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始動 2

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 リタさんとベッテルさんに説明した次の日から、本格的に活動し始めた。
 まずは服装を整えないとね。

 仕立て屋を呼ぶよりも自分から出向いた方が得策だと思って、帝都から離れた仕立て屋さんの所で自分専用の服装を作って貰うことにした。
 アルファルドは私が外出する事を頑なに反対してて、どうしても外に出したくない様子だった。
 しかもよくよく話を聞くと、何でアトリクスの服しかなかったのかって疑問は、アルファルドがワザとやってた事で…。
 私がちゃんとした服を持ってなければどこへも行けないだろうって考えてたみたいなんだよ。
 アルファルドのやってる事だから当然私も怒る気にもならないし、むしろ私を何処にも行かせたくなかったのかって嬉しくなっちゃった!

 とりあえずフード被って公爵邸から一飛びで行ってきた。めちゃくちゃ早く帰ってきた私に、アルファルドは相当驚いてたけど…。

「…そう…だったな。…お前は、シリウス卿なんだ。…だから、帝都外に行くなど直ぐにでも……」

 外から帰って来た私を見ながらブツブツ呟いてた。
 やっぱりまだアルファルドは私とシリウスが一致しないらしくて、どうしても別々に考えちゃうみたいだね。
 ついでに既製品だけど女物の服も購入してきて、ようやくスッキリできた感じ。


 まだ何処も混乱しててブティックも暇みたいだから、急いで欲しいって伝えたらお針子さん総出で作ってくれた。
 僅か2日で何着かの服を仕上げてくれてびっくり!

「わぁ~!カッコいいっ!!ピッタリだ!」
 
 受け取りに行く時に採寸確認する為、その場で袖も通して見たけどめちゃくちゃピッタリで気に入った。
 大きな姿見の前でくるくる回りながら、色んな角度から出来栄えを確認してる。

「まぁ!!なんてお似合いなのかしらっ!!」
「本当ね!私達の作った服じゃないみたいだわ!」
「初めは不安でしたけど、お嬢様のような凛々しくて美しい方に相応しい装いですわっ!!」

 これで皇宮に乗り込むつもりだったから、余計に気に入ったし何だか気合が入るね。

「まるで騎士様のように立派なお姿ですわ!」
「えぇ!それでいて美しさの中に、気品まで存在していらっしゃるわ!」
「素晴らしい出来栄えですっ!!」

 みんながキラキラした目で着替えた私を見てて、何だか恥ずかしい。
 いやぁ~、アトリクスでもないのにここまで褒められるとちょっと照れるなぁ…。
 もちろん、みんな持ち上げて言ってくれてるのはわかってるんだけどさ。

 他の服も何着か頼んで、まとめて一式受け取って頼んだ値段以上の金額を袋に詰めてお店に出した。

「お嬢様!これでは頂き過ぎですわっ!!」

 お店のマダムが確認して慌ててる。

「またお願いすると思うから!無理言って早めに仕上げてもらったし、遠慮なく受け取って?じゃあっ!」

「あっ!お嬢様~!?ありがとうございました!またのご来店お待ちしておりますっ!!」

 手を振ってその場を後にした。
 まだまだこなさなきゃいけない事が沢山あるから…。

 


 ◇




「ほらっ!行くよっ、アルファルドっ!」
「…あぁ、ちょっと待て…」

 夕暮れ時、私達は人知れず馬車で大神殿までやって来た。
 目的は一つしかなくて、礼拝の終わった夕暮れを待ってわざわざやって来た。

 初めて来たけど…すごく綺麗。
 目の前に広がる、何ていうか…神聖な場所。建物の周りには清らかな水が一面に流れてて、建物自体も真っ白だから変に緊張しちゃう。
 ポラリスが聖女として認められてから大神殿も出てたけど、私には全く縁のない場所だったからね。
 むしろシリウス時代には一番近寄りたくない所でもあったし…。
 誰も私の事なんてわかる訳ないんだけど、一応今後の為にフード被ってきた。アルファルドも目立つから同じ格好してもらって、二人で並んで大神殿に入って行く。

 この用事さえ済んじゃえば、あとは結構楽になるかな。
 
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