5 / 49
第4話 外へ
しおりを挟む
私は〈あいつ〉に騙されて封印されてしまった…そんな私を助けてくれたのが黒髪の人間、康介。
本人は否定したが、おそらく勇者だと思う…異世界から来たならそれしかあり得ないから。どうしてこんなところに召喚されたかは分からないけど………
身体以外の服や装備が、クリスタルと同化して封印と一緒に消えてしまうなんて…あれから数年は経ってるよね……ユーカリアの町、どうなってるのかな………
…魔族のみんな、無事なのかな……気になるけど…行くのが怖いな……康介が一緒に行こうとしてくれてるのが、本当に嬉しい…
うん…嬉しい…康介は魔族の私でも、話も聞いてくれて…慰めてくれて…本当に嬉しかった…
今度は私が康介に恩返しする番だよね!異世界から来たんだから分からないこと多いだろうし、私が助けてあげなきゃ!
*****
「それじゃあ、魔法の訓練始めようか、…と言っても確か触れるだけで覚えちゃうんだよね?」
「そうだね、ただどれくらい接触すれば良いかは分かんないけどね」
「それなら一緒に、今から試してみよう?」
『水よ 我が前に集え その力を示せ すべての敵を撃ち抜け【水球】』
イリーナが詠唱を始めると同時に、何処からともなく水が彼女の周りに現れて、伸ばした右手の先に集まりだし、最終的に巨大な水の塊が出来た。
「スゲー!それにカッコいい!」
「そ、そう?ちなみにこれが、lv.1の水魔法ね、ただ私はlv.3だから大きさ、威力、飛距離が増えているわ。」
「なるほど…いや~魔法なんて存在しない世界だったから、これぞ魔法って感じで感動するね!」
「そうなんだ?後で良いんだけど、元の世界のこと聞いても良い?」
「良いよ~、じゃあそろそろ触って覚えてみるね?」
「うん。」
俺は恐る恐る指を近づけて、一瞬触れてみる。変化はなく、徐々に触れる時間を伸ばしつつ、何度か試してみたところ、しばらくして
《スキル【水魔法】を覚えました》
「…うーん、習得するのに約2秒ってところかな…?」
「短いようで、長いね…普段なら問題ないだろうけど、戦闘中は厳しいね…」
「まぁそうなんだけど…実はそれに関しては考えがあるんだ~。」
「ホントに?聞かせてくれる?」
「後でね?先に他の魔法覚えたいな。」
「ん、了解。じゃあ次は………」
こうして俺とイリーナはスキルの習得とその練習をこの部屋でしばらく過ごすのだった。
ちなみにスキルは魔法全部と【二重詠唱】が習得できた。他は無理でした…残念!
まぁこれだけでも充分なんだけどね…一応、身体強化と魔力強化なんだけど、常時ステータス増加効果があるらしい…いつか習得できると良いな…
ま、嘆いても仕方ないし、今は練習あるのみ…!
*****
「…いや~やっと外に出れたねぇ~」
回りは木々が立ち並び、背後には絶壁の岩山がそびえていた。どうやら今までいたところは岩山の洞窟の奥に作られた部屋だったみたいだ。
「そうだね、何だかんだで色々と試してたら、かなり時間がたってたし…いい加減行かなきゃね…」
「…大丈夫…?まだキツいなら休んで良いよ?」
「ううん…大丈夫だよ?それに…何かあっても、康介がいるから心配ないよ」
「そ、そっか……」
「うん………」
…か、可愛い………頼りにされてめっちゃ嬉しいけど…て、照れるな…これは……こんちくしょー………
しばらく互いに頬を染めて、相手の顔をなかなか見ることができずに、無言の時間が流れた。
「……そ、そろそろ行こうか!ユーカリアって、ど、どっちかな?」
「う、うん!えっと、こっちだよ」
先程の甘酸っぱい空気をかき消すように、話を変えて先に進む二人…まずは町への街道を目指しつつ、資金を得るため森で探索しだした。
本人は否定したが、おそらく勇者だと思う…異世界から来たならそれしかあり得ないから。どうしてこんなところに召喚されたかは分からないけど………
身体以外の服や装備が、クリスタルと同化して封印と一緒に消えてしまうなんて…あれから数年は経ってるよね……ユーカリアの町、どうなってるのかな………
…魔族のみんな、無事なのかな……気になるけど…行くのが怖いな……康介が一緒に行こうとしてくれてるのが、本当に嬉しい…
うん…嬉しい…康介は魔族の私でも、話も聞いてくれて…慰めてくれて…本当に嬉しかった…
今度は私が康介に恩返しする番だよね!異世界から来たんだから分からないこと多いだろうし、私が助けてあげなきゃ!
*****
「それじゃあ、魔法の訓練始めようか、…と言っても確か触れるだけで覚えちゃうんだよね?」
「そうだね、ただどれくらい接触すれば良いかは分かんないけどね」
「それなら一緒に、今から試してみよう?」
『水よ 我が前に集え その力を示せ すべての敵を撃ち抜け【水球】』
イリーナが詠唱を始めると同時に、何処からともなく水が彼女の周りに現れて、伸ばした右手の先に集まりだし、最終的に巨大な水の塊が出来た。
「スゲー!それにカッコいい!」
「そ、そう?ちなみにこれが、lv.1の水魔法ね、ただ私はlv.3だから大きさ、威力、飛距離が増えているわ。」
「なるほど…いや~魔法なんて存在しない世界だったから、これぞ魔法って感じで感動するね!」
「そうなんだ?後で良いんだけど、元の世界のこと聞いても良い?」
「良いよ~、じゃあそろそろ触って覚えてみるね?」
「うん。」
俺は恐る恐る指を近づけて、一瞬触れてみる。変化はなく、徐々に触れる時間を伸ばしつつ、何度か試してみたところ、しばらくして
《スキル【水魔法】を覚えました》
「…うーん、習得するのに約2秒ってところかな…?」
「短いようで、長いね…普段なら問題ないだろうけど、戦闘中は厳しいね…」
「まぁそうなんだけど…実はそれに関しては考えがあるんだ~。」
「ホントに?聞かせてくれる?」
「後でね?先に他の魔法覚えたいな。」
「ん、了解。じゃあ次は………」
こうして俺とイリーナはスキルの習得とその練習をこの部屋でしばらく過ごすのだった。
ちなみにスキルは魔法全部と【二重詠唱】が習得できた。他は無理でした…残念!
まぁこれだけでも充分なんだけどね…一応、身体強化と魔力強化なんだけど、常時ステータス増加効果があるらしい…いつか習得できると良いな…
ま、嘆いても仕方ないし、今は練習あるのみ…!
*****
「…いや~やっと外に出れたねぇ~」
回りは木々が立ち並び、背後には絶壁の岩山がそびえていた。どうやら今までいたところは岩山の洞窟の奥に作られた部屋だったみたいだ。
「そうだね、何だかんだで色々と試してたら、かなり時間がたってたし…いい加減行かなきゃね…」
「…大丈夫…?まだキツいなら休んで良いよ?」
「ううん…大丈夫だよ?それに…何かあっても、康介がいるから心配ないよ」
「そ、そっか……」
「うん………」
…か、可愛い………頼りにされてめっちゃ嬉しいけど…て、照れるな…これは……こんちくしょー………
しばらく互いに頬を染めて、相手の顔をなかなか見ることができずに、無言の時間が流れた。
「……そ、そろそろ行こうか!ユーカリアって、ど、どっちかな?」
「う、うん!えっと、こっちだよ」
先程の甘酸っぱい空気をかき消すように、話を変えて先に進む二人…まずは町への街道を目指しつつ、資金を得るため森で探索しだした。
0
お気に入りに追加
230
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【絶対幼女伝説】 〜『主人公は魔王なのに』を添えて〜
是呈 霊長(ぜてい たまなが)
ファンタジー
彼の昔、最強の吸血鬼であり最強の魔王『ゼティフォール』が世界を闇で支配していた。
時を経て、神の力を手に入れし勇者率いる英雄によって、100年の闇による統治は終わりを迎えたのだった。
それから400年後、魔王が目を覚ました!
闇と共に滅ぼされるかに思えたゼティフォールだったが、勇者と神の意思により長らえていたのだ。
『再び危機が迫った時、新しき勇者と"共に"世界を救う』ために。
目を覚ましたゼティフォールは危機の訪れを察し、敵を迎え撃つ!
最強の名を欲しいままに、魔王の名を知らしめるが如く、勇者など必要ないと言わんばかりに!
最強の名は伊達じゃない。
復活した魔王軍だけの力で世界を救ったのだった!
…………という予定だったが、うまく行かず、敵こそ撃退したものの魔王たる力を無くし、圧倒的強さも奪われ、残ったのはプライドだけ。
しかも、見ず知らずの土地に飛ばされ、雑魚モンスターにいじめられる始末。
服もボロボロ、体もボロボロ、唯一残ったプライドすらもボロボロ。
そんな哀愁漂うゼティフォールを救ったのは、天使のような翼を持った"最強"の幼女『ステラ』だった!
ステラというチートな仲間を手に入れたゼティフォールの快進撃? が始まる──
頑張れゼティフォール!
負けるなゼティフォール!
今は幼女にお守りされる身だが、いずれ最終的には、多分、きっと、いつの日か、ひとり立ちしてプライドに見合った実力を取り戻すのだ!!
※一応主人公は魔王です
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる