せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空

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教会と村人1

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 だったらまだ、自分の属性クソだから、他の属性も引きずり落してやりたい、みたいな、ざっくりとした感情?のほうがありそうな気がする。
 ……ていうか、それじゃね?ぱっと思いついた割には、一番尤もらしい答えを、得られたような。
 だって彼、魔法に憧れてる節があったし、結構、負けず嫌いなところあるし、自分のためなら、他人を不幸にすることも厭わない人間だし。

 うん。決まりだ。俺の中ではそうなんだろう、と思うことにした。一番有力だからね。

「飛べばよいの」

 飛ぶぅ?ラルゴさんは、いとも簡単そうに言ったけど。飛ぶって。……飛ぶって。え?飛べるの?この世界にも飛行機って存在するの?いやいや、そんな馬鹿な。

「飛ぶって、どう飛ぶんですか」
「どうって……魔法でじゃよ」

 同じような疑問を抱いたらしい、八束が尋ねると、寧ろ聞かれた側であるラルゴさんの方が、不思議そうな顔をして答える。

 ……ああ、魔法ね。そうか、魔法一つで、人間の科学の結晶は、いとも容易く、模倣されてしまうのか……。そりゃ科学なんて発展しないわ。どう考えたって、地道だし、無駄でしょ。
 あるところまでいけば、この世界でも役に立つかもしれないけど。そこまで行くには、幾つもの、道筋を乗り越えなきゃいけない訳で。その道のりの過程が、この世界だと、全部、『魔法で出来ること』になりかねない。
 って言うか、魔法を詳しく知らない人間としては、魔法を使えば、何でも……それこそ科学では出来ないようなことも、出来そうな気がしてる。
 そうなると、この世界においては、科学なんて、無駄でしかない……のかもね。実際発展してない訳だし。

 そこは少し悲しさを覚える。全然、科学が好き、とか、科学に携わっていた、とか、そんなのは微塵もないんだけど。
 何だろ。愛着、なのかな。それとも、故郷を思う心、とか?
 ……なんか、しっくりこない。

 んー。何なんだろう。いや、どうでもいいっちゃ、いいんだけど。
 ……まあ、どうでもいいか。うん。
 じゃあ、保留ってことで。

「飛ぶには風魔法を使う必要があるんじゃがの、そこそこの金額を出せば、飛ぶための魔道具が帰るからのう……。じゃから、飛ぶことはそんなに難しくない。故に、土属性は守りに特化した魔法、という認識があるの」

 へー。じゃあ、金さえ払えれば、俺でも飛べるって事か。それはちょっと気になる。
 まあ、その魔道具を購入するのに、どの程度のお金が必要なのか分からないし、そもそも俺たちはどうやって生活し、どう、お金を稼ぐか、どの程度稼げるのか、はたまた稼げないのか。なんてことが、何一つ分からない今、飛ぶなんて、夢のまた夢の話なんだけど。

「じゃあ、騎士が好みそうな魔法っすね」
「そうじゃの」

 確かに。騎士なんて守ってなんぼ、ってイメージだからな。だから、土属性の騎士は優秀って事か。まあ一概には言えないだろうけど。
 しかし、土属性か……。騎士にそのイメージはあんまりなかった。もっとド派手に……。
 ……ん?

「光属性?の騎士も多いんじゃないでしょうか?」

 聖騎士、とでも言うのだろうか?それ単体で名前がついているくらいだから、前の世界では、かなりメジャーな存在だったと記憶しているのだけれど、この国には、いないのだろうか?
 ネーロさん達が聖騎士だとは、思えないしなあ。

「……ああ、光属性は……のう。そもそもそんなに人数がおらぬ上に、その少しの属性持ちも、教会に引き取られるものじゃからのう……」

 あっれ。それってもしかして誘拐?

「まさか、親から無理矢理引きはがしたり、してませんよね?」
「……貴族の場合はの」

 江戸時代然り、中世ヨーロッパ然り、偉い身分の人は、一握りしかいない。と相場が決まっている。そんなに貴族がワラワラいたら、社会が崩壊するからね。
 要は何が言いたいかと言うと、この世界でも大半は貴族以外の者が占めているだろう、と言うことだ。だから、貴族だけが助かっている、なんて言葉、慰めにもならない。

 と言うかさ、俺、嫌なんだよね。何もしてない偉い奴だけ、その権力で助かってる。とか。いつも養ってもらってるなら、身代わりにくらい、なれや。
 まあ、そんなこと、やろうと思うっても、簡単にできることじゃないのは、分かってるけど。

 まず、身代わりになろう、と思うこと自体が凄いことだと思う。だって、連れ去られるのは、自分じゃなくて我が子だよ?子供を産んだことがないから、その辺分からないけど、子供を愛してる親ほど、そんなことさせられないだろうね。
 それだけじゃなくて、柵とかも凄いんじゃない?貴族だけが助かるのって、多分、貴族が何らかの圧力を、教会にかけてる、ってことだよね?だったら、……だったら、身代わりとかしなくても、圧力かけて、全員助ければいいんじゃないか?

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