上 下
307 / 392

終末…その後  7

しおりを挟む
'

 私はもう男にはなれないって伝えた。

 だからアルファルドは私が女の姿で公の場に出たら、帝国に留まらせる為にレグルス様と婚約させられるって考えて不安になったのかな。

 私は安心させるようにアルファルドに向かってニコッと笑った。

「大丈夫だよ、アルファルド。私はずっとアルファルドの側にいるから」

 アルファルドの腰に手を回して抱きついた。

「…ミラ、ヤツらは卑劣で狡猾だっ!どんな手を使ってでも、俺からお前を引き離して、お前を手に入れようとしてくるだろうっ!」

 抱きついた私をキツく抱き寄せて、アルファルドがまた忌々しそうに歯ぎしりしてる。

「…また俺から、何もかもを奪い取ろうとしている…アイツらは最もらしい理由を付けて、嘲笑いながらお前を奪っていくんだッ!」

 抱きしめてるアルファルドの身体が震えてる。

「アルファルド……」

 そうだよね。アルファルドはご両親が亡くなった幼い時から、そうやって罵られてあの会議場でのやり取りみたいに、皮肉言われたり馬鹿にされたり…そうやって周りからの非難にずっと耐えて続けてきたんだよね。
 そもそも私がシリウスだってバラすつもりもなかったから、こうなる未来なんて考えてなかった。
 こんなふうにアルファルドを不安になんてさせたくなかったのに。
 ハァ……、なかなか自分の思った通りに物事が進んでくれないなぁ…。
 
「心配しないで。アルファルドが危惧してるような事は、絶っ対起きないから!」

「…お前も皇宮にいたから、わかっているだろうッ!あの連中はっ!」
「アルファルド」

 抱きついてた胸元から顔を上げて、アルファルドの言葉を遮った。

「私って、そんなに弱い存在に見える?」

 ニッと偉そうに笑って、とりあえずアルファルドを安心させるように努めた。
 
「…っ!……いや…」

 悲観的に考えてたアルファルドも、私の言葉に少し躊躇いがちに答えてた。

「そうでしょ。私を皇宮に閉じ込めようなんて、そんなの無理に決まってる」

「…だがっ」

 片手を伸ばしてアルファルドの唇に人差し指を押し当てた。アルファルドの言葉を途中で遮って、私はニコッと笑った。

「『お前に文句言うやつは全員俺の敵だ』って言ったよね?私はアルファルド以外、誰にも興味はないの。アルファルドが私を望んでくれるなら、どんな脅威でも圧力でも退けてみせるっ!」

「──」

「今までずっとそうだっただろ?だから何も心配するな。それでも私やお前に文句言ってくるようなら、誰だろうと完膚無きまでに叩きのめしてやるさ…」

 最後の方は悪い顔して笑いながら皮肉った。
 私のアルファルドに、こんないらない心配させるなんて許せない。
 もし予想通り、私を無理やりレグルス様の婚約者なんかに祭り上げようとするなら、容赦しないからッ!

「…ミラ」

 アルファルドはいつもみたいに頬に手を添えて私を見つめてる。

「まっ、私に任せてっ!今までお前に対して行われた非道の数々…、奴らに死ぬ程後悔させて懲らしめてやるからさっ」

 にこやかに微笑んで辛辣なセリフ吐いてたら、アルファルドの表情から不安が消えてだいぶ和らいできてる。

「………やはりお前は、女になった方が、強かだな……」

「そんなの当たり前でしょ?私がどれだけ前からアルファルドの為に準備してきたと思ってるの!?あんな奴らとは年季が違うんだよっ!」

 怒り気味で啖呵を切ってる私に、アルファルドが苦笑してる。

「…そうか」

「うん!…あっ、でも…、ちゃんとできたらなぁ……」

 誘うように上目遣いでアルファルドを熱い視線で見た。
 さすがの鈍感なアルファルドも、再三の私の要求に気付いてくれたのか、サッと頬を赤らめて甘く見つめてくれる。

「…ッ、…あぁ。そんなもの、無くとも…欲しいだけしてやる…」

 紫と黄金色のオッドアイをフッと細めて、見惚れるくらい綺麗な笑顔を浮かべてた。

「本当にっ?嬉しいッ!約束だよ?じゃあ私、めちゃくちゃ頑張っちゃうからっ!」

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

幸せなのでお構いなく!

恋愛
侯爵令嬢ロリーナ=カラーには愛する婚約者グレン=シュタインがいる。だが、彼が愛しているのは天使と呼ばれる儚く美しい王女。 初対面の時からグレンに嫌われているロリーナは、このまま愛の無い結婚をして不幸な生活を送るよりも、最後に思い出を貰って婚約解消をすることにした。 ※なろうさんにも公開中

【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。

yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~) パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。 この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。 しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。 もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。 「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。 「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」 そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。 竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。 後半、シリアス風味のハピエン。 3章からルート分岐します。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。 表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。 https://waifulabs.com/

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

ゲームの序盤に殺されるモブに転生してしまった

白雲八鈴
恋愛
「お前の様な奴が俺に近づくな!身の程を知れ!」 な····なんて、推しが尊いのでしょう。ぐふっ。わが人生に悔いなし! ここは乙女ゲームの世界。学園の七不思議を興味をもった主人公が7人の男子生徒と共に学園の七不思議を調べていたところに学園内で次々と事件が起こっていくのです。 ある女生徒が何者かに襲われることで、本格的に話が始まるゲーム【ラビリンスは人の夢を喰らう】の世界なのです。 その事件の開始の合図かのように襲われる一番目の犠牲者というのが、なんとこの私なのです。 内容的にはホラーゲームなのですが、それよりも私の推しがいる世界で推しを陰ながら愛でることを堪能したいと思います! *ホラーゲームとありますが、全くホラー要素はありません。 *モブ主人のよくあるお話です。さらりと読んでいただけたらと思っております。 *作者の目は節穴のため、誤字脱字は存在します。 *小説家になろう様にも投稿しております。

処理中です...