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メイドさんとの会話。若しくは俺が気を失った後について1
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「カシオカ様が倒れたことで、場は騒然となりました。
慌てて治療師を呼び、診断された結果〝魔力欠乏症〟だということがわかります」
あれ、この話長くなるのかな。長くなるならアンジェラさんに座ってくださいっていえば良かったかな……。その辺どうなんだろう?メイドさんは座っちゃいけない、とか決まりはあるのだろうか?……分からない。こういう疑問だとスキルはうんともすんとも言わないしなあ。
本当はその話すら要らないんだが、俺はこのメイドさんのことよく分からないし、能力のことを全て話すわけにもいかない。
とりあえず知らないふりをしよう。
「あの、魔力欠乏症……?ってなんですか?」
アンジェラさんはキョトンとした後、あ、あぁ、と頷いた。
「失礼しました。異世界には魔力が存在しないんでしたね。魔力欠乏症というのは、魔力を限界まで消費してしまった時になる症状のことです。
倦怠感から始まり、頭痛、立ちくらみ……様々な症状を引き起こし、最悪の場合は気絶してしまいます」
うん。知ってる。
「異世界から来たばかりの貴方が何故、魔力を扱えるのか、不思議ではあるのですが……」
アンジェラさんは不思議そうな顔をする。ええと、どう誤魔化そうか。消費魔力がそこそこ多くて、俺の能力と似たようなスキルはないだろうか……。
とか思ってたら文字が出てきた。便利すぎかよ。
スキル〝鑑定〟か。
消費魔力は……才能による?なんじゃそれ。
あーでもこのスキル凄く良い。対人には使えないってところが特に。
鑑定魔法よりも魔力量は少なくて済むらしい。鑑定魔法なんてものがあるのか。
まあ、これでいいだろう。……多分。
クラスメイトに職業聞かれた時の対策はそのうち考えるとして……。
「鑑定というスキルを使ったんです」
「なるほど。鑑定なら、この世界に召喚されてばかりで不安だったカシオカ様が何度も使用してしまうのも理解できます。けれど、今度からはくれぐれも無理はなさらないでくださいね」
心配そうにこちらを見るアンジェラさん。
心の底から心配してくれているようだ。まだ信用は出来ないけど、悪い人ではないのかもしれない。
「然し、異世界に来たばかりだと言うのに、スキルを使いこなせるとは……。流石、勇者様ですね。」
感心したように頷く。
てっきりスキルって生まれつき持っている物だと思っていたけど、違うのか……?いや、そもそもスキルってなんなんだ?わりと重要なことを聞くのを忘れていた気がする。まあ、後で読んでおこう。
「その後、カシオカ様はここのベッドに運ばれました。魔力欠乏症を治す一番の方法は、安静にすること、ですからね」
「他の皆はどうしたんですか?」
「他の勇者の皆様は引き続き能力検査を行うこととなりました。その結果、カミヤ様は勇者、シライ様は聖女であると推測されました」
ああ、その結果には納得できる。神谷は見るからに主人公という感じだし、白井さんは控えめな性格の美少女だ。優しい性格らしくよく笑顔を男どもに向けては虜にしているんだとかなんとか。男人気があるからと言って女から嫌われているという訳でもないらしい。誰からも愛されるキャラってことだな。
ただ……。
「何故その二人だけ、名指しで説明を……?」
「……それはこのお二人の能力がずば抜けていたからです。それだけではなく、勇者や聖女という職業はとても珍しく強力なものだと伝承に残されています」
「なるほど。そういうことでしたか」
アンジェラさんは俺の淡白な反応に不満を持ったらしく、眉をピクリと動かした。そんな顔をされても、興味がないから、大きなリアクションは出来ない。寧ろ自分よりも恵まれた者の話を聞くと何とも言えない気持ちになる。人間皆平等なんて言葉、嘘だよな……。
まあ、一つ、ついでに聞いておく。
「他に強力な能力を持ってる人はいませんでしたか」
「ミヨシ様、チュウゼンジ様の力が強かったようです」
「なるほど……。ありがとうございます」
過ぎた力は身を滅ぼすという。
自分の身を滅ぼす分には別に構わない。いや構わなくはないけど、どうにもできないし、巻き込まれてポックリ逝きましたなんてシャレにならない。だから極力拘わらないほうがいいだろう。
まあ、力の強い人に限らず、クラスメイト全員に言えることかもしれないが。
「それから、各自部屋と専属のメイドが与えられました。その後は自由行動です」
「自由行動って……多分それ私の所為ですよね……なんかすいません」
多分、他にやりたいことや説明したいこともあっただろう。然し俺が倒れてしまったせいで、出来なくなってしまったのだ。大変、申し訳ない……。
俺が謝るとアンジェラさんは意外そうな顔をした後、クスリと笑った。
「いえ、すいません。
自由行動はカシオカ様の所為ではないと思いますよ?この世界に来たばかりで取り乱している方も少なくなかったですから、落ち着く為にも勇者様全員に必要な時間だったかと。あまり急いでもいいことはありませんし」
それは……。言われてみれば確かにそうだ。
今まで感じていた罪悪感が嘘のようになくなっていく。
うーん。このメイド、出来るメイドだ。手のひらで転がされてる気がしなくもないけど。
なんとなくもやもやした気分の中、ふと気になったことを口に出してみる。
慌てて治療師を呼び、診断された結果〝魔力欠乏症〟だということがわかります」
あれ、この話長くなるのかな。長くなるならアンジェラさんに座ってくださいっていえば良かったかな……。その辺どうなんだろう?メイドさんは座っちゃいけない、とか決まりはあるのだろうか?……分からない。こういう疑問だとスキルはうんともすんとも言わないしなあ。
本当はその話すら要らないんだが、俺はこのメイドさんのことよく分からないし、能力のことを全て話すわけにもいかない。
とりあえず知らないふりをしよう。
「あの、魔力欠乏症……?ってなんですか?」
アンジェラさんはキョトンとした後、あ、あぁ、と頷いた。
「失礼しました。異世界には魔力が存在しないんでしたね。魔力欠乏症というのは、魔力を限界まで消費してしまった時になる症状のことです。
倦怠感から始まり、頭痛、立ちくらみ……様々な症状を引き起こし、最悪の場合は気絶してしまいます」
うん。知ってる。
「異世界から来たばかりの貴方が何故、魔力を扱えるのか、不思議ではあるのですが……」
アンジェラさんは不思議そうな顔をする。ええと、どう誤魔化そうか。消費魔力がそこそこ多くて、俺の能力と似たようなスキルはないだろうか……。
とか思ってたら文字が出てきた。便利すぎかよ。
スキル〝鑑定〟か。
消費魔力は……才能による?なんじゃそれ。
あーでもこのスキル凄く良い。対人には使えないってところが特に。
鑑定魔法よりも魔力量は少なくて済むらしい。鑑定魔法なんてものがあるのか。
まあ、これでいいだろう。……多分。
クラスメイトに職業聞かれた時の対策はそのうち考えるとして……。
「鑑定というスキルを使ったんです」
「なるほど。鑑定なら、この世界に召喚されてばかりで不安だったカシオカ様が何度も使用してしまうのも理解できます。けれど、今度からはくれぐれも無理はなさらないでくださいね」
心配そうにこちらを見るアンジェラさん。
心の底から心配してくれているようだ。まだ信用は出来ないけど、悪い人ではないのかもしれない。
「然し、異世界に来たばかりだと言うのに、スキルを使いこなせるとは……。流石、勇者様ですね。」
感心したように頷く。
てっきりスキルって生まれつき持っている物だと思っていたけど、違うのか……?いや、そもそもスキルってなんなんだ?わりと重要なことを聞くのを忘れていた気がする。まあ、後で読んでおこう。
「その後、カシオカ様はここのベッドに運ばれました。魔力欠乏症を治す一番の方法は、安静にすること、ですからね」
「他の皆はどうしたんですか?」
「他の勇者の皆様は引き続き能力検査を行うこととなりました。その結果、カミヤ様は勇者、シライ様は聖女であると推測されました」
ああ、その結果には納得できる。神谷は見るからに主人公という感じだし、白井さんは控えめな性格の美少女だ。優しい性格らしくよく笑顔を男どもに向けては虜にしているんだとかなんとか。男人気があるからと言って女から嫌われているという訳でもないらしい。誰からも愛されるキャラってことだな。
ただ……。
「何故その二人だけ、名指しで説明を……?」
「……それはこのお二人の能力がずば抜けていたからです。それだけではなく、勇者や聖女という職業はとても珍しく強力なものだと伝承に残されています」
「なるほど。そういうことでしたか」
アンジェラさんは俺の淡白な反応に不満を持ったらしく、眉をピクリと動かした。そんな顔をされても、興味がないから、大きなリアクションは出来ない。寧ろ自分よりも恵まれた者の話を聞くと何とも言えない気持ちになる。人間皆平等なんて言葉、嘘だよな……。
まあ、一つ、ついでに聞いておく。
「他に強力な能力を持ってる人はいませんでしたか」
「ミヨシ様、チュウゼンジ様の力が強かったようです」
「なるほど……。ありがとうございます」
過ぎた力は身を滅ぼすという。
自分の身を滅ぼす分には別に構わない。いや構わなくはないけど、どうにもできないし、巻き込まれてポックリ逝きましたなんてシャレにならない。だから極力拘わらないほうがいいだろう。
まあ、力の強い人に限らず、クラスメイト全員に言えることかもしれないが。
「それから、各自部屋と専属のメイドが与えられました。その後は自由行動です」
「自由行動って……多分それ私の所為ですよね……なんかすいません」
多分、他にやりたいことや説明したいこともあっただろう。然し俺が倒れてしまったせいで、出来なくなってしまったのだ。大変、申し訳ない……。
俺が謝るとアンジェラさんは意外そうな顔をした後、クスリと笑った。
「いえ、すいません。
自由行動はカシオカ様の所為ではないと思いますよ?この世界に来たばかりで取り乱している方も少なくなかったですから、落ち着く為にも勇者様全員に必要な時間だったかと。あまり急いでもいいことはありませんし」
それは……。言われてみれば確かにそうだ。
今まで感じていた罪悪感が嘘のようになくなっていく。
うーん。このメイド、出来るメイドだ。手のひらで転がされてる気がしなくもないけど。
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