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星たちの行方 22
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もう結果だけ言うと、私に爵位を与えるのは無理だから、代わりにドラコニス公爵家を大公家に陞爵させるって。
あれだけ大勢の前で爵位いらない宣言したし、その前にも爵位なんて必要ないって自主返納したから、さすがに諦めたみたいだね。
公爵家を大公家にってのには大賛成!
「…ドラコニス公爵家を、大公家に?」
「その通りだ。これに関して皆の承諾を得ている。すでに決定事項なので拒否権はない。心して受け取れ、ドラコニス大公よ」
「…っ。…はいっ!」
アルファルドは胸に手を当てて頭を下げてる。
私はアルファルドの隣で、その様子を感慨深く見てた。
良かった…。ようやくアルファルドが、本当の意味でみんなから認められる日が来たんだ!
ここまで長かったなー…。
でも私の努力は無駄じゃなかった。アルファルドが…公爵家が返り咲く事ができたんだから。
「して、シリウスよ」
いきなり私に話しが振られて、ちょっとびっくり。これで終わりかと思ってたから。
アルファルドの隣で涙ぐんでたけど、とりあえず姿勢を正してポルックス公爵と向き合った。
「はい。何でしょう?陛下」
「そなた自身にも何かしらの褒美を与えねばならん。だが、そなたが爵位も報奨も要らぬと申すのでな、他のものを用意させてもらった」
さっきの牽制してた時と打って変わって、ポルックス公爵がいい笑顔を見せてる。
「他のもの、と申しますと…?」
何だかヤな予感しかしなくて、訝しそうにポルックス公爵と同じく、隣で並んでいい笑顔してる宰相さんに視線を向けた。
「そなたがいない間、議会で新たに可決した。反対意見もなく、本人も不在だったのですんなりと決まってなあ」
「はあ…?」
何か、めちゃくちゃ嫌味みたいに言われてるんだけど…。さっきの仕返しかな?
「我が帝国が誇る騎士団全てを総括する最高責任者として、新たに【ロイヤルマスター】という役職を作った。それをそなたに任命しよう!」
「──はっ?」
突然の話に目が丸くなる。ポルックス公爵の言ってる事が頭に入って理解するまで、間抜けな顔してたと思う。
「帝国騎士団、魔法騎士団、魔法師団、これら全てを動かせる権利をそなたに授ける。この役職は爵位ではないが、それに勝る特権と権威を同時に持つ事となる。これならば法に触れる事もなく、そなたの威厳も保たれるというものだっ」
うわっ…、やられた…!
まさか新しい階級を作るなんてっ!これって絶対宰相さんの提案だっ!確かに今から法を変えるよりも、この方がよっぽど早い。
しかも全騎士団を動かせるなんてこんなの、ほぼ皇帝陛下の権限と変わらないじゃん!!
玉座に座ってるポルックス公爵と、隣で立ってる宰相さんがニヤッとしながらドヤ顔してるのが何だかムカつく。
これじゃまだ爵位貰ってた方がマシだったかも。せっかく面倒事から解放されると思ったのにっ!!
でも悔しい顔してると負けた気がするから、胸に手を当ててフッと笑ってから軽く腰を曲げた。
「……ありがたき幸せ。そのような大役、一介の冒険者である私にお任せ頂けるとは、光栄の極みです。その名に恥じぬよう、精一杯精進して参りたい所存にございます」
「そうかっシリウスよ!帝国の英雄と謳われるそなたにこそ相応しい役職ぞ。これで帝国の未来も安泰だっ!」
私がまた暴れないで受け入れたのが相当嬉しかったのか、ポルックス公爵が安心したように笑っててイラッとする。隣で立ってる宰相さんもうんうん頷いてるし。
手を胸に当てたまま顔を上げて、ポルックス公爵と宰相さんを見て薄っすらと笑った。
「えぇ、陛下…。私にこの役職を任命された事を後悔される日が来ないよう…、末永い帝国の安寧を願っております」
そんな事で引き下がる私じゃないし。とりあえず釘刺しとかないとね。
あんた達が飼おうとしてるのは従順な生き物じゃなくて、手に負えないくらいの化け物だっていう忠告。
「っぐ…、そなたは一言余計だっ。話せぬ時の方が、まだ可愛げがあったぞっ!」
「お褒めに預かり、恐悦至極に存じます」
笑いながら、バカ丁寧に言葉を返した。
私の言葉のトゲに気づいて、ポルックス公爵も返す言葉が見つからないみたい。
自分達が上手いことやり込めたと思ってるけど、その事で私が怒ってるってのが分かったみたいだね。
「はぁ…、もう良いわっ。…此度の働き、大儀であった。任命式まで大人しくしておれっ」
先皇帝とは違って、ポルックス公爵はそこまで威圧的じゃないし、私としては憎めないんだよね。
少しだけアルファルドに似てるからってのもあるけど。叔父さんだしね。
もちろんまだ許せない気持ちもあるけど、この人は一応アルファルドに罪の意識を感じてるみたいだし。だから多分、私のことを引き合いにして公爵家を大公家にしたんだよね。
正式な任命式はレグルス様の戴冠式と同時にするみたい。でもこの時から、私やアルファルドの立場は今までとガラッと変わってしまった。
もう結果だけ言うと、私に爵位を与えるのは無理だから、代わりにドラコニス公爵家を大公家に陞爵させるって。
あれだけ大勢の前で爵位いらない宣言したし、その前にも爵位なんて必要ないって自主返納したから、さすがに諦めたみたいだね。
公爵家を大公家にってのには大賛成!
「…ドラコニス公爵家を、大公家に?」
「その通りだ。これに関して皆の承諾を得ている。すでに決定事項なので拒否権はない。心して受け取れ、ドラコニス大公よ」
「…っ。…はいっ!」
アルファルドは胸に手を当てて頭を下げてる。
私はアルファルドの隣で、その様子を感慨深く見てた。
良かった…。ようやくアルファルドが、本当の意味でみんなから認められる日が来たんだ!
ここまで長かったなー…。
でも私の努力は無駄じゃなかった。アルファルドが…公爵家が返り咲く事ができたんだから。
「して、シリウスよ」
いきなり私に話しが振られて、ちょっとびっくり。これで終わりかと思ってたから。
アルファルドの隣で涙ぐんでたけど、とりあえず姿勢を正してポルックス公爵と向き合った。
「はい。何でしょう?陛下」
「そなた自身にも何かしらの褒美を与えねばならん。だが、そなたが爵位も報奨も要らぬと申すのでな、他のものを用意させてもらった」
さっきの牽制してた時と打って変わって、ポルックス公爵がいい笑顔を見せてる。
「他のもの、と申しますと…?」
何だかヤな予感しかしなくて、訝しそうにポルックス公爵と同じく、隣で並んでいい笑顔してる宰相さんに視線を向けた。
「そなたがいない間、議会で新たに可決した。反対意見もなく、本人も不在だったのですんなりと決まってなあ」
「はあ…?」
何か、めちゃくちゃ嫌味みたいに言われてるんだけど…。さっきの仕返しかな?
「我が帝国が誇る騎士団全てを総括する最高責任者として、新たに【ロイヤルマスター】という役職を作った。それをそなたに任命しよう!」
「──はっ?」
突然の話に目が丸くなる。ポルックス公爵の言ってる事が頭に入って理解するまで、間抜けな顔してたと思う。
「帝国騎士団、魔法騎士団、魔法師団、これら全てを動かせる権利をそなたに授ける。この役職は爵位ではないが、それに勝る特権と権威を同時に持つ事となる。これならば法に触れる事もなく、そなたの威厳も保たれるというものだっ」
うわっ…、やられた…!
まさか新しい階級を作るなんてっ!これって絶対宰相さんの提案だっ!確かに今から法を変えるよりも、この方がよっぽど早い。
しかも全騎士団を動かせるなんてこんなの、ほぼ皇帝陛下の権限と変わらないじゃん!!
玉座に座ってるポルックス公爵と、隣で立ってる宰相さんがニヤッとしながらドヤ顔してるのが何だかムカつく。
これじゃまだ爵位貰ってた方がマシだったかも。せっかく面倒事から解放されると思ったのにっ!!
でも悔しい顔してると負けた気がするから、胸に手を当ててフッと笑ってから軽く腰を曲げた。
「……ありがたき幸せ。そのような大役、一介の冒険者である私にお任せ頂けるとは、光栄の極みです。その名に恥じぬよう、精一杯精進して参りたい所存にございます」
「そうかっシリウスよ!帝国の英雄と謳われるそなたにこそ相応しい役職ぞ。これで帝国の未来も安泰だっ!」
私がまた暴れないで受け入れたのが相当嬉しかったのか、ポルックス公爵が安心したように笑っててイラッとする。隣で立ってる宰相さんもうんうん頷いてるし。
手を胸に当てたまま顔を上げて、ポルックス公爵と宰相さんを見て薄っすらと笑った。
「えぇ、陛下…。私にこの役職を任命された事を後悔される日が来ないよう…、末永い帝国の安寧を願っております」
そんな事で引き下がる私じゃないし。とりあえず釘刺しとかないとね。
あんた達が飼おうとしてるのは従順な生き物じゃなくて、手に負えないくらいの化け物だっていう忠告。
「っぐ…、そなたは一言余計だっ。話せぬ時の方が、まだ可愛げがあったぞっ!」
「お褒めに預かり、恐悦至極に存じます」
笑いながら、バカ丁寧に言葉を返した。
私の言葉のトゲに気づいて、ポルックス公爵も返す言葉が見つからないみたい。
自分達が上手いことやり込めたと思ってるけど、その事で私が怒ってるってのが分かったみたいだね。
「はぁ…、もう良いわっ。…此度の働き、大儀であった。任命式まで大人しくしておれっ」
先皇帝とは違って、ポルックス公爵はそこまで威圧的じゃないし、私としては憎めないんだよね。
少しだけアルファルドに似てるからってのもあるけど。叔父さんだしね。
もちろんまだ許せない気持ちもあるけど、この人は一応アルファルドに罪の意識を感じてるみたいだし。だから多分、私のことを引き合いにして公爵家を大公家にしたんだよね。
正式な任命式はレグルス様の戴冠式と同時にするみたい。でもこの時から、私やアルファルドの立場は今までとガラッと変わってしまった。
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