379 / 392
番外編
決着 1
しおりを挟む
'
私達とレグルス様達がやりあった日から、私やアルファルド同様にレグルス様とポラリスもアカデミアに来なくなってた。
噂では皇帝陛下がしばらく謹慎命令出したんだって。
元々ポラリスも皇太子妃教育の為に皇宮で過ごしてたみたいだから、そのまま二人とも皇宮で謹慎してる。
なんだか結構大変なことになってるらしいよ。
皇宮内は慌ただしいって話だし、話し合いの場をもたせる為に皇宮から伝令が来てたけど全部無視した。
大公家にも皇宮から騎士とか団長クラスの人間まで説得しに来てたけど、丁重にお帰りいただいた。
私はもう聞く耳持たないから。今さら何を言われても自分の考えは変えない。これまでもたくさんチャンスはあったはずなのに、棒に振ったのは向こうだからね。
あれから二週間くらい経って、皇帝陛下の直筆で皇宮まで来いって書簡が来た。
ようやくどうするかっていう処遇が決まったみたいだね。
「…行くのか?」
「うん! もちろん!」
「…そうか」
二人で私室で寛いでた。私を膝の上に乗せた、アルファルドが難しい顔して考えてる。
「準備はしてきたし、お前にも説明しただろ? 大丈夫だ。きっと上手くいく」
「…お前のその自信は、どこからやって来るんだ?」
不安そうなアルファルドに向かってニコッと笑った。
「そりゃあ確信があるからさ。とりあえず行こうぜ?」
「…あぁ」
アルファルドの膝の上からぴょんと降りて、支度を始めた。
馬車の中でアルファルドはずっと腕組んだまま無言だった。
私はいつもの戦闘服に身を包んで、今日は万が一の為に帯剣してる。
皇宮に着いてアルファルドと並んで歩きながら、通り過ぎる使用人や文官達が私達に向かって次々頭を下げていく。
「「シリウス帝督!お疲れ様ですっ!!」」
騎士達は立ち止まって挨拶と敬礼で迎えてくれて、私もずいぶん偉くなったなぁって実感してる。
とりあえずこの数をいちいち受け答えするのも面倒だから、片手だけ挙げて通り過ぎる。周りからの羨望の眼差しが痛いくらい。私って滅多に皇宮に現れないし、特に今は色々あったから、ここに来るのが物珍しいんだろうね。
「皇帝陛下にお会いする。開けろ」
執務室の前までやって来て、門番の騎士に声をかける。
「はっ! 畏まりましたっ!」
「皇帝陛下、シリウス帝督のお越しです!!」
左右に開かれた扉を潜って、広い執務用の机に座ってるポルックス公爵の前まで歩いた。
隣には宰相さんも立ってて緊張した面持ちでこっちを見てる。
「挨拶はいらん。よく来たな、シリウスよ。そなたの気は変わらんのか?」
机の上で手を組んでるポルックス公爵の表情は険しい感じ。
「再三の登宮を無視していた俺の気が変わるとでも?」
目の前で立ってる私を見てポルックス公爵は盛大にため息を吐いてる。
「やはり変わらんか」
「えぇ。俺が一時の感情で動いたとでもお思いですか? そんな愚かな人間だと思われていたのなら心外です」
「いや、そうではない。初めに言うが、余はそなたと敵対したいわけではない」
「それはこちらも同じです。俺は今でも、カストル皇帝陛下になら忠誠を誓っても良いと思っています」
「ぬぅ……、そうか……」
歯切れの悪いポルックス公爵に変わって、今度は宰相さんが話しだした。
「以前、シリウス帝督が仰っていた件についての処遇が決まりました」
「それは、有り難いことです。是非、結果をお聞かせ願いたい」
ポルックス公爵も宰相さんも、あまりいい顔はしてないね。それだけでもなんとなく答えがわかったよ。
「帝国の意見としては……是非とも、シリウス帝督に譲歩をお願いしたいと思います」
「譲歩?」
「えぇ。要するに、これまでの出来事を反故にできないかという事です」
「反故? それはあまりに都合が良すぎるのでは?」
「もちろん、わかっております。代わりと致しまして、今後十年間はカストル皇帝陛下に玉座をお任せしたいと思っております」
なるほどね。レグルス様をすぐに帝位につけないで、ポルックス公爵をしばらく皇帝の座に座らせて、私を繋ぎ止めておく作戦て事ね。確かにこれなら皇太子を廃嫡しなくてもいいし、大公家を分断する必要もなくなる。
「一応お聞きしますが、十年後はどうなさるおつもりで? 先延ばしにしたところで、俺の気が変わるとでもお思いですか?」
「シリウスよ。どうしても気は変わらんのか? 余はそなたを手放したくない。そなたが帝国に残ってくれれば、他国からの脅威も容易に退けよう。そなたの名声は、もはや帝国だけに留まらんのだ」
まぁそうだよね。SSS級冒険者ってこの世界で私だけだから。
実は他国からも結構声が掛かってたりするんだよね。熱烈なラブレターもらったりしてるけど、私はアルファルドの妻だからってとりあえず丁重にお断りしてる。
特にアウリガルの国王のアプローチが結構凄くて、ぜひ王国に移住してくれって何度も誘われてる。一応アウリガルで爵位もあるし、お世話になったからね。
だから月に一度はアウリガル王国まで出向いてるんだ。
「カストル陛下のお気持ちは大変光栄に思います。ですがその俺や夫を無下にしたのは他でもない、この帝国の皇太子殿下です。初めに裏切ったのはそちらではないのですか?」
「うぅっ……、それは、レグルス独断の判断だったのだ。本人も愚かなことをしたと、非常に反省しておる。ここはどうにか和解できんものか……」
いや、あのさぁ……、ごめんなさいで済んだら警察はいらないから。
まずその浅はかな考えが問題なの!! なんでわからないかなぁ……
「ではお聞きしますが……もし俺達があの場で汚名を晴らすことができず、大勢の生徒が観衆している中、皇太子殿下の策略通り汚名を着せられ、大公家の名誉を汚されていたとしたら……それでも何事も無かったことにしろと、そう仰るのですか?」
「……」
貴族にとって名誉を汚されるって、絶対的に一番許せないことなんだよ。ましてや高位貴族や皇族なんて一番体裁を気にするから、それをこんな風に陥れる真似するなんて問答無用だよね。
ポルックス公爵も宰相さんも言葉が出ないみたいだね。
もうさ、悪いのは明らかにレグルス様で、向こうもそれが分かってるんだけど、立場的にどうしようもできないんだよね。
「結果だけ見れば皇太子殿下の失敗に終わりましたが、それを許容できるほど俺は寛容じゃない。もし穏便に解決できず交渉が決裂するのであれば、俺が今後取る行動は決まっています」
「はぁ……そうか。……ドラコニス大公よ。そなたはどうなのだ?」
「…俺、ですか?」
突然話を振られたアルファルドが驚いてる。まさか自分の意見を聞かれるとは思ってなかったんだろうね。でも、私を止められるのはアルファルドしかいないってわかってんだよね。
「…俺は、アトリクスの意見を尊重します。こいつは誰よりも俺を優先し、俺のことを思って決断してくれました。…なので、俺から言うことは何もないです」
アルファルドが隣にいた私の腰を引き寄せて、堂々と宣言してくれてる。
私はその姿に感動しちゃった! あのアルファルドがこうしてちゃんと意見して、私を尊重してくれてるのがすごく嬉しくって。
ポルックス公爵もアルファルドの意見聞いて、またため息をついてた。
「――そうか……」
私達とレグルス様達がやりあった日から、私やアルファルド同様にレグルス様とポラリスもアカデミアに来なくなってた。
噂では皇帝陛下がしばらく謹慎命令出したんだって。
元々ポラリスも皇太子妃教育の為に皇宮で過ごしてたみたいだから、そのまま二人とも皇宮で謹慎してる。
なんだか結構大変なことになってるらしいよ。
皇宮内は慌ただしいって話だし、話し合いの場をもたせる為に皇宮から伝令が来てたけど全部無視した。
大公家にも皇宮から騎士とか団長クラスの人間まで説得しに来てたけど、丁重にお帰りいただいた。
私はもう聞く耳持たないから。今さら何を言われても自分の考えは変えない。これまでもたくさんチャンスはあったはずなのに、棒に振ったのは向こうだからね。
あれから二週間くらい経って、皇帝陛下の直筆で皇宮まで来いって書簡が来た。
ようやくどうするかっていう処遇が決まったみたいだね。
「…行くのか?」
「うん! もちろん!」
「…そうか」
二人で私室で寛いでた。私を膝の上に乗せた、アルファルドが難しい顔して考えてる。
「準備はしてきたし、お前にも説明しただろ? 大丈夫だ。きっと上手くいく」
「…お前のその自信は、どこからやって来るんだ?」
不安そうなアルファルドに向かってニコッと笑った。
「そりゃあ確信があるからさ。とりあえず行こうぜ?」
「…あぁ」
アルファルドの膝の上からぴょんと降りて、支度を始めた。
馬車の中でアルファルドはずっと腕組んだまま無言だった。
私はいつもの戦闘服に身を包んで、今日は万が一の為に帯剣してる。
皇宮に着いてアルファルドと並んで歩きながら、通り過ぎる使用人や文官達が私達に向かって次々頭を下げていく。
「「シリウス帝督!お疲れ様ですっ!!」」
騎士達は立ち止まって挨拶と敬礼で迎えてくれて、私もずいぶん偉くなったなぁって実感してる。
とりあえずこの数をいちいち受け答えするのも面倒だから、片手だけ挙げて通り過ぎる。周りからの羨望の眼差しが痛いくらい。私って滅多に皇宮に現れないし、特に今は色々あったから、ここに来るのが物珍しいんだろうね。
「皇帝陛下にお会いする。開けろ」
執務室の前までやって来て、門番の騎士に声をかける。
「はっ! 畏まりましたっ!」
「皇帝陛下、シリウス帝督のお越しです!!」
左右に開かれた扉を潜って、広い執務用の机に座ってるポルックス公爵の前まで歩いた。
隣には宰相さんも立ってて緊張した面持ちでこっちを見てる。
「挨拶はいらん。よく来たな、シリウスよ。そなたの気は変わらんのか?」
机の上で手を組んでるポルックス公爵の表情は険しい感じ。
「再三の登宮を無視していた俺の気が変わるとでも?」
目の前で立ってる私を見てポルックス公爵は盛大にため息を吐いてる。
「やはり変わらんか」
「えぇ。俺が一時の感情で動いたとでもお思いですか? そんな愚かな人間だと思われていたのなら心外です」
「いや、そうではない。初めに言うが、余はそなたと敵対したいわけではない」
「それはこちらも同じです。俺は今でも、カストル皇帝陛下になら忠誠を誓っても良いと思っています」
「ぬぅ……、そうか……」
歯切れの悪いポルックス公爵に変わって、今度は宰相さんが話しだした。
「以前、シリウス帝督が仰っていた件についての処遇が決まりました」
「それは、有り難いことです。是非、結果をお聞かせ願いたい」
ポルックス公爵も宰相さんも、あまりいい顔はしてないね。それだけでもなんとなく答えがわかったよ。
「帝国の意見としては……是非とも、シリウス帝督に譲歩をお願いしたいと思います」
「譲歩?」
「えぇ。要するに、これまでの出来事を反故にできないかという事です」
「反故? それはあまりに都合が良すぎるのでは?」
「もちろん、わかっております。代わりと致しまして、今後十年間はカストル皇帝陛下に玉座をお任せしたいと思っております」
なるほどね。レグルス様をすぐに帝位につけないで、ポルックス公爵をしばらく皇帝の座に座らせて、私を繋ぎ止めておく作戦て事ね。確かにこれなら皇太子を廃嫡しなくてもいいし、大公家を分断する必要もなくなる。
「一応お聞きしますが、十年後はどうなさるおつもりで? 先延ばしにしたところで、俺の気が変わるとでもお思いですか?」
「シリウスよ。どうしても気は変わらんのか? 余はそなたを手放したくない。そなたが帝国に残ってくれれば、他国からの脅威も容易に退けよう。そなたの名声は、もはや帝国だけに留まらんのだ」
まぁそうだよね。SSS級冒険者ってこの世界で私だけだから。
実は他国からも結構声が掛かってたりするんだよね。熱烈なラブレターもらったりしてるけど、私はアルファルドの妻だからってとりあえず丁重にお断りしてる。
特にアウリガルの国王のアプローチが結構凄くて、ぜひ王国に移住してくれって何度も誘われてる。一応アウリガルで爵位もあるし、お世話になったからね。
だから月に一度はアウリガル王国まで出向いてるんだ。
「カストル陛下のお気持ちは大変光栄に思います。ですがその俺や夫を無下にしたのは他でもない、この帝国の皇太子殿下です。初めに裏切ったのはそちらではないのですか?」
「うぅっ……、それは、レグルス独断の判断だったのだ。本人も愚かなことをしたと、非常に反省しておる。ここはどうにか和解できんものか……」
いや、あのさぁ……、ごめんなさいで済んだら警察はいらないから。
まずその浅はかな考えが問題なの!! なんでわからないかなぁ……
「ではお聞きしますが……もし俺達があの場で汚名を晴らすことができず、大勢の生徒が観衆している中、皇太子殿下の策略通り汚名を着せられ、大公家の名誉を汚されていたとしたら……それでも何事も無かったことにしろと、そう仰るのですか?」
「……」
貴族にとって名誉を汚されるって、絶対的に一番許せないことなんだよ。ましてや高位貴族や皇族なんて一番体裁を気にするから、それをこんな風に陥れる真似するなんて問答無用だよね。
ポルックス公爵も宰相さんも言葉が出ないみたいだね。
もうさ、悪いのは明らかにレグルス様で、向こうもそれが分かってるんだけど、立場的にどうしようもできないんだよね。
「結果だけ見れば皇太子殿下の失敗に終わりましたが、それを許容できるほど俺は寛容じゃない。もし穏便に解決できず交渉が決裂するのであれば、俺が今後取る行動は決まっています」
「はぁ……そうか。……ドラコニス大公よ。そなたはどうなのだ?」
「…俺、ですか?」
突然話を振られたアルファルドが驚いてる。まさか自分の意見を聞かれるとは思ってなかったんだろうね。でも、私を止められるのはアルファルドしかいないってわかってんだよね。
「…俺は、アトリクスの意見を尊重します。こいつは誰よりも俺を優先し、俺のことを思って決断してくれました。…なので、俺から言うことは何もないです」
アルファルドが隣にいた私の腰を引き寄せて、堂々と宣言してくれてる。
私はその姿に感動しちゃった! あのアルファルドがこうしてちゃんと意見して、私を尊重してくれてるのがすごく嬉しくって。
ポルックス公爵もアルファルドの意見聞いて、またため息をついてた。
「――そうか……」
2
お気に入りに追加
324
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる