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星たちの行方 12
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「ハァ……、ここまで言ってもわからないのか?いい加減呆れるぜ…。要するに治外法権てやつだよ。あ、ちなみにこれ、アウリガル国王からの任意書で、俺に全てを一任してくれるって書いてあるからっ!」
胸元から折り畳んだ任意書を出した。
それをみんなに見えるように堂々と真ん前に掲げた。
「ち、ちがい…ほうけん??何の事だぁ!!」
ため息ついて呆れたように言ってるのに、タヌキ候爵には意味がまるで通じてない。これだから権力だけの男って嫌なんだよね…。
「くっ…、はははっ…!これは、やられました!だから初めにわざわざ爵位を放棄したのですね?…アカデミアでの評判は伊達じゃないようです…。素晴らしい策略ですよ、シリウス殿っ!」
あの滅多に笑わない頭脳明晰の宰相さんが声を上げて笑ったうえに、お褒めの言葉まで頂いちゃった。
よっぽど珍しいのか、その場にいたみんながその光景を目を丸くして見てた。
いや、爵位は本当にいらなかったから、ついでに自主返納しただけだけど。
「ど、どういう事だ…?」
「訳がわからんですぞ…」
「我らにも、詳しく説明をっ!!」
我に返ったタヌキ候爵一派のおっさん達が、床に座り込みながら訳がわからない顔で宰相さんに説明を求めてる。
「ですから、先ほど爵位を返納したシリウス殿は帝国貴族では無くなってしまいました。ですが、他国の爵位を持っているので、他国でのご貴族と言う事になってしまいます。そうなりますと、この帝国の法律では裁く事は出来なくなるのです。それが治外法権というものです。…しかしながら、アウリガル王国の法律でならば裁く事はできます。が、その国王がシリウス殿自らに判断を委ねたのですから、誰にもシリウス殿を裁く事は出来ない。…結果的に貴方がたに何をしても、無罪放免と言う事になります」
宰相さん、長々としたご説明ありがとうございます!
ま、要するにそういう事。
これも色々と準備してたときに、保険としてアウリガルの国王陛下に書面を送って了解を取ってた。使うか使わないかわからなかったけど、念には念を入れとかないとねっ!
「な…、なッ!!!そんな…バカなっ!!……そんな事がまかり通るのかぁっ!?」
「普通の貴族ならば多国間で爵位を重複する事は許されません。…が、シリウス殿は冒険者なのです。冒険者というものは帝国のみならず、大陸共通の職業で国籍は関係ありません。加えて、当時シリウス殿は世界が認めたSS級という高位の冒険者でした。その場合にのみ許される特異例です」
そうなんだよね。私もそこら辺はちゃんと調べた。今までSS級冒険者自体がいなかったからわからなかったけど、一応法には触れないんだよ。
だからこそアウリガルの国王様も私に爵位を与えてくれたんだし。そこも冒険者が自由だって言われる所以だよね。
「う…あ、あぁ……」
「し、し、信じられん……」
「だ、だがっ!シリウスは、ドラコニス公爵家の夫人という立場なのだぞっ!?」
まだ諦め切れないのか、おっさん達は床に座り込みながらどうにか私を陥れようとしてる。
「爵位と立場は全くの別ものです。そこは加味されません。法とはそういうものです」
まだ食い下がってくるタヌキ候爵達に、宰相さんも呆れた様子でバッサリ言い放ってる。
「その方等の行き過ぎた行動のせいで、シリウスという代えがたい貴重な人間を、むざむざと他国の貴族にしてしまったではないかッ!!この罪はヌシらが思うよりはるかに重いぞっ!刑が決まるまで自宅で謹慎していろッ!連れて行けッ!!」
はい、残念でした。
もうタヌキ候爵もそこまで言われて返す言葉もないのか、座り込んだまま口を開けてわなわなしてる。
私に反発してた候爵達がギャーギャー騒ぎながら騎士達に連れて行かれて、ようやく会議場が落ち着きを取り戻した。
「ハァ……、ここまで言ってもわからないのか?いい加減呆れるぜ…。要するに治外法権てやつだよ。あ、ちなみにこれ、アウリガル国王からの任意書で、俺に全てを一任してくれるって書いてあるからっ!」
胸元から折り畳んだ任意書を出した。
それをみんなに見えるように堂々と真ん前に掲げた。
「ち、ちがい…ほうけん??何の事だぁ!!」
ため息ついて呆れたように言ってるのに、タヌキ候爵には意味がまるで通じてない。これだから権力だけの男って嫌なんだよね…。
「くっ…、はははっ…!これは、やられました!だから初めにわざわざ爵位を放棄したのですね?…アカデミアでの評判は伊達じゃないようです…。素晴らしい策略ですよ、シリウス殿っ!」
あの滅多に笑わない頭脳明晰の宰相さんが声を上げて笑ったうえに、お褒めの言葉まで頂いちゃった。
よっぽど珍しいのか、その場にいたみんながその光景を目を丸くして見てた。
いや、爵位は本当にいらなかったから、ついでに自主返納しただけだけど。
「ど、どういう事だ…?」
「訳がわからんですぞ…」
「我らにも、詳しく説明をっ!!」
我に返ったタヌキ候爵一派のおっさん達が、床に座り込みながら訳がわからない顔で宰相さんに説明を求めてる。
「ですから、先ほど爵位を返納したシリウス殿は帝国貴族では無くなってしまいました。ですが、他国の爵位を持っているので、他国でのご貴族と言う事になってしまいます。そうなりますと、この帝国の法律では裁く事は出来なくなるのです。それが治外法権というものです。…しかしながら、アウリガル王国の法律でならば裁く事はできます。が、その国王がシリウス殿自らに判断を委ねたのですから、誰にもシリウス殿を裁く事は出来ない。…結果的に貴方がたに何をしても、無罪放免と言う事になります」
宰相さん、長々としたご説明ありがとうございます!
ま、要するにそういう事。
これも色々と準備してたときに、保険としてアウリガルの国王陛下に書面を送って了解を取ってた。使うか使わないかわからなかったけど、念には念を入れとかないとねっ!
「な…、なッ!!!そんな…バカなっ!!……そんな事がまかり通るのかぁっ!?」
「普通の貴族ならば多国間で爵位を重複する事は許されません。…が、シリウス殿は冒険者なのです。冒険者というものは帝国のみならず、大陸共通の職業で国籍は関係ありません。加えて、当時シリウス殿は世界が認めたSS級という高位の冒険者でした。その場合にのみ許される特異例です」
そうなんだよね。私もそこら辺はちゃんと調べた。今までSS級冒険者自体がいなかったからわからなかったけど、一応法には触れないんだよ。
だからこそアウリガルの国王様も私に爵位を与えてくれたんだし。そこも冒険者が自由だって言われる所以だよね。
「う…あ、あぁ……」
「し、し、信じられん……」
「だ、だがっ!シリウスは、ドラコニス公爵家の夫人という立場なのだぞっ!?」
まだ諦め切れないのか、おっさん達は床に座り込みながらどうにか私を陥れようとしてる。
「爵位と立場は全くの別ものです。そこは加味されません。法とはそういうものです」
まだ食い下がってくるタヌキ候爵達に、宰相さんも呆れた様子でバッサリ言い放ってる。
「その方等の行き過ぎた行動のせいで、シリウスという代えがたい貴重な人間を、むざむざと他国の貴族にしてしまったではないかッ!!この罪はヌシらが思うよりはるかに重いぞっ!刑が決まるまで自宅で謹慎していろッ!連れて行けッ!!」
はい、残念でした。
もうタヌキ候爵もそこまで言われて返す言葉もないのか、座り込んだまま口を開けてわなわなしてる。
私に反発してた候爵達がギャーギャー騒ぎながら騎士達に連れて行かれて、ようやく会議場が落ち着きを取り戻した。
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