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星たちの行方 8

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 宰相さんがこう言ってくれてるのも、身分の無い冒険者がどう扱われるか知ってるからなんだよね。

 特に女の冒険者なんて実力以前に、貴族に狙われたら断われないし、慰み者みたいな感じで扱われる。
 だから女性の冒険者は大体チーム組んでるし、特に高みを目指してるんだ。
 貴族に飼われるのはプライドが許さないからね。

 准伯爵になる前のシリウスの時も、貴族達からそれなりにオファーが来てたけど、男だったし呪いを理由に全部無視してた。

「何と仰られようと、先ほどの発言を撤回する意志はございません。それに…、私が皇太子殿下との婚約を結ぶ事など出来ませんので、こちらも同様に謹んで辞退させていただきます」

 これで2つは回避できたかな?はっきり言わせてもらったけど、レグルス様との婚約なんて絶っ対無理!
 私はアルファルド以外、触られるのも嫌だ。

 この発言にまた会議場内がざわついてる。

 ポルックス公爵も頭抱えて、宰相さんも私を睨むように説得してきてるけど、当の私は聞く耳なんて持たない。

「では、シリウスよ。私の家門でお前を雇ってやるぞ!!待遇は冒険者より破格だっ!なんなら身分の無いお前を、私の第3夫人として迎えてやっても良いぞ!!」
 
 さっきからギャーギャー言ってた例の候爵が、またまた見当違いな事言ってきてる。

 はっ…?コイツ、大丈夫…??

 皇帝陛下とか皇太子もいるし、レグルス様との婚約すら断ったのに、こんなおっさんの妻になんてなると思ってるの?
 良くこんな馬鹿げた発言できるね…。
 この候爵も結構いい年で、白髪交じりのタヌキ親父なんだけど…私を側室にでもして奴隷扱いしようって魂胆が見え見えで…本っ当、気持ち悪い!!

「抜け駆けはいけませんぞっ!シリウスよっ、わしの息子と婚姻を結ばせてやろうっ!こちらは正妻として迎え入れるし、お前が望む待遇を保証しようッ!!」
「なっ!でしたら、こちらもっ!!」
「いや、うちが先だっ!!」

 もうこいつらは私をモノ扱いして、俺がお前がって良いように私を自分達の所有物にしようとしてる。

 薄汚い奴らの言い争いに、私の怒りのボルテージが瞬く間に限界まで突破していった。

「静かにっ!!発言を控えなさいっ!!」

 注意してる宰相さんの言葉も届かないくらい、薄汚いおっさん達はヒートアップしてきてる。
 黙って茶番を鑑賞してた私はゆっくり立ち上がって、禍々しい殺気を会議場全体に向けて解き放った。


「「「──ッ!!」」」


 ぶわっと溢れるほどの邪悪な殺気が会議場内を埋め尽くして、ギャーギャー騒いでた貴族のおっさん達もピタッと止まって、冷や汗掻きながら青い顔して黙りこくった。

 ゴクリと唾を飲み込んで顔を引き攣らせながら、ガタガタ体を震えてるのが目に見えてわかる。

 
「黙れッ…、クソ野郎どもがッ…!!」


 怒りを込めた口調で言い放って、射抜くような冷淡な視線をおっさん達に向ける。

「ヒッ…!」
「う……、うぅ……」
「はうッ……!」

 私に睨まれたおっさん達は、ビクッと体を硬直させてから、さらにガタガタ震えだした。

 私は体全体を真っ黒なオーラで覆って、肉眼で見える程のドス黒い殺気を全身に纏わせた。

 牽制するように覇気も体から放って、私の周りに吹き荒れるような風が巻き起こって、纏めてた髪や公爵家のマントを揺らしてる。

 腰からデュランダルをゆっくり抜いて、会議場にある長テーブルを真っ二つに切り裂いた。

 ドオォォオンッ!!

 大きな音を立てながら、長テーブルが綺麗に半分に割れて床に斜めに沈んだ。

「ヒィィィッ!!!」
「な、な、なっ、なぁッ!!」
「はッ、ぐッ…!!」

 この前注意したあの重役のおっさん達みたいに、この高位貴族のおっさん達も床に這いつくばってその場から逃げようとしてる。

 実力もないただ家門の名前や権力だけでノサバってる奴らが、偉そうな口聞いてんじゃないよ!

「し、シリウス准伯爵!落ち着きなさいっ!ここは皇宮ですっ!直ちに剣を納めなさいっ!!」

 いつも冷静な宰相さんも、私の行動に顔色変えて止めにかかってる。

 私がデュランダルを抜いて机を真っ二つにした瞬間に、他の騎士団長達とか実力者達は机から立ち上がって回避してた。

 アルファルドも早々立ち上がって、私の隣に寄り添ってくれてる。


 
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