったか」
生贄の数が、【魔王】を召喚するには足りなかった。
気づいたのは、数回やり取りした総本山からの情報でだ。
一時はどうなるかと思ったクヴェイヴ王国の治安は、国と夜の教会の全面協力で沈静化した。王都に迫る前にアンデッドは駆逐し、不安がる国民たちを昼の教会が祈りを捧げて守っている。
犠牲は、公爵領の全滅、その周辺の村々で数人の被害。
悪鬼なら足りた上に無意味なほど殺しているが、魔王となるとまだ流れた血は少ない。
どっちつかずで、そのくせ儀式はまだ行われていない。
何かがおかしい。
「――地図は頭に入ったか」
「うん」
「ああ」
もはや、城全部が堕術に飲み込まれていて、加護術の探知もエルドの鼻も効かない。
決して狭くはない城を、公爵を探して回らなければならない。
地図はガラロックの教会ですでにもらっていて、それぞれ道中で覚えておいた。
ずっと、ぴりぴりと体中が騒いでいる。
(【敵】がいる)
何かが、エルドの中で、忌むべき存在がここにいるのだと。
早く倒せと、喚いている。
「【六導士】は――間に合わなかったね」
引きつった笑みでハーヴィーが愚痴る。
「もう【夜】だ。それに待っていてもしょうがない。召喚されていない今が……最後のチャンスだ」
対悪魔に特化した、最強の神官集団。
しかし【昼】の加護であり、今から到着しても戦力としては扱えない。
そして――彼らでも、万が一【魔王】が召喚されてしまえば、対処はできるかどうか。
うぬぼれではなく、純然たる事実として、この場では【魔王】に相対できるものは、【対悪魔殲滅兵器】――エルドしかいない。
「……お前ら、本当にいいのか?」
振り返ると、ふたりはきょとんとして、それからハーヴィーは呆れたようにため息をつき、ドラクルは首を振る。
「もう、決めただろ」
「俺も神官だ、ここで逃げらんねえよ」
「そうか。でも、もし――」
「しつこいよ、エルド」
ハーヴィーはむっとした表情で、ずいと身を乗り出した。
「無駄死にはしないよ、ただ、オレは、オレたちは神の導きにより使命を全うするだけ」
「危なくなったら俺ぁ逃げるぞ?」
「……ドラー?」
「そうだろ、エルドを失うわけには行かねえし」
「え?俺?」
何を言っているのだか。
ドラクルは剣を抜いて、聖水をの瓶を握る。
「ああ、そうだね。それこそエルドがいなくなれば世界はどうなっちゃうやら」
はあーと、長いため息をついて、ハーヴィーも双剣をすらりと抜く。
「いやでも、倒せなかったらそれは」
「はーい、行くよー」
「やれやれ、さっさと夜にならねえかな」
「……はあ、もう」
何を言っているのか、たまに仲間たちのことがよく分からない。
ともかく、目の前のことをしなければ。
「行くぞ」
三人はいっせいに走り出した。
ハーヴィーの双剣が翻り、けれどその男だったものは背をそらし――異常に深く身体を折った。剣戟から逃げ、のけぞった上半身をバネのように跳ね上がらせ、剣を持った腕を勢いに乗せて振り下ろし――ハーヴィーはバックステップで大きく距離を取る。
下がりながら、聖水を瓶ごと男に投げつけた。
「ハーヴ!」
「はやく!もう――【夜】だから!」
駆け寄ろうとしたエルドに、ハーヴィーはさらに聖水を男だったものに投げつけ、怒鳴った。
「ここはいいから!」
「俺らが負けるわきゃねえ」
ゴッ!と鈍い音が響く。ドラクルがもうひとりを小手で殴り、それがよろけたすきに蹴り飛ばした。
武装した男だったものは地面に倒れる。だが、ほんの数瞬ですっくと立ち上がった。
「はやく!」
「……分かった」
エルドは剣を握りしめ、身体の向きを変えた。
その背中越し、聞き馴染んだ祈りがふたつ重なる――
すでに、宵闇があたりを暗くした。
それに混じって、ぽこ、ぽこ、と地から、拳よりも小さな黒いものが生まれ出てくる。それは、手足のない犬のようだったり、角を持ったカエルのようだったり、潰れた胴体の魚だったり。
あとから、あとから、地面から生まれ出てはふわりと漂う。
2日かけてたどり着いたときには、すでにこの城――ネモイラ公爵の居城は、瘴気と邪鬼に囲まれていた。
中に入ってもいないのに、周囲の空気は濁りきっていた。
《力よ、鎧になれ》
あまりの匂いに、たまらず力の膜を作って全身に纏う。それを見たハーヴィーも加護術で皮膜を作り、ドラクルにも同じように。
「あー助かったわ」
「もちろん【夜】になったら切れるから、自分でしてよね」
「ああ……しかし、」
城の敷地の手前だ。
あたりは荒野で、堀が城の周囲を囲っている。城壁がなく、おかげで様子はよく見えた。
盛り土をしたのか、中心の城の土台は周囲より高く作ってある。四角く、石レンガを頑丈に組み合わせ、物見の塔が四隅にある。真ん中にホールがあるのか、丸い屋根がある。
その周りは、城下町だった。ただ、城に従事する人々しか住まわせていないらしい。家は100軒もないとか。
堀は等間隔に、三方に跳ね橋があり、今はひとつだけ下がっていた。
そこに、うろうろと人間だったものが、待ち構えていた。
「……アンデッド、か?悪ぃ、まだ見えねえ」
ドラクル目をすがめているが、加護がまだ戻ってこないのだろう、不完全な夜目はうっすらとしか風景を見せないようだ。
「ああ。……兵士の格好をしているな」
「門番かもね」
いたましそうに、まだ離れた距離でハーヴィーは祈った。そして、不安そうにこちらを見た。
「――エルド、どう」
「まだ、致命的なほどの大きな力は感じない」
城の内部から、圧迫するような空気は感じている。
徐々に威力は増している気がする――これは、間違いなく、堕術。
やはり、公爵は、悪魔を――最上級の【魔王】を召喚しようとしている。
「やっぱりおかしいね」
ハーヴィーはすでに双剣を柄を握っている。
「なんで召喚しないの」
「ああ。気づいたのかもしれない」
2日だ、壊滅した村をあとにして。
もうすでに召喚の儀式は行われていてもおかしくなかった。
けれど、一縷の望みをかけて急行したエルドたちは、間に合ってしまった。
「たしかに、犠牲の数的には少ないな……」
ドラクルが物憂げにつぶやく。
「国一個分くらいは必要だったか」
生贄の数が、【魔王】を召喚するには足りなかった。
気づいたのは、数回やり取りした総本山からの情報でだ。
一時はどうなるかと思ったクヴェイヴ王国の治安は、国と夜の教会の全面協力で沈静化した。王都に迫る前にアンデッドは駆逐し、不安がる国民たちを昼の教会が祈りを捧げて守っている。
犠牲は、公爵領の全滅、その周辺の村々で数人の被害。
悪鬼なら足りた上に無意味なほど殺しているが、魔王となるとまだ流れた血は少ない。
どっちつかずで、そのくせ儀式はまだ行われていない。
何かがおかしい。
「――地図は頭に入ったか」
「うん」
「ああ」
もはや、城全部が堕術に飲み込まれていて、加護術の探知もエルドの鼻も効かない。
決して狭くはない城を、公爵を探して回らなければならない。
地図はガラロックの教会ですでにもらっていて、それぞれ道中で覚えておいた。
ずっと、ぴりぴりと体中が騒いでいる。
(【敵】がいる)
何かが、エルドの中で、忌むべき存在がここにいるのだと。
早く倒せと、喚いている。
「【六導士】は――間に合わなかったね」
引きつった笑みでハーヴィーが愚痴る。
「もう【夜】だ。それに待っていてもしょうがない。召喚されていない今が……最後のチャンスだ」
対悪魔に特化した、最強の神官集団。
しかし【昼】の加護であり、今から到着しても戦力としては扱えない。
そして――彼らでも、万が一【魔王】が召喚されてしまえば、対処はできるかどうか。
うぬぼれではなく、純然たる事実として、この場では【魔王】に相対できるものは、【対悪魔殲滅兵器】――エルドしかいない。
「……お前ら、本当にいいのか?」
振り返ると、ふたりはきょとんとして、それからハーヴィーは呆れたようにため息をつき、ドラクルは首を振る。
「もう、決めただろ」
「俺も神官だ、ここで逃げらんねえよ」
「そうか。でも、もし――」
「しつこいよ、エルド」
ハーヴィーはむっとした表情で、ずいと身を乗り出した。
「無駄死にはしないよ、ただ、オレは、オレたちは神の導きにより使命を全うするだけ」
「危なくなったら俺ぁ逃げるぞ?」
「……ドラー?」
「そうだろ、エルドを失うわけには行かねえし」
「え?俺?」
何を言っているのだか。
ドラクルは剣を抜いて、聖水をの瓶を握る。
「ああ、そうだね。それこそエルドがいなくなれば世界はどうなっちゃうやら」
はあーと、長いため息をついて、ハーヴィーも双剣をすらりと抜く。
「いやでも、倒せなかったらそれは」
「はーい、行くよー」
「やれやれ、さっさと夜にならねえかな」
「……はあ、もう」
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