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番外編
新学園生活 4
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女性騎士とか女性魔法士って、圧倒的に少ないんだよ。魔法が使える女の子って、それ自体がステータスになるから早い段階で嫁がされちゃうんだよね。
「た、大公家の……騎士団に……羨ましいっ」
「シリウス帝督が率いる騎士団なんて、皇室騎士団と変わらないんじゃ……」
「くっそ……! 俺も、初めから仲良くしてれば今頃はっ……」
「私も入りたいわっ」
「で、でも、シリウス名誉教授は、他の誰とも仲良くなさらないと仰ってましたし……」
周りに聞かせる為に言った訳じゃないんだけど、勝手に聞いて勝手に騒いでるだけだから、まぁどうでもいいや。
「性別は関係ないぞ? なんたって俺が総大将だしな。それに騎士団って言っても、剣士と魔法士に分けるつもり。細かい事は後で説明するよ。とりあえず打診だけしとくなっ。卒業までまだあるし、良く考えて決めてくれ」
パチッとウインクして笑顔でオクタン達の席から離れた。
振り返るとアルファルドがまだ立ったまま私を見てるし。
「アルファルド……? どうした?」
「…アトリクス」
「ん? なに?」
「…オクタンスまで、大公家の家臣にするつもりか……」
アルファルドはなんだか不満そう。
腕組んだまますぐ近くまで近づいてきて、眉間にシワ寄せたまま私を見下ろしてる。
いや、まだ返事もらってないからわからないけど。
「うん。だめ?」
「…アイツが、一番危険だ」
「へ……?」
「…お前との距離が、近すぎる……」
「距離って……、そりゃあオクタンとは友達だし……」
「…それが、気に入らないっ……」
「えー……? アルファルドが心配することなんて何もないよ? オクタンもアンカもリリーも、俺にとって同じくみんな友達なんだ」
すぐ近くでアルファルド見上げたまま説明していくけど……、やっぱりアルファルドはまだ納得いかないみたいに眉間にシワが寄ってる。
「……」
その場で背伸びして、アルファルドの頬を両手でそっと挟んだ。相変わらずスベスベ肌で触り心地良い。
「アルファルドは私の素敵な旦那さまで、一番大好きで、めちゃくちゃカッコよくて、誰よりも愛しい人だから」
「――っ」
「私の中で特別なのは、アルファルドだけだよ」
ニコッと笑うとアルファルドもようやく納得してくれたのか、神秘的なオッドアイに熱を込めて愛しそうに私を見下ろしてる。
「…アトリクス……」
アルファルドも私の背中に手を回して、屈みながら間近で綺麗に微笑んでくれる。
ここが講堂内じゃなかったら、もっとイチャイチャしてるんだけど。
やっぱりアルファルドってめちゃくちゃイケメンだよね。こんなに毎日近くで見てるのに、いつ見てもかっこいいし、いつまでも見惚れちゃうよ。
もう周りからキャーキャー言ってる声や視線を痛いほど感じるけど、私はアルファルドを不安にさせたくないから、気にしないで続けてる。
「流石ね、アトリクス。男の姿でも大公様をオトすだけあるわ。貴女の手管を、わたくしも見習わなくては」
遅れて入ってきたのはリリー。
パッとアルファルドから手を離して、後ろを振り向いた。
「おぅ、リリー」
「ごきげんよう、アトリクス。あなた方が羨ましいわ」
「んー……? お前だって国に帰ればラブラブだろ?」
「らぶらぶ? 良くわからないけれど……あなたと違って、そう簡単にはまいりませんのよ」
「ふ~ん……」
リリーは片手を頬に添えて、目を瞑りながら難しい顔してる。
リリーんとこは年の差もあるし、王女と宰相だし、色々面倒なのかもね。
機嫌の治ったアルファルドに後ろからハグされながら、リリーと向き合った。
「ま、頑張れよ。本当ならお前を一番にスカウトしたいんだけどさ。さすがにそれは無理だしな」
「まぁっ! お世辞でも嬉しいお言葉だわ。世界的にも有名なシリウス帝督直々に勧誘されるなんて!」
「あのなぁ、俺はコイツ以外、褒め言葉なんて滅多に言わないからさ」
「あらっ、わたくしも口説かれてる気分だわ。ふふっ……、あなたってつくづく魔性ね」
「えぇーー? なんでそうなるんだ?」
リリーってば、やっぱり私を魔性にしたいみたいだね。
アルファルドは変わらず後ろから抱きしめてるし、リリーはリリーで楽しそうに笑ってる。
はぁ……、平和だなぁー。
なーんて思ってるのはここまでだったんだ……。
女性騎士とか女性魔法士って、圧倒的に少ないんだよ。魔法が使える女の子って、それ自体がステータスになるから早い段階で嫁がされちゃうんだよね。
「た、大公家の……騎士団に……羨ましいっ」
「シリウス帝督が率いる騎士団なんて、皇室騎士団と変わらないんじゃ……」
「くっそ……! 俺も、初めから仲良くしてれば今頃はっ……」
「私も入りたいわっ」
「で、でも、シリウス名誉教授は、他の誰とも仲良くなさらないと仰ってましたし……」
周りに聞かせる為に言った訳じゃないんだけど、勝手に聞いて勝手に騒いでるだけだから、まぁどうでもいいや。
「性別は関係ないぞ? なんたって俺が総大将だしな。それに騎士団って言っても、剣士と魔法士に分けるつもり。細かい事は後で説明するよ。とりあえず打診だけしとくなっ。卒業までまだあるし、良く考えて決めてくれ」
パチッとウインクして笑顔でオクタン達の席から離れた。
振り返るとアルファルドがまだ立ったまま私を見てるし。
「アルファルド……? どうした?」
「…アトリクス」
「ん? なに?」
「…オクタンスまで、大公家の家臣にするつもりか……」
アルファルドはなんだか不満そう。
腕組んだまますぐ近くまで近づいてきて、眉間にシワ寄せたまま私を見下ろしてる。
いや、まだ返事もらってないからわからないけど。
「うん。だめ?」
「…アイツが、一番危険だ」
「へ……?」
「…お前との距離が、近すぎる……」
「距離って……、そりゃあオクタンとは友達だし……」
「…それが、気に入らないっ……」
「えー……? アルファルドが心配することなんて何もないよ? オクタンもアンカもリリーも、俺にとって同じくみんな友達なんだ」
すぐ近くでアルファルド見上げたまま説明していくけど……、やっぱりアルファルドはまだ納得いかないみたいに眉間にシワが寄ってる。
「……」
その場で背伸びして、アルファルドの頬を両手でそっと挟んだ。相変わらずスベスベ肌で触り心地良い。
「アルファルドは私の素敵な旦那さまで、一番大好きで、めちゃくちゃカッコよくて、誰よりも愛しい人だから」
「――っ」
「私の中で特別なのは、アルファルドだけだよ」
ニコッと笑うとアルファルドもようやく納得してくれたのか、神秘的なオッドアイに熱を込めて愛しそうに私を見下ろしてる。
「…アトリクス……」
アルファルドも私の背中に手を回して、屈みながら間近で綺麗に微笑んでくれる。
ここが講堂内じゃなかったら、もっとイチャイチャしてるんだけど。
やっぱりアルファルドってめちゃくちゃイケメンだよね。こんなに毎日近くで見てるのに、いつ見てもかっこいいし、いつまでも見惚れちゃうよ。
もう周りからキャーキャー言ってる声や視線を痛いほど感じるけど、私はアルファルドを不安にさせたくないから、気にしないで続けてる。
「流石ね、アトリクス。男の姿でも大公様をオトすだけあるわ。貴女の手管を、わたくしも見習わなくては」
遅れて入ってきたのはリリー。
パッとアルファルドから手を離して、後ろを振り向いた。
「おぅ、リリー」
「ごきげんよう、アトリクス。あなた方が羨ましいわ」
「んー……? お前だって国に帰ればラブラブだろ?」
「らぶらぶ? 良くわからないけれど……あなたと違って、そう簡単にはまいりませんのよ」
「ふ~ん……」
リリーは片手を頬に添えて、目を瞑りながら難しい顔してる。
リリーんとこは年の差もあるし、王女と宰相だし、色々面倒なのかもね。
機嫌の治ったアルファルドに後ろからハグされながら、リリーと向き合った。
「ま、頑張れよ。本当ならお前を一番にスカウトしたいんだけどさ。さすがにそれは無理だしな」
「まぁっ! お世辞でも嬉しいお言葉だわ。世界的にも有名なシリウス帝督直々に勧誘されるなんて!」
「あのなぁ、俺はコイツ以外、褒め言葉なんて滅多に言わないからさ」
「あらっ、わたくしも口説かれてる気分だわ。ふふっ……、あなたってつくづく魔性ね」
「えぇーー? なんでそうなるんだ?」
リリーってば、やっぱり私を魔性にしたいみたいだね。
アルファルドは変わらず後ろから抱きしめてるし、リリーはリリーで楽しそうに笑ってる。
はぁ……、平和だなぁー。
なーんて思ってるのはここまでだったんだ……。
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