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番外編
ドラコニス大公国 2
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私達が大公国に移ってから数ヶ月が経った。
その間に人口が五倍に増えた。
これ聞いた時にはびっくりしたよ。だって五倍だよ!?
まぁ、私っていう広告塔? がいるおかげなのか、整備して住みやすくした大公国が良かったのか……
おかげで税収もどんどん増えて、ドラコニス大公家の収入も右肩上がりに増えてる。
まだまだ発展途上だけど、この調子だと全盛期のドラコニス公爵領の人口を超えそうだね!
首都リブラの工事は大体落ち着いてきて、あとは各地域の建設に力を入れてる。
私とアルファルドも急ピッチで建てたお城にお引っ越しして、今ではリブラで暮らしてる。
これでようやく公族らしくなってきたかな?
◇◇
「あれ? アルファルド……また、出かけるの?」
「…あぁ」
「タウリも?」
「えぇ、わしも行ってきますぞ!」
「……そう」
私の書斎に入って来たアルファルドとタウリ。
怪しい……
近頃、アルファルドとタウリが一緒に行動してる。
アルファルドも初めはタウリに警戒してたけど、タウリって元冒険者だし、厳つい見た目の割りと面倒見はいいから、いつの間にかアルファルドとも話すようになってた。
アルファルドが心を許す人って珍しいから、ある意味タウリってスゴイって思った。
「お嬢は大公国の財政管理で忙しいですからな。わしらは視察へ行って参りますぞ」
「…ミラ、行ってくる」
「ん? うん……行ってらっしゃい」
アルファルドが私にキスしてから、パタンと二人が出てって、部屋がシーンと静まり返ってる。
なんだか納得いかないんだよね。
この二人のことだから私を裏切るような真似はしないってわかってるけど……
アルファルドの映像石には何も映ってないし、聞いても大公国の見回りしてるだけだって言うし……
一度、タウリにこっそり聞いたけど、タウリは「お嬢! 男は時に、一人の時間がほしいものなのですぞ!」って、熱弁してたし。
ハァ……まぁ、アルファルドの様子はいつもと変わらないし、変わらず私のこと大事にしてくれてるし。
タウリも一緒だから、まっ、いっか。
ひとまず片付けなきゃいけないことが多すぎて、私はその話題を頭から切り離した。
各国からポーションの供給についても説明を求められてて、生産ラインが整い次第、順次供給していくつもり。
このあたりはオクタンとアンカに任せてる。
オクタンにポーションの作り方は教えてるし、魔法師団も普段は仕事自体ないから、ポーション、ハイポーション作りに専念してくれって頼んでる。
首都リブラの外れに魔塔を作って魔法使いを集めてるから、魔法使い人口も徐々に増えつつある。
大公城の警備はアケルナーとリゲルに一任してるし。
あ、この二人のために同性婚を認める法律も作らないとなぁ。二人とも何も言ってこないけど、アルファルドとアトリクス時代の私を見てるみたいだし。
やっぱりこの世界でも同性愛者は一定数いるからね。
「う~ん、終わらないなぁ……」
ガリガリ頭を掻きながら机の上で書類とにらめっこしてる私に、専属侍女のサラとメリダがお茶とお菓子を用意してくれる。
「奥さま、そろそろ休憩されては如何でしょう?」
「そうですよ~! 見てください、このお菓子っ! コバット王国の有名なパティシエが作ったマドレーヌというものらしいですよ!」
リリーとも今だに連絡とってるし、お互いに国家間を行き来してる。
私が行くことが多いけど、リリーと結婚したパステル侯爵とも、心配いらないくらいラブラブだったりする。
リリーも今や、妊婦さんになっちゃってるし。
聞いたときはびっくりだったけど、自分のことみたいに嬉しくて、今じゃリリーのためにマタニティ用品を色々開発してる。
これがまたヒットしちゃって、すっからかんになった懐が見る間に潤うようになった。
映像石の販売とマタニティグッズの収益だけでそれだからね。
大公国の税収とか、ポーションの復活、アルファ商団のその他の利益も入れちゃえば、アルファルドの心配なんていらないくらい潤沢な資金が溜まってる。
溜まった分はまた国のために還元するつもり。整備しきれてない道路や、過疎地域への自立促進資金に使うつもり。
まだまだやらなきゃいけないことが山程あるから、休んでる暇なんてないんだよ。
と、思いつつソファーに座りながらマドレーヌをパクリ。口の中に広がる程よい甘さに、思わず声が漏れちゃう。
「んっ! 美味しい~!!」
「ふふっ、コバット王国のお菓子は本当に美味しいですよね」
「奥さまが大変お喜びになっていたと、使者の方にお伝えしておきますわっ!」
「ハハッ、よろしく~」
二人にもお菓子を進めながら、平和に日々が過ぎていった。
私達が大公国に移ってから数ヶ月が経った。
その間に人口が五倍に増えた。
これ聞いた時にはびっくりしたよ。だって五倍だよ!?
まぁ、私っていう広告塔? がいるおかげなのか、整備して住みやすくした大公国が良かったのか……
おかげで税収もどんどん増えて、ドラコニス大公家の収入も右肩上がりに増えてる。
まだまだ発展途上だけど、この調子だと全盛期のドラコニス公爵領の人口を超えそうだね!
首都リブラの工事は大体落ち着いてきて、あとは各地域の建設に力を入れてる。
私とアルファルドも急ピッチで建てたお城にお引っ越しして、今ではリブラで暮らしてる。
これでようやく公族らしくなってきたかな?
◇◇
「あれ? アルファルド……また、出かけるの?」
「…あぁ」
「タウリも?」
「えぇ、わしも行ってきますぞ!」
「……そう」
私の書斎に入って来たアルファルドとタウリ。
怪しい……
近頃、アルファルドとタウリが一緒に行動してる。
アルファルドも初めはタウリに警戒してたけど、タウリって元冒険者だし、厳つい見た目の割りと面倒見はいいから、いつの間にかアルファルドとも話すようになってた。
アルファルドが心を許す人って珍しいから、ある意味タウリってスゴイって思った。
「お嬢は大公国の財政管理で忙しいですからな。わしらは視察へ行って参りますぞ」
「…ミラ、行ってくる」
「ん? うん……行ってらっしゃい」
アルファルドが私にキスしてから、パタンと二人が出てって、部屋がシーンと静まり返ってる。
なんだか納得いかないんだよね。
この二人のことだから私を裏切るような真似はしないってわかってるけど……
アルファルドの映像石には何も映ってないし、聞いても大公国の見回りしてるだけだって言うし……
一度、タウリにこっそり聞いたけど、タウリは「お嬢! 男は時に、一人の時間がほしいものなのですぞ!」って、熱弁してたし。
ハァ……まぁ、アルファルドの様子はいつもと変わらないし、変わらず私のこと大事にしてくれてるし。
タウリも一緒だから、まっ、いっか。
ひとまず片付けなきゃいけないことが多すぎて、私はその話題を頭から切り離した。
各国からポーションの供給についても説明を求められてて、生産ラインが整い次第、順次供給していくつもり。
このあたりはオクタンとアンカに任せてる。
オクタンにポーションの作り方は教えてるし、魔法師団も普段は仕事自体ないから、ポーション、ハイポーション作りに専念してくれって頼んでる。
首都リブラの外れに魔塔を作って魔法使いを集めてるから、魔法使い人口も徐々に増えつつある。
大公城の警備はアケルナーとリゲルに一任してるし。
あ、この二人のために同性婚を認める法律も作らないとなぁ。二人とも何も言ってこないけど、アルファルドとアトリクス時代の私を見てるみたいだし。
やっぱりこの世界でも同性愛者は一定数いるからね。
「う~ん、終わらないなぁ……」
ガリガリ頭を掻きながら机の上で書類とにらめっこしてる私に、専属侍女のサラとメリダがお茶とお菓子を用意してくれる。
「奥さま、そろそろ休憩されては如何でしょう?」
「そうですよ~! 見てください、このお菓子っ! コバット王国の有名なパティシエが作ったマドレーヌというものらしいですよ!」
リリーとも今だに連絡とってるし、お互いに国家間を行き来してる。
私が行くことが多いけど、リリーと結婚したパステル侯爵とも、心配いらないくらいラブラブだったりする。
リリーも今や、妊婦さんになっちゃってるし。
聞いたときはびっくりだったけど、自分のことみたいに嬉しくて、今じゃリリーのためにマタニティ用品を色々開発してる。
これがまたヒットしちゃって、すっからかんになった懐が見る間に潤うようになった。
映像石の販売とマタニティグッズの収益だけでそれだからね。
大公国の税収とか、ポーションの復活、アルファ商団のその他の利益も入れちゃえば、アルファルドの心配なんていらないくらい潤沢な資金が溜まってる。
溜まった分はまた国のために還元するつもり。整備しきれてない道路や、過疎地域への自立促進資金に使うつもり。
まだまだやらなきゃいけないことが山程あるから、休んでる暇なんてないんだよ。
と、思いつつソファーに座りながらマドレーヌをパクリ。口の中に広がる程よい甘さに、思わず声が漏れちゃう。
「んっ! 美味しい~!!」
「ふふっ、コバット王国のお菓子は本当に美味しいですよね」
「奥さまが大変お喜びになっていたと、使者の方にお伝えしておきますわっ!」
「ハハッ、よろしく~」
二人にもお菓子を進めながら、平和に日々が過ぎていった。
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