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星たちの行方 10

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 私達のやりとりを見て、他の人間達は口開けたまま止まって何が起きたのかわからないって感じで唖然としてる。

 殺気も解けて巻き起こってた風も収まったけど、会議場はもうめちゃくちゃになって、私が真っ二つにしたテーブルも椅子も倒れたり壊れたりで乱雑に床に転がってる。

 入ってきた騎士達も、元々いたメンバーも、床で気絶してるタヌキ候爵達は除いて…もう緊急事態に扉も全開だから、他の官僚とか使用人達も野次馬のように見に来てて、もうカオスな状態。

 その中で一番不思議なのが、私とアルファルドの関係性だと思うよ。

 レグルス様やルリオン様なら、アカデミアにいたから私達の事少しは理解してるんだろうけど、それ以外の人達なんて何も知らないから訳がわからないって顔して注目してる。

「…叔父上…、いえ、陛下」

 ざわざわしてた会議場内で、アルファルドが声を上げた。驚いたまま傍観してたポルックス公爵がハッとしたみたいにアルファルドの声に反応した。

「あ…あぁ、なんだ…ドラコニス公爵よ」

「…議会に混乱を招いた事は、俺から謝罪します。…だがっ、シリウス卿の名誉を穢し、侮辱したそいつ等に相応の罰を与えなければ、今度は俺も黙っていないっ!」

 アルファルドは私の肩を強く引き寄せて、周りを牽制するように睨み付けてビシっと釘さしてる。
 
 私もアルファルドの腰に抱き着いたまま、勇ましく発言してるアルファルド見上げて、あまりのカッコよさに震えながらきゅんとちゃう!

 打ち合わせしてたわけでもないのに…。
 アルファルドが絶妙なタイミングで私を止めてくれて、こうして公の場で堂々と発言してる。
 もう文句なく完璧な対応に、改めてアルファルドに惚れ直しちゃう!
  
「待てっ、ドラコニス公爵よ!一体どういう事だ!?シリウスとそなたとの関係はっ…」

「…シリウス卿は、ドラコニス公爵家の人間です」

 アルファルドがポルックス公爵や周りに向けて、牽制するように話してる。

「ドラコニス公爵家の人間とは?」

「…こいつは、俺の嫁です」

「はっ…?嫁だと…?」

 ポルックス公爵の問いに、アルファルドは静かに頷いてた。

「「「「──ッ!!」」」」

 もう、今日何度見ただろう…。
 みんなが、驚愕する顔。
 
 また口開けて呆然としたまま、会議場内にいるみんながアルファルドと私に注目してる。

 う…わぁ…!アルファルドに俺の嫁なんて言われると、めちゃくちゃゾクゾクする~ッ!!

 なに?!何なのこの感覚っ?!
 身体中が活性化して満たされてる感じ。アドレナリン出まくってるのかな…?やっぱりアルファルドって、ホント危険だ!
 こんな状況なのに、アルファルドの身体にぎゅっと抱き着いたまま、ニヤけるのが止められないよ。

「待てっ、公爵よっ!余は、そんな報告は一切…─っ!」

 そこまで話して、急にポルックス公爵も口を噤んだ。思い当たる事があったのか、サッと顔色が変わってる。

「…俺はきちんと手順を踏み、叔父上から承諾を得ました…」

「っ!…し、しかしッ、あれはっ!」

「ご説明願えますか?陛下…?」

 ポルックス公爵に近づいてきた宰相さんの顔が怖かった。

「皆の者、暫し待てっ!!」

 宰相さんとポルックス公爵が二人で後ろに下がって話しをしてる。時々宰相さんが現皇帝でもあるポルックス公爵を叱責してる声も聞こえてきた。

 盛大にため息吐きながら戻ってきた宰相さんに、何となく同情しながら結果を待った。

「本来ならば、様々な手続きを経て認証されるべき婚姻書を、陛下が独断で許可されたようですね…」

「あ、あぁ…ドラコニス公爵よ。して、婚姻書は如何様いかようにしたのだ?」

「…必要事項を記入し、然るべき場所で認可してもらいました」

「然るべき場所とは?」

「…もちろん。大神殿です」

「─ッ!…やはり、そうか……」

 ポルックス公爵はガクッと肩を落として、隣に立ってた宰相さんはめちゃくちゃポルックス公爵を睨んでる。

 ちょっと可哀想だな…。
 騙したようで悪いけど、ポルックス公爵には感謝してるし、ちょっとは立てておかないとね。



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