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紫陽花高校生徒会
生徒会と考査期間
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「考査期間は早く帰れて最高よね」
「言っておくが“勉強”を、する為に早く帰れるんだからな?」
「分かっているわよ。
ちゃんと社会の勉強をしているわ」
「例えば?」
「ゲームセンター行ったり、ショッピングモール行ったり、映画館行ったり、ス○バ行ったり……」
「そっか……満喫してるな」
「ツッコミ放棄しないで」
「分かってるならふざけるな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……で?この時期になんの用だ?」
河井に放課後の生徒会室へと呼び出された新田。
学校は、考査の1週間前から色々な校内での活動を停止させ、生徒の勉強時間と教師の問題作りに宛てさせている。
この学校も3日前から考査の準備期間となり、生徒会の仕事も無い。
その為、新田はそのまま帰ろうと下駄箱へと向かっていたが、その途中、生徒会責任者の太夫先生に怯えながら止められ、今に至る。
「え……?
私は呼んでないわよ?」
生徒会の扉を開けるや否や、内容を確認しようとした新田に、河井は惚けた表情を見せる。
「嘘をつくな」
「いやいや、外面貼り付けて太夫先生に、生徒会として考査の点数が悪いと他生徒にしめしがつかないので、勉強する為に新田くんを呼んできてくれると嬉しいですぅ。
なんて言ってないから」
「2つの意味で言ってるな」
新田はツッコミをした後に、「それに……」と言葉を付け加える。
「残念だが河井以外に俺を呼ぶ奴はいない。
それに考査期間に、お前もここに居るのが呼び出した人物である証拠だろ」
「チッ……勘のいい残念なガキは嫌いだよ……」
険しい顔をして、親指の爪を噛む河井。
「さりげなく悪口混ざってるな。
それで?用が無いなら帰るが?」
「勉強教えて」
「俺1年生、お前2年生」
「人生、何事も挑戦しないと!」
「教える立場が挑んでどうするんだ。
大体、河井お前は……」
新田はその先の言葉を発する途中で、何かを思い出したかのように口の動きを止めた。
時間にして数秒程ではあるが、停止した後に、諦めたようにため息を吐き出し、ガクリと肩を落とすと、そのまま話を続けた。
「まあ……分かった。
出来る限り付き合う」
新田は扉を閉じると、河井の近くにパイプ椅子を移動させ、腰を下ろす。
「さっすが我が下僕」
「帰る」
「ごめん、ごめんなさい!
すみませんでした!!調子のりましたぁ!!」
悪口を聞き、即座に帰ろうとする新田に、即座に新田の服を掴んで謝罪をする河井。
新田は再び着席すると、カバンから勉強道具一式を取り出し、何も言わずに勉強を始める。
「アンタ、恐ろしいほど超真面目ね」
「失敗が許されないからな」
河井は少し嬉しそうに「ふーん」と鼻を鳴らすと、カバンから勉強道具を取り出す。
その様子を横目に見ていた新田は、その行動に少し驚き、口を開く。
「本当に勉強する気あったのか」
「当たり前よ!
ふざける気はサラサラないわ!!」
「そうか」
意気揚々と言い放つ河井。
“集中出来そうだ”そう思ったのも束の間、勉強を始めた新田に、直ぐに河井が声を掛けてくる。
「……これ分かる?」
分かる訳がない。
即座にそう答えようとした新田だったが、兎にも角にもとりあえず、河井のノートに書かれた問題を確認する事にした。
確認するとそこには、
【3以上の自然数nについてXのn乗+Yのn乗=Zのn乗となる0でない自然数の組が存在しない事を証明せよ】
と、記入されていた。
「いや、フェルマーの最終定理だろこれ。
ふざける気満々じゃねぇか」
「大丈夫よ!あなたならきっと解けるわ!
ネバーギブアップ!!!」
「そんな簡単に証明できてたまるか」
「出来ないのね、見損なったわ」
呆れた様子で、うざったらしく首を横に振る河井。
「お前は一度、数々の数学者の方々に頭を下げたほうがいい」
新田は呆れながらも自分の勉強に戻ろうとする。
しかし、間髪いれずに続けて河井が質問をしてきた。
「考査期間は早く帰れて最高よね」
「言っておくが“勉強”を、する為に早く帰れるんだからな?」
「分かっているわよ。
ちゃんと社会の勉強をしているわ」
「例えば?」
「ゲームセンター行ったり、ショッピングモール行ったり、映画館行ったり、ス○バ行ったり……」
「そっか……満喫してるな」
「ツッコミ放棄しないで」
「分かってるならふざけるな」
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「……で?この時期になんの用だ?」
河井に放課後の生徒会室へと呼び出された新田。
学校は、考査の1週間前から色々な校内での活動を停止させ、生徒の勉強時間と教師の問題作りに宛てさせている。
この学校も3日前から考査の準備期間となり、生徒会の仕事も無い。
その為、新田はそのまま帰ろうと下駄箱へと向かっていたが、その途中、生徒会責任者の太夫先生に怯えながら止められ、今に至る。
「え……?
私は呼んでないわよ?」
生徒会の扉を開けるや否や、内容を確認しようとした新田に、河井は惚けた表情を見せる。
「嘘をつくな」
「いやいや、外面貼り付けて太夫先生に、生徒会として考査の点数が悪いと他生徒にしめしがつかないので、勉強する為に新田くんを呼んできてくれると嬉しいですぅ。
なんて言ってないから」
「2つの意味で言ってるな」
新田はツッコミをした後に、「それに……」と言葉を付け加える。
「残念だが河井以外に俺を呼ぶ奴はいない。
それに考査期間に、お前もここに居るのが呼び出した人物である証拠だろ」
「チッ……勘のいい残念なガキは嫌いだよ……」
険しい顔をして、親指の爪を噛む河井。
「さりげなく悪口混ざってるな。
それで?用が無いなら帰るが?」
「勉強教えて」
「俺1年生、お前2年生」
「人生、何事も挑戦しないと!」
「教える立場が挑んでどうするんだ。
大体、河井お前は……」
新田はその先の言葉を発する途中で、何かを思い出したかのように口の動きを止めた。
時間にして数秒程ではあるが、停止した後に、諦めたようにため息を吐き出し、ガクリと肩を落とすと、そのまま話を続けた。
「まあ……分かった。
出来る限り付き合う」
新田は扉を閉じると、河井の近くにパイプ椅子を移動させ、腰を下ろす。
「さっすが我が下僕」
「帰る」
「ごめん、ごめんなさい!
すみませんでした!!調子のりましたぁ!!」
悪口を聞き、即座に帰ろうとする新田に、即座に新田の服を掴んで謝罪をする河井。
新田は再び着席すると、カバンから勉強道具一式を取り出し、何も言わずに勉強を始める。
「アンタ、恐ろしいほど超真面目ね」
「失敗が許されないからな」
河井は少し嬉しそうに「ふーん」と鼻を鳴らすと、カバンから勉強道具を取り出す。
その様子を横目に見ていた新田は、その行動に少し驚き、口を開く。
「本当に勉強する気あったのか」
「当たり前よ!
ふざける気はサラサラないわ!!」
「そうか」
意気揚々と言い放つ河井。
“集中出来そうだ”そう思ったのも束の間、勉強を始めた新田に、直ぐに河井が声を掛けてくる。
「……これ分かる?」
分かる訳がない。
即座にそう答えようとした新田だったが、兎にも角にもとりあえず、河井のノートに書かれた問題を確認する事にした。
確認するとそこには、
【3以上の自然数nについてXのn乗+Yのn乗=Zのn乗となる0でない自然数の組が存在しない事を証明せよ】
と、記入されていた。
「いや、フェルマーの最終定理だろこれ。
ふざける気満々じゃねぇか」
「大丈夫よ!あなたならきっと解けるわ!
ネバーギブアップ!!!」
「そんな簡単に証明できてたまるか」
「出来ないのね、見損なったわ」
呆れた様子で、うざったらしく首を横に振る河井。
「お前は一度、数々の数学者の方々に頭を下げたほうがいい」
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