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番外編
ドラコニス大公国 1
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ドラコニス大公国……、旧ドラコニス公爵領に引っ越してきた!
「ドラコニス大公様、シリウス様、バンザ~イ!!」
「シリウス様ぁー!! ドラコニス大公様ぁー!! 御帰国歓迎いたします!!」
あれだけ老人ばっかで過疎化が進んで、人の少なかったドラコニス公爵領が嘘みたいに群衆であふれ返ってる。
荷物は前から運んでたから、私とアルファルドが馬車で入国したんだけど……それだけで凱旋パレードみたいに大変な騒ぎになってる。
「うわ~、すごい人だね!」
「…あぁ」
馬車の窓から手を振ったら、それだけで歓声が沸き起こってワーワーすごいことになってる。
「リタさんとベッテルさんは先に向かってるんだろ?」
「…そうだ。少し前に移動し、屋敷を整えておくと言っていた」
私達が向かうのは、リブラ聖夜祭で泊まった旧ドラコニス公爵領の邸宅。タウリは馬車の前を馬に乗って護衛してる。
ちなみにオクタンやアンカ、あと、リゲルとかアケルナーは後で大公国に移動する。
今だにリゲルとアケルナーが私に従うのが信じられないんだけど、まぁ言った手前、私もいい加減認めないとね。
「まだまだこれからやることだらけだからなぁ」
「…やること?」
「うん。アルファルドが私の好きにしていいって言ってくれたでしょ?」
「…あぁ」
「だから、好きにさせてもらうんだ!」
「…?? どういう意味だ?」
「ま、見ててよ。前来たときは関係ないって割り切ったけど、今はもうそんなこと言ってられないからね。これからばんばん改革していくから!」
「…改革?」
「ハハッ! ヒ・ミ・ツ!」
アルファルドに向かってパチッとウインクしたけど、アルファルドは訳が分からないって顔してて。
可笑しくて笑っちゃった。
◇ ◇
それからまた私の慌ただしい日々が始まった。
まず、ドラコニス大公国全域のインフラ整備。それから都市のリブラに大公国の本拠地のお城を建設中。
その他に各地域ごとに学校、病院、駐在所、役所を設けた。
「…おい、ミラ! こんなに一気に様々な建物を建てて大丈夫なのか!?」
ドラコニス大公家の邸宅で事務仕事してた私に、アルファルドが慌てた様子で扉から駆け込んできた。
「んー…? うん!」
机の上で書類書いてた顔を上げて、アルファルドに向かってニコっと笑う。
アルファルドは机にバンッ! って手を置いて、まくし立てるように話してる。
「…あれだけ各所で大規模な工事を行えば、莫大な費用がかかるんだぞ!」
「そうだね。おかげで私の懐もすっからかんになっちゃったよ」
笑いながら話してる私に、アルファルドは神妙な顔で話し出した。
「…お前が、これまで苦労して貯めた資産だろ? 何もここまで急いで整備する必要はないんだ! お前の全財産を投げ出してまで、やることじゃない!!」
机に手を置いたまま、息を乱して話してる。
「アルファルド、こっちに来て?」
「……」
「早く」
アルファルドは短く息を吐いて、私の方に回って来てくれた。
椅子から立ち上がった私は、座ってた椅子にアルファルドを座らせて、アルファルドの膝の上に腰を下ろした。
両手を伸ばして、間近にある綺麗な顔に頬を添えた。
「私のこと心配してくれてありがとう。だからアルファルドって大好きっ」
そのままチュッて軽く、目の前の薄い唇にキスした。
アルファルドも言いたいこと言って少しは落ち着いたのか、さっきまでの勢いはなくなってる。
「…ミラ。…俺はお前に、何かしてやれてるか……? 時々、俺ばかりが幸せで、不安になる……。お前の、負担になっていないのかと……」
眉根を寄せながら紫と黄金色のオッドアイを不安そうに揺らして、私の腰に腕を回してか細く呟いてる。
その切なげな表情にキュンときちゃうよ。これだけで値千金だよね。
てかさぁ……やっぱりアルファルドって、わかってない!
私はアルファルドがいてくれればそれだけで幸せだって、ずっとずっとず~っと言ってるのに!
「ねぇアルファルド。お金なんて使うためにあるんだから気にしなくていいよ。私はアルファ商団のトップで、SSS級冒険者だよ? 資金ならいくらでも調達できる」
「……」
「けどさ、時間を巻き戻すことはできないでしょ? 今こうしてる間にも、苦しんでる人達がたくさんいるんだ。その人たちのために出すお金なら何も惜しくないよ」
目の前で不安そうにしてるアルファルドを諭すように、笑いながら穏やかに話してる。
「……っ、ミラ……」
「私がやりたくてお金出してるんだから、アルファルドが負い目を感じる必要は何もないって」
「…だが……」
不安なのはしょうがないよね。
アルファルドは長い間、誰からも満たされずに、理由もわからず責められて過ごしてきたから。
虚しさの中で日々を過ごす苦しみは、私にも理解できる。まるで自分だけ、世界から切り離された感じ……
前世の私も突然起きた出来事に、不安と絶望と苦痛を味わってきたから。
アルファルドの綺麗な顎のラインをスッと撫でて、サラッとした肌の感触を手のひらに感じながら、いつも通りニコッと笑った。
「何度でも言ってあげる。お金も名誉も必要ない。私はアルファルドさえいてくれればそれでいいから」
「――ッ」
目を大きく開いたアルファルドが次の瞬間、腰に回してた腕をグッと引き寄せて、荒々しく私の唇を奪った。
「んッ!」
深く重なった唇が気持ちいい。
すぐに舌も入ってきて、吐息ごと奪うような激しいキスに、アルファルドの胸に縋りながら夢中で応えてた。
「は、ぁっ……」
唇が離されても体が熱くて、そのままアルファルドにギュッと抱きついた。
「…ミラ、愛してる」
チュッと私のこめかみにキスして、惜しみない愛を囁いてくれる。
「っ! はぁ……、お前ってホント、たち悪いっ」
「…? どういう意味だ?」
「だからさぁ、お前がそう言ってくれるだけで、めちゃくちゃ幸せなの! お前のその一言が、私の全部を満たしてくれるから」
「…ミラっ」
「ねぇ、ベッド行こ? ……我慢、できないよ……」
顔上げて、熱い視線でアルファルドを見つめた。
アルファルドは膝に乗ってた私をそのまま持ち上げて、寝室の扉を勢いよく開けてベッドまで早足で私を運んでる。
それでいいんだよ、アルファルド。
余計なことなんて考えないで。
私のことだけ、アルファルドの頭を中を占めてればいいんだ。
それが私の望みだから――
ドラコニス大公国……、旧ドラコニス公爵領に引っ越してきた!
「ドラコニス大公様、シリウス様、バンザ~イ!!」
「シリウス様ぁー!! ドラコニス大公様ぁー!! 御帰国歓迎いたします!!」
あれだけ老人ばっかで過疎化が進んで、人の少なかったドラコニス公爵領が嘘みたいに群衆であふれ返ってる。
荷物は前から運んでたから、私とアルファルドが馬車で入国したんだけど……それだけで凱旋パレードみたいに大変な騒ぎになってる。
「うわ~、すごい人だね!」
「…あぁ」
馬車の窓から手を振ったら、それだけで歓声が沸き起こってワーワーすごいことになってる。
「リタさんとベッテルさんは先に向かってるんだろ?」
「…そうだ。少し前に移動し、屋敷を整えておくと言っていた」
私達が向かうのは、リブラ聖夜祭で泊まった旧ドラコニス公爵領の邸宅。タウリは馬車の前を馬に乗って護衛してる。
ちなみにオクタンやアンカ、あと、リゲルとかアケルナーは後で大公国に移動する。
今だにリゲルとアケルナーが私に従うのが信じられないんだけど、まぁ言った手前、私もいい加減認めないとね。
「まだまだこれからやることだらけだからなぁ」
「…やること?」
「うん。アルファルドが私の好きにしていいって言ってくれたでしょ?」
「…あぁ」
「だから、好きにさせてもらうんだ!」
「…?? どういう意味だ?」
「ま、見ててよ。前来たときは関係ないって割り切ったけど、今はもうそんなこと言ってられないからね。これからばんばん改革していくから!」
「…改革?」
「ハハッ! ヒ・ミ・ツ!」
アルファルドに向かってパチッとウインクしたけど、アルファルドは訳が分からないって顔してて。
可笑しくて笑っちゃった。
◇ ◇
それからまた私の慌ただしい日々が始まった。
まず、ドラコニス大公国全域のインフラ整備。それから都市のリブラに大公国の本拠地のお城を建設中。
その他に各地域ごとに学校、病院、駐在所、役所を設けた。
「…おい、ミラ! こんなに一気に様々な建物を建てて大丈夫なのか!?」
ドラコニス大公家の邸宅で事務仕事してた私に、アルファルドが慌てた様子で扉から駆け込んできた。
「んー…? うん!」
机の上で書類書いてた顔を上げて、アルファルドに向かってニコっと笑う。
アルファルドは机にバンッ! って手を置いて、まくし立てるように話してる。
「…あれだけ各所で大規模な工事を行えば、莫大な費用がかかるんだぞ!」
「そうだね。おかげで私の懐もすっからかんになっちゃったよ」
笑いながら話してる私に、アルファルドは神妙な顔で話し出した。
「…お前が、これまで苦労して貯めた資産だろ? 何もここまで急いで整備する必要はないんだ! お前の全財産を投げ出してまで、やることじゃない!!」
机に手を置いたまま、息を乱して話してる。
「アルファルド、こっちに来て?」
「……」
「早く」
アルファルドは短く息を吐いて、私の方に回って来てくれた。
椅子から立ち上がった私は、座ってた椅子にアルファルドを座らせて、アルファルドの膝の上に腰を下ろした。
両手を伸ばして、間近にある綺麗な顔に頬を添えた。
「私のこと心配してくれてありがとう。だからアルファルドって大好きっ」
そのままチュッて軽く、目の前の薄い唇にキスした。
アルファルドも言いたいこと言って少しは落ち着いたのか、さっきまでの勢いはなくなってる。
「…ミラ。…俺はお前に、何かしてやれてるか……? 時々、俺ばかりが幸せで、不安になる……。お前の、負担になっていないのかと……」
眉根を寄せながら紫と黄金色のオッドアイを不安そうに揺らして、私の腰に腕を回してか細く呟いてる。
その切なげな表情にキュンときちゃうよ。これだけで値千金だよね。
てかさぁ……やっぱりアルファルドって、わかってない!
私はアルファルドがいてくれればそれだけで幸せだって、ずっとずっとず~っと言ってるのに!
「ねぇアルファルド。お金なんて使うためにあるんだから気にしなくていいよ。私はアルファ商団のトップで、SSS級冒険者だよ? 資金ならいくらでも調達できる」
「……」
「けどさ、時間を巻き戻すことはできないでしょ? 今こうしてる間にも、苦しんでる人達がたくさんいるんだ。その人たちのために出すお金なら何も惜しくないよ」
目の前で不安そうにしてるアルファルドを諭すように、笑いながら穏やかに話してる。
「……っ、ミラ……」
「私がやりたくてお金出してるんだから、アルファルドが負い目を感じる必要は何もないって」
「…だが……」
不安なのはしょうがないよね。
アルファルドは長い間、誰からも満たされずに、理由もわからず責められて過ごしてきたから。
虚しさの中で日々を過ごす苦しみは、私にも理解できる。まるで自分だけ、世界から切り離された感じ……
前世の私も突然起きた出来事に、不安と絶望と苦痛を味わってきたから。
アルファルドの綺麗な顎のラインをスッと撫でて、サラッとした肌の感触を手のひらに感じながら、いつも通りニコッと笑った。
「何度でも言ってあげる。お金も名誉も必要ない。私はアルファルドさえいてくれればそれでいいから」
「――ッ」
目を大きく開いたアルファルドが次の瞬間、腰に回してた腕をグッと引き寄せて、荒々しく私の唇を奪った。
「んッ!」
深く重なった唇が気持ちいい。
すぐに舌も入ってきて、吐息ごと奪うような激しいキスに、アルファルドの胸に縋りながら夢中で応えてた。
「は、ぁっ……」
唇が離されても体が熱くて、そのままアルファルドにギュッと抱きついた。
「…ミラ、愛してる」
チュッと私のこめかみにキスして、惜しみない愛を囁いてくれる。
「っ! はぁ……、お前ってホント、たち悪いっ」
「…? どういう意味だ?」
「だからさぁ、お前がそう言ってくれるだけで、めちゃくちゃ幸せなの! お前のその一言が、私の全部を満たしてくれるから」
「…ミラっ」
「ねぇ、ベッド行こ? ……我慢、できないよ……」
顔上げて、熱い視線でアルファルドを見つめた。
アルファルドは膝に乗ってた私をそのまま持ち上げて、寝室の扉を勢いよく開けてベッドまで早足で私を運んでる。
それでいいんだよ、アルファルド。
余計なことなんて考えないで。
私のことだけ、アルファルドの頭を中を占めてればいいんだ。
それが私の望みだから――
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