せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空

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魔力量1

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 まあ、そんなことはどうでもいい。
 話を戻すと、
 だからこそ、今回は聞かずに、覗く方を選んだ。と言う訳だ。

 えっと、じゃあ次は八束でも見ようか。基準をより分かりやすくする為、ってのもあるし、次に俺のを見るのも早すぎるというか、心の準備をする時間が欲しい。
 そんな理由で見られる八束も哀れだが、八束だから許してくれるだろう。

 ……んーと?
 52?すっくな。ラルゴさんの十分の一じゃん。
 いや、そもそも、ラルゴさんと比べることが間違っているのか。なにせ、魔法の先生だしなあ。魔法の才能があるのは間違いない。対して、八束は魔法職からは程遠い存在である。

 さらに言うなら……いや、これは仮定の話になるんだけども、もし何らかの方法で、魔力量を増やすことができるなら。多分、影井のスキルに、『大器晩成』ってあったし、成長しないことはないと思うんだけど。

 成長するなら、年からしても、ラルゴさんはかなり鍛えているんじゃないだろうか?
 それをここに来たてホヤホヤ、なーんにもしてない八束と比べるなんて……。考えれば考えるほど、不当なことをしていると分かった。

 んー。じゃあ、俺はこの二人の間くらいの数値だと、適切、ってことになるのかな?
 って、自分を見るとかどうすればいいんだ?とりあえず適当に腕でも、見てみようか。

 ……あ、見えた。
 ええと、

 ……。

 いち、じゅう、ひゃく、せん……。

 ……。

 え?16870?は?
 ん?

 ……え?

 あれ、俺の目が可笑しいのかな。最近目が霞んで……きてはないけど。いやいやいや、意味わかんない。全然意味わかんないよ。なにこれ。

 ……よし。いったん落ち着こう。
 俺の目が騙されている、という可能性もなくもない。
 然し、ミューさんは言っていた。目だけなら、世界の管理者も超えるほどの力があるって。
 我思う故に我有り。
 すべてを疑っていたら、何も始まらない。有り得ないことが起こったとしても、自分の能力だけは、信じることにしよう。

 しかし、ぶっ飛んでるなあ。他の勇者も同じ……だとはさすがに思えないや。他の人も一万超えだとしたら、八束は何だというのだろう。
 最弱からの成り上がり人生が今、幕を開けるかもしれない。
 ……冗談はさておき。

 この魔力量はおかしいだろ。いまだに納得はできてない。けれども、他の勇者にバレたら面倒になるかも。無論、話すつもりは毛頭ないけど、魔法を連発しすぎて、怪しまれる可能性もあるし。その辺は気を付けないとな……。

 でも、納得できるところはある。結構能力使ってたけど、魔力が全然減ってなかった事ね。全部なくなったのなんて、それこそ、鑑定会の時くらいで……。あの時、見るのに、全魔力を消費したのか。……一万って……。持ってる俺が言うのもなんだけど、えげつないな。それだけの魔力を吸い取るなんて、どんだけ警戒してたのか……。いや、違うな。一万を費やしたからこそ、あの情報が見れた、ということか。
 それは女神の傲慢さにも思えるし、俺の魔力がそれだけ想定外だった、とも取れる。

「なんだよ……二人とも黙り込んじまって」

 八束の声が、すっと脳内に入ってきた。

「あ、ごめんごめん」
「すまんのう」

 ほとんど同時に、俺たちは謝る。
 なんか静かだな、と思ったら、ラルゴさんも考え事をしてたのか。そりゃ、八束はさぞかし蚊帳の外感を覚えていただろうな……。自分放置で、二人とも黙りこくってしまったんだもの。寧ろ、よくこれだけ耐えたよ。

 それにしても……そうか、ラルゴさんも考え事をしてたのか。なんか親近感が沸くなあ。
 ……って、違う違う。だって、俺の魔力、一万もあるんだぜ?完璧な数値までは、分からないだろうけど、俺の発言で、大体の量は分かるはず。そりゃ押し黙るよ。
 八束が考え込まなかったのは、単に、俺の魔力量が具体的に分からなかったから、なだけで。
 分かったなら、暫くフリーズしてしまうのが、普通の反応だろう。

「で?二人は何について考えてたんすか?」

 俺とラルゴさん、交互に見て話した所為か、口調がごちゃごちゃになっている。いや、逆に器用なのかもしれないけど。

「まあ、まあ、それは後で話すよ」

 笑顔に、これ以上追及するな、という意味を込めたら、不服そうな顔はしつつも、黙ってくれた。

「あの、このことはどうか、内密に……」

 俺が人差し指で、しーっ。のポーズをすると、ラルゴさんは、面妖な表情を作る。

「それはいいのじゃが……、お主、詳しい説明はせんでも、分かっとるのか……?」

 あ。
 うっかりしていた。
 言い訳をしますと、一緒に悩んでいた親近感から、気が緩んでいた、と言いますか……。

 これ、挽回できるだろうか?一番楽なのは、知らぬ存ぜぬを貫き通すことだが。
 過去の発言を思い出そう……としたところで、ばっと、文字が現れる。あ、これ、過去の発言か。うわあ、便利だなあ。

 時間の無いので、ざっくりと読む。うん。問題なさそうだ。

「えっと、説明は欲しいです。ラルゴさんの態度でなんとなく察しただけなので」
「む、そうじゃったか」

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