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第9話 冒険者

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「ふぅ~…やっと町に入れたねぇ~…」


 あの後、ルドフさんが呼んだ皆に囲まれて、町に入るのに結局1時間が経っていた。


「まぁ、封印の女神にそれを解いた英雄ですから、仕方ないですよ」

「ちょっと勘弁してほしいですね…」

「そうだね…流石に恥ずかしかった……でも、魔族でも受け入れられてる感じがして嬉しかった…」

「イリーナ………良かったね」

「うん…!」


 ━━本当に嬉しそうに━━それでいて少し恥ずかしそうに頬を染めるイリーナの笑顔に惹かれてると……


「ん、んー!………お二人さん?仲が良いのは結構なんですが、そろそろ行きません?」


「「あ、はぃ……」」


 気づいたら、道のど真ん中でイリーナと見つめあってて、周りから生暖かい目で見られていた……は、恥ずかしい……


「さて、魔物の解体と冒険者登録するんでしたよね?冒険者ギルドに向かいましょうか」


「「はーい」」


 それからしばらく中央通りを真っ直ぐ歩くと、町の中心部の大きな広場に出た。中央には噴水があり、広場の周りには屋台も出てかなり賑わっていた。
 そして広場に面した3階の大きい建物の一つ、剣と盾の看板が掲げられた建物に入った。

 中は広々としていて左側には掲示板がいくつもあり、右側は談笑スペースみたいでイスやソファーが置かれていた。
 奥にはカウンターがあり、受付のお姉さんが5人働いていた。その内の一人、栗色の髪を肩まで伸ばした大きな胸の女性にマーカスさんが話しかけた。


「こんにちは、ヘレナさん」

「マーカスさん、こんにちは。こちらに来るのは珍しいですね…依頼ですか?」

「いえ、魔物の解体、買い取りと…こちらの二人の冒険者登録をお願いしに来たんですよ」

「あ、そうなんですね、じゃあ魔物の解体はいつも通り裏でしてますんで行ってもらえますか?」

「はい、ではお二人さん、先に解体の方は進めておくので、登録が終わったらこの建物の裏に来て下さい。そちらの扉から行けますよ」

「分かりました、お願いします。」

「では、お二人はこちらにおいでください。はじめまして、私はヘレナと言います。」

「はじめまして、山本康介です。」

「あ、はじめまして、イリーナと言います。」

「ではこちらの書類に必要事項を記入お願いします。その後、注意事項等を説明しますね」

「分かりました。」


 書類に目を通してみると、今まで見たことが無いような文字が並んでいたんだけど…何故か読むことが出来た、これは言語理解のおかげかな?書くことも問題無さそうだ




   *****




「はい、二人ともありがとうございます。では冒険者カードが出来上がるまで、注意事項等説明しますね?

 冒険者は基本的に危険なことが多いため、もし死んでしまっても自己責任と言う形をとってます。
 ランクはF~A・Sとなっており、お二人はFランクからのスタートになります。依頼は一つ上のランクまで受けることが可能ですが…ただ、もし依頼を失敗しますと、違約金が発生しますのでご注意下さい。

 各ランクに応じた依頼達成率で1つ上にランクアップします。…ただ、Cランクからは昇格試験がありますので覚えておいてくださいね?」


 一区切りついたところで、ちょうどカードが出来たらしく、こちらに渡してきた


「では、こちらが冒険者カードになります。最初は無料ですが、無くされて再発行と成りますと3万クルドかかりますので、無くさないでくださいね?

 そしてこのカードですが、ランクが色で分かるようになってましてFから順に、紫・青・緑・黄・赤・銀・金となっています。

 …以上で説明は終わりますが、もしなにか分からないことが出来れば聞きに来て下さいね?」

「はい、ありがとうございます。じゃあイリーナ、行こうか?」

「えぇ、行きましょう。…ヘレナさん、ありがとうございました。」

「どういたしまして、またのお越しをお待ちしております。」


 こうして俺たちは冒険者となったのだった。
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