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番外編
断罪 6
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「…アトリクスっ! お前、一体どういうつもりだッ!」
帰りの馬車の中。
アルファルドは私を責めるように問い質してきてる。
対面にあるふかふかの椅子に座ってた私は、窓の外見ながらこれからの事を考えてた。
「どういうつもりって? カストル皇帝陛下に話した通り、ドラコニス大公領を国として認めてもらうつもりだけど?」
アルファルドに視線を移して、冷静に話してる。でもアルファルドはまだ混乱してるみたいで、焦ったように私を見てる。
「…お前の気持ちは嬉しいが、恐らく希望は通らないぞ。カストル叔父上は、シリウス卿を支持しているが……、今回の件は別だッ」
対面で座ってたアルファルドが私に向かって怒ってるように話してる。
「私はそれでも構わないよ? ねぇ、アルファルド……、お前は、今の現状で満足なのか?」
「……どういう……ことだ?」
「俺は、ずっと前からアルファルドの置かれた状況は把握してるし、お前の気持ちは十分理解してるつもりだ。だけど、それじゃ俺の気持ちが収まらない」
対面で座ってるアルファルドを真剣に見つめながら、私はアルファルドに気持ちを伝えてる。
「…ミラ」
「アルファルドの気持ちを無視してるわけじゃない。前にお前が言ってた言葉は、ずっと俺の心に残ってる。だからこそこちらの選択を選んだんだ」
「…選択?」
「あぁ。お前は今の政権を覆し、皇帝になることを拒否した。そうなると残された選択肢は一つしかない」
「…それが……、お前の言っていた、大公国を造る、ということになるのか?」
驚きに満ちた顔で話してるアルファルドに向かって、ニコッと笑ってから返事を返した。
「そういうこと。さっきも言ったけど……、お前は長い間誹謗中傷を浴びてきたせいか、それが当たり前になっていて、まるで日常のように受け入れてしまっている」
「……」
「けどさ、それじゃ駄目なんだ。お前が気にしないのも、全て受け入れてしまうのも、結局は見下される原因になる。お前のこれまでのことを考えると、仕方ないのは承知の上だ。だから、それらを全て塗り替えるには全てを無にして、お前が頂点として立つしかない」
厳しいこと言うようだけど、そうしないとこの先何も変わらない。それはアルファルドの優しさでもあり、甘い部分でもある。
アルファルドは座ったまま、太もものズボンをぎゅっと握ってる。
「…だが、俺はっ……、俺には、そんな力は無いっ! お前のようなカリスマ性も無ければ、民衆からの支持も権力に刃向かう度胸もないっ……」
馬車はそのまま動いてたけど、立ち上がって対面のアルファルドに近づいて膝に腰を降ろした。
「お前は十分兼ね備えているんだけどな……。それでも自信がないなら、私をもっと上手く使って利用すればいい」
「…ミラ」
膝に座って、アルファルドの綺麗な顔を間近で見ながら、頬に手を添えて静かに囁いた。
「アルファルド。そんなお前だから……私は、これ以上お前が悩むことのない世界を作りたい」
「……」
真面目に……真剣に頬に手を添えて、アルファルドの神秘的なオッドアイを見据えて一言ずつはっきり話してる。
「お前の為に、私はずっとずっと前から準備をしてきた。お前を救う為に……お前が本当の意味で幸せになれるようにさ」
「ッ……」
じっと見つめて話してる私に、アルファルドは畏怖を感じてるのか……、息を呑んだまま言葉を失ってる。
「倫理観や固定観念なんて考えるな。……お前が今までされてきたことを思い出せ。それは簡単に許されることだったか?」
アルファルドの膝に乗って諭すように問いかけてる。
「………いや」
「そうだろ? 俺はお前の為ならなんでもやる。お前が何者にも侵害されない世界を作るには、独立した国家を作る以外にない。俺ならそれを実現することができる」
「…っ! …何故だ」
私の腰に手を添えたアルファルドは、どこか苦しそうに言葉を紡いでる。
「わからないか? お前を脅かすものは、何であっても赦せないんだ……、俺にとってお前に関わることは全て逆鱗だ。シリウスとしての地位を確立した俺を、咎める者なんて今や誰もいない」
「…っ、ミ……ラ……」
アルファルドの頬を両手で挟んで、ニッと笑った。
「言っただろ? お前を悩ませるものは、全部無くしてしまえばいい、ってさ」
「――っ! まさか、無くすとは……こういうことだったのかッ!?」
アルファルドは私がずっと帝国を滅ぼすって思ってたみたいだからね。私はもっと平和的に解決したいから。まぁ、これが平和的かどうかは難しいとこだけど。
「…アトリクスっ! お前、一体どういうつもりだッ!」
帰りの馬車の中。
アルファルドは私を責めるように問い質してきてる。
対面にあるふかふかの椅子に座ってた私は、窓の外見ながらこれからの事を考えてた。
「どういうつもりって? カストル皇帝陛下に話した通り、ドラコニス大公領を国として認めてもらうつもりだけど?」
アルファルドに視線を移して、冷静に話してる。でもアルファルドはまだ混乱してるみたいで、焦ったように私を見てる。
「…お前の気持ちは嬉しいが、恐らく希望は通らないぞ。カストル叔父上は、シリウス卿を支持しているが……、今回の件は別だッ」
対面で座ってたアルファルドが私に向かって怒ってるように話してる。
「私はそれでも構わないよ? ねぇ、アルファルド……、お前は、今の現状で満足なのか?」
「……どういう……ことだ?」
「俺は、ずっと前からアルファルドの置かれた状況は把握してるし、お前の気持ちは十分理解してるつもりだ。だけど、それじゃ俺の気持ちが収まらない」
対面で座ってるアルファルドを真剣に見つめながら、私はアルファルドに気持ちを伝えてる。
「…ミラ」
「アルファルドの気持ちを無視してるわけじゃない。前にお前が言ってた言葉は、ずっと俺の心に残ってる。だからこそこちらの選択を選んだんだ」
「…選択?」
「あぁ。お前は今の政権を覆し、皇帝になることを拒否した。そうなると残された選択肢は一つしかない」
「…それが……、お前の言っていた、大公国を造る、ということになるのか?」
驚きに満ちた顔で話してるアルファルドに向かって、ニコッと笑ってから返事を返した。
「そういうこと。さっきも言ったけど……、お前は長い間誹謗中傷を浴びてきたせいか、それが当たり前になっていて、まるで日常のように受け入れてしまっている」
「……」
「けどさ、それじゃ駄目なんだ。お前が気にしないのも、全て受け入れてしまうのも、結局は見下される原因になる。お前のこれまでのことを考えると、仕方ないのは承知の上だ。だから、それらを全て塗り替えるには全てを無にして、お前が頂点として立つしかない」
厳しいこと言うようだけど、そうしないとこの先何も変わらない。それはアルファルドの優しさでもあり、甘い部分でもある。
アルファルドは座ったまま、太もものズボンをぎゅっと握ってる。
「…だが、俺はっ……、俺には、そんな力は無いっ! お前のようなカリスマ性も無ければ、民衆からの支持も権力に刃向かう度胸もないっ……」
馬車はそのまま動いてたけど、立ち上がって対面のアルファルドに近づいて膝に腰を降ろした。
「お前は十分兼ね備えているんだけどな……。それでも自信がないなら、私をもっと上手く使って利用すればいい」
「…ミラ」
膝に座って、アルファルドの綺麗な顔を間近で見ながら、頬に手を添えて静かに囁いた。
「アルファルド。そんなお前だから……私は、これ以上お前が悩むことのない世界を作りたい」
「……」
真面目に……真剣に頬に手を添えて、アルファルドの神秘的なオッドアイを見据えて一言ずつはっきり話してる。
「お前の為に、私はずっとずっと前から準備をしてきた。お前を救う為に……お前が本当の意味で幸せになれるようにさ」
「ッ……」
じっと見つめて話してる私に、アルファルドは畏怖を感じてるのか……、息を呑んだまま言葉を失ってる。
「倫理観や固定観念なんて考えるな。……お前が今までされてきたことを思い出せ。それは簡単に許されることだったか?」
アルファルドの膝に乗って諭すように問いかけてる。
「………いや」
「そうだろ? 俺はお前の為ならなんでもやる。お前が何者にも侵害されない世界を作るには、独立した国家を作る以外にない。俺ならそれを実現することができる」
「…っ! …何故だ」
私の腰に手を添えたアルファルドは、どこか苦しそうに言葉を紡いでる。
「わからないか? お前を脅かすものは、何であっても赦せないんだ……、俺にとってお前に関わることは全て逆鱗だ。シリウスとしての地位を確立した俺を、咎める者なんて今や誰もいない」
「…っ、ミ……ラ……」
アルファルドの頬を両手で挟んで、ニッと笑った。
「言っただろ? お前を悩ませるものは、全部無くしてしまえばいい、ってさ」
「――っ! まさか、無くすとは……こういうことだったのかッ!?」
アルファルドは私がずっと帝国を滅ぼすって思ってたみたいだからね。私はもっと平和的に解決したいから。まぁ、これが平和的かどうかは難しいとこだけど。
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