4 / 12
思い出した
しおりを挟む
さて。この世界での生活ももう5年になる。
俺はすっかりこの世界の住人として馴染んでいた。
「リッカ!このまえのほんのつづきはないのか?」
まだまだ舌足らずな声でリッカに抱きつき言う。
「ふふっ。ニコル様は本当にご本が好きなのですねぇ。待っていてくださいね。旦那様に頼んでおきます」
リッカが優しく微笑み俺を抱き上げる。二十歳になったリッカはより一層美しくなっていた。
まぁ、俺も元は大の大人だ。この子供扱いや子供として振る舞うことに抵抗はあったが、やはり人間慣れなのだなぁ…。この世界で何度も思ったことだ。
「そういえば、もうすぐ旦那様がお帰りになられるのではないでしょうか?」
リッカが思いついたように言った。
勿論旦那様とは俺の現世での父親のことである。初めて父親を名前で呼ぶ時、この世界では親のことを何と呼べば良いか判らず「父上」と呼ぶと「他人行儀だ」と泣かれてしまったものだ。現在では「父様」と呼んでいるが幼児のあの舌足らずさが出てしまい、発音しようとすると「とうたま」になってしまう。父さんは「可愛い」とまた抱きついてきたが俺にとってはひたすらに恥ずかしい…。
また思い出しては悶絶しているとリッカが俺の顔を覗き込み、にっこり笑う。
「そうですわ、ニコル様。折角ですので旦那様のお出迎えをなさるのはいかがでしょう?」
それは良い考えだ。あの親バカな父さんのことだ、きっとそれだけで泣いて喜ぶだろう。
「うんっ!!」
俺は元気良く頷いた。
______________________________
がこっかこっがこっ
「あっかえってきた!」
俺は玄関先でぴょんぴょん飛び跳ねた。勿論玄関は前世の俺の住んでいた部屋よりも断然広い。
リッカは飛び跳ねる俺を「行儀が悪いですよ」と窘めながら父さんを出迎える姿勢をとった。
「帰ったぞ…、ニコル!?」
「おかえりなさ…いませ、とうたま!」
ブワァッ
「なんてっ、なんて父親思いの良い子なんだニコルっ!」
「うぅ、とうたまくるしいです…」
思った通り抱き締められる。
ちょっと待て力が強い強い。
「旦那様?」
リッカが止めてくれた…訳じゃない。今のトーンは行動をいさめる言葉ではなく疑問を口にしたような…?
リッカの顔を見るとドアの方を見て不可思議なものを見るような目をしていた。
「とうたま…下ろして…」
下ろしてもらいドアの方を見る。
「!?」
俺よりも小さな、しかし圧倒的な存在感を放つ美少年がそこに居た。
3歳くらいだろうか、烏の濡れ羽のような艶やかな黒髪、吸い込まれてしまいそうなアメジスト色の瞳。万人が美しいと言うような少年だった。
そして何だか既視感を感じさせるような…?
「と、とうたま。あのこ、だれ…?」
思わず父さんにしがみつく。
「紹介が遅れてしまったね」
そう言って父さんは俺を優しく離し、その子を抱き上げてきた。
「紹介するね。今日からニコルの弟になるレオンだよ」
おとう、と……?レオン…?
「れ、れおんでしゅ…。さんしゃいでしゅ、よ、よろしくおねがいしましゅ…」
小さな声で俯きながらレオンは言う。
そして、それと同時に先程感じた既視感の正体が判った。
(これ、これ…)
「おとめげーむの、こうりゃくしゃ…?」
脳裏に妹のしていたゲームの存在が浮かび上がった。
****************************************
かえでです!
1人目が登場いたしました!
名前が全く思いつかないのでどうしてもありきたりな名前になってしまいます…
もし良かったら感想などで名前のほど、募集したいなぁ…と。
勿論、普通の感想も頂けると嬉しいです!
宜しくお願いいたしますm(._.)m
俺はすっかりこの世界の住人として馴染んでいた。
「リッカ!このまえのほんのつづきはないのか?」
まだまだ舌足らずな声でリッカに抱きつき言う。
「ふふっ。ニコル様は本当にご本が好きなのですねぇ。待っていてくださいね。旦那様に頼んでおきます」
リッカが優しく微笑み俺を抱き上げる。二十歳になったリッカはより一層美しくなっていた。
まぁ、俺も元は大の大人だ。この子供扱いや子供として振る舞うことに抵抗はあったが、やはり人間慣れなのだなぁ…。この世界で何度も思ったことだ。
「そういえば、もうすぐ旦那様がお帰りになられるのではないでしょうか?」
リッカが思いついたように言った。
勿論旦那様とは俺の現世での父親のことである。初めて父親を名前で呼ぶ時、この世界では親のことを何と呼べば良いか判らず「父上」と呼ぶと「他人行儀だ」と泣かれてしまったものだ。現在では「父様」と呼んでいるが幼児のあの舌足らずさが出てしまい、発音しようとすると「とうたま」になってしまう。父さんは「可愛い」とまた抱きついてきたが俺にとってはひたすらに恥ずかしい…。
また思い出しては悶絶しているとリッカが俺の顔を覗き込み、にっこり笑う。
「そうですわ、ニコル様。折角ですので旦那様のお出迎えをなさるのはいかがでしょう?」
それは良い考えだ。あの親バカな父さんのことだ、きっとそれだけで泣いて喜ぶだろう。
「うんっ!!」
俺は元気良く頷いた。
______________________________
がこっかこっがこっ
「あっかえってきた!」
俺は玄関先でぴょんぴょん飛び跳ねた。勿論玄関は前世の俺の住んでいた部屋よりも断然広い。
リッカは飛び跳ねる俺を「行儀が悪いですよ」と窘めながら父さんを出迎える姿勢をとった。
「帰ったぞ…、ニコル!?」
「おかえりなさ…いませ、とうたま!」
ブワァッ
「なんてっ、なんて父親思いの良い子なんだニコルっ!」
「うぅ、とうたまくるしいです…」
思った通り抱き締められる。
ちょっと待て力が強い強い。
「旦那様?」
リッカが止めてくれた…訳じゃない。今のトーンは行動をいさめる言葉ではなく疑問を口にしたような…?
リッカの顔を見るとドアの方を見て不可思議なものを見るような目をしていた。
「とうたま…下ろして…」
下ろしてもらいドアの方を見る。
「!?」
俺よりも小さな、しかし圧倒的な存在感を放つ美少年がそこに居た。
3歳くらいだろうか、烏の濡れ羽のような艶やかな黒髪、吸い込まれてしまいそうなアメジスト色の瞳。万人が美しいと言うような少年だった。
そして何だか既視感を感じさせるような…?
「と、とうたま。あのこ、だれ…?」
思わず父さんにしがみつく。
「紹介が遅れてしまったね」
そう言って父さんは俺を優しく離し、その子を抱き上げてきた。
「紹介するね。今日からニコルの弟になるレオンだよ」
おとう、と……?レオン…?
「れ、れおんでしゅ…。さんしゃいでしゅ、よ、よろしくおねがいしましゅ…」
小さな声で俯きながらレオンは言う。
そして、それと同時に先程感じた既視感の正体が判った。
(これ、これ…)
「おとめげーむの、こうりゃくしゃ…?」
脳裏に妹のしていたゲームの存在が浮かび上がった。
****************************************
かえでです!
1人目が登場いたしました!
名前が全く思いつかないのでどうしてもありきたりな名前になってしまいます…
もし良かったら感想などで名前のほど、募集したいなぁ…と。
勿論、普通の感想も頂けると嬉しいです!
宜しくお願いいたしますm(._.)m
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,798
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる