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ラストステージ 9
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片羽のアヌにアケルナーとリゲルが立ち向かってる。
マイアとリリー、二人の魔法攻撃の合間に二人が代わる代わるアヌに攻撃してる。
長年二人で切磋琢磨してきただけあって、同時攻撃するのは凄く息が合ってた。
光の剣を片手に、アヌがアケルナーとリゲルに押されてる。
《鬱陶しい奴らめっ!!》
光の剣を持ってない片手で光属性魔法を唱えて、アケルナーとリゲルが広場の隅までバラバラに吹き飛ばされた。
「うわっ!!」
「クッ!」
皇宮の外壁にアケルナーが叩きつけられて、リゲルは広場の隅の建物まで飛ばされてた。
「リゲル様っ!コールサック卿!」
マイアが叫んでるけど、今度はアヌが足元を蹴ってマイアとリリーの前まで移動してきた。
「なっ!!」
「しまっ!」
マズいっ!男共ならともかく、物理攻撃に弱い女子達はアヌの攻撃食らったら一溜りもないよ!!
私は瞬時に身体強化を足に掛けて、トップスピードでリリーの前へ飛び出した。
《下等生物めっ!!》
リリーに踵落としてきたアヌの脚を両手をクロスさせて強化掛け何とか受け止めた。
「シリウス…准伯爵様っ!」
だけどまた瞬間的にマイアの元までアヌが移動して、マイアに回し蹴り食らわそうとしてる。
「きゃあっ!!」
「マイア嬢っ!!」
咄嗟に飛び出したルリオン様がマイアを抱き締めながら庇って、二人共数メートル先まで飛ばされた。
「リオっ!!エウロパ嬢っ!」
レグルス様が吹き飛ばされた皇宮前の外壁を振り返ってる。
パラパラと外壁が崩れてる二人が重なるように倒れてる。
「う…く……」
ルリオン様が素早くマイアを庇ったからか、マイア自体は酷い怪我は負ってなかった。
「あ……、いや……ルリオン…様…?」
外壁の真下でピクリともしないルリオン様を見て、マイアの身体がカタカタ震えて、蒼白になりながら頬に手を当ててる。
「う…そ……や、嫌ですわっ!ルリオン様…、ルリオン様ぁぁっ!!」
横たわって目を閉じてるルリオン様に、泣きながらマイアが叫んでるけど、やっぱりルリオン様はピクリとも動かなかった。
「ポラリスっ!!すぐにリオの治癒を頼むっ!!」
「わかりました!!」
レグルス様も心配そうにルリオン様を見てるけど、アヌの攻撃の手が止むことはない。
今度はレグルス様を標的に、アヌが光の剣片手に地面を蹴って物凄い勢い向かってきた。
「殿下っ!お下がり下さいっ!!」
「我々が相手を致しますっ」
影で控えてた護衛騎士が瞬時にレグルス様の前まで飛び出てきた。
三人がかりでアヌに向かって剣を構えてるけど、アヌの勢いが衰える事もなくて、光の剣で次々やられてる。
「ぐぅっ!強…いっ」
「殿下っ、退避をっ」
《口ほどにもない奴らだ!!昔も、今も…大人しく滅ぼされれば良いものをっ!!》
周りで倒れた護衛騎士達なんて目もくれずに後ろにいたレグルス様に剣を向けてる。
「あぐっ!!」
アヌがレグルス様の間近まで迫って、下から振り払うように光の剣で攻撃した。
レグルス様は持ってたロングソードでその打撃を受け止めはしたけど、力や魔力で適うはずもなくてロングソードはそのまま真っ二つに砕けて、ルリオン様と同じく数メール先まで吹っ飛ばされた。
「あっ!レグルス様っ!?」
ルリオン様の治癒にあたってたポラリスが、その光景を青褪めながら見てて回復魔法の手が止まってる。
「あ…、ポラリス様っ!お願いですっ、ルリオン様を…ルリオン様を助けて下さいっ!」
「しかし…、レグルス様がっ」
止まった魔法に気づいてマイアが泣きながらポラリスに懇願してる。
「ここはっ、わたくしがっ!!」
リリーがアヌに向かってまだ2属性の魔法を同時に放って何とか注意を引き付けてる。
私の周りでミティストのメインキャラ達が、どんどん倒されて傷付いて悲しんでる。
こんなに緊迫した場面なのに、何故か私の身体は動かなかった。
私は…、どうしたい?
何が一番優先なの?
このまま私がアヌの相手だけしてれば、それで何とかなる?このままでいいのかな…。
少しの間、ほんの数分…いや、数十秒くらい……。
俯いて考えてた。
この人達は、私の大好きな人をずっと蔑ろにしてきた。
私が知ってるだけでも、昔から数え切れないくらいアルファルドに酷いこと言って散々罵って、いないものみたいに扱って貶めてた。
そんな人達を助ける価値なんてあるの?
この状況下の中、アヌと戦ってればポラリスやレグルス様やルリオン様、リゲルやアケルナーがどうなったって誰も文句は言わない。
この人達がどうなろうと、この世界がどうなろうと…私はアルファルドさえいればそれで……。
「ルリオン…様っ…お願い、ですっ、目を…覚ましてっ!」
「レグルス様っ!もう少しお待ち下さいっ…ただいま、参りますっ!」
「くっ!もう…魔力が…無くなりそう…ですわっ…」
必死に呼び掛けてるマイア。
レグルス様を案じてるポラリス。
一人でアヌと必死に戦ってるリリー。
広場の真ん中で立ってて、私の中の世界がぐるぐる回ってる。
何が最善?
何が……、正解なの……。
わからない。誰か、教えてほしい……。
『メテオインパルス!』
その時、広場に聞き慣れた心地良い低音が響き渡った。
片羽のアヌにアケルナーとリゲルが立ち向かってる。
マイアとリリー、二人の魔法攻撃の合間に二人が代わる代わるアヌに攻撃してる。
長年二人で切磋琢磨してきただけあって、同時攻撃するのは凄く息が合ってた。
光の剣を片手に、アヌがアケルナーとリゲルに押されてる。
《鬱陶しい奴らめっ!!》
光の剣を持ってない片手で光属性魔法を唱えて、アケルナーとリゲルが広場の隅までバラバラに吹き飛ばされた。
「うわっ!!」
「クッ!」
皇宮の外壁にアケルナーが叩きつけられて、リゲルは広場の隅の建物まで飛ばされてた。
「リゲル様っ!コールサック卿!」
マイアが叫んでるけど、今度はアヌが足元を蹴ってマイアとリリーの前まで移動してきた。
「なっ!!」
「しまっ!」
マズいっ!男共ならともかく、物理攻撃に弱い女子達はアヌの攻撃食らったら一溜りもないよ!!
私は瞬時に身体強化を足に掛けて、トップスピードでリリーの前へ飛び出した。
《下等生物めっ!!》
リリーに踵落としてきたアヌの脚を両手をクロスさせて強化掛け何とか受け止めた。
「シリウス…准伯爵様っ!」
だけどまた瞬間的にマイアの元までアヌが移動して、マイアに回し蹴り食らわそうとしてる。
「きゃあっ!!」
「マイア嬢っ!!」
咄嗟に飛び出したルリオン様がマイアを抱き締めながら庇って、二人共数メートル先まで飛ばされた。
「リオっ!!エウロパ嬢っ!」
レグルス様が吹き飛ばされた皇宮前の外壁を振り返ってる。
パラパラと外壁が崩れてる二人が重なるように倒れてる。
「う…く……」
ルリオン様が素早くマイアを庇ったからか、マイア自体は酷い怪我は負ってなかった。
「あ……、いや……ルリオン…様…?」
外壁の真下でピクリともしないルリオン様を見て、マイアの身体がカタカタ震えて、蒼白になりながら頬に手を当ててる。
「う…そ……や、嫌ですわっ!ルリオン様…、ルリオン様ぁぁっ!!」
横たわって目を閉じてるルリオン様に、泣きながらマイアが叫んでるけど、やっぱりルリオン様はピクリとも動かなかった。
「ポラリスっ!!すぐにリオの治癒を頼むっ!!」
「わかりました!!」
レグルス様も心配そうにルリオン様を見てるけど、アヌの攻撃の手が止むことはない。
今度はレグルス様を標的に、アヌが光の剣片手に地面を蹴って物凄い勢い向かってきた。
「殿下っ!お下がり下さいっ!!」
「我々が相手を致しますっ」
影で控えてた護衛騎士が瞬時にレグルス様の前まで飛び出てきた。
三人がかりでアヌに向かって剣を構えてるけど、アヌの勢いが衰える事もなくて、光の剣で次々やられてる。
「ぐぅっ!強…いっ」
「殿下っ、退避をっ」
《口ほどにもない奴らだ!!昔も、今も…大人しく滅ぼされれば良いものをっ!!》
周りで倒れた護衛騎士達なんて目もくれずに後ろにいたレグルス様に剣を向けてる。
「あぐっ!!」
アヌがレグルス様の間近まで迫って、下から振り払うように光の剣で攻撃した。
レグルス様は持ってたロングソードでその打撃を受け止めはしたけど、力や魔力で適うはずもなくてロングソードはそのまま真っ二つに砕けて、ルリオン様と同じく数メール先まで吹っ飛ばされた。
「あっ!レグルス様っ!?」
ルリオン様の治癒にあたってたポラリスが、その光景を青褪めながら見てて回復魔法の手が止まってる。
「あ…、ポラリス様っ!お願いですっ、ルリオン様を…ルリオン様を助けて下さいっ!」
「しかし…、レグルス様がっ」
止まった魔法に気づいてマイアが泣きながらポラリスに懇願してる。
「ここはっ、わたくしがっ!!」
リリーがアヌに向かってまだ2属性の魔法を同時に放って何とか注意を引き付けてる。
私の周りでミティストのメインキャラ達が、どんどん倒されて傷付いて悲しんでる。
こんなに緊迫した場面なのに、何故か私の身体は動かなかった。
私は…、どうしたい?
何が一番優先なの?
このまま私がアヌの相手だけしてれば、それで何とかなる?このままでいいのかな…。
少しの間、ほんの数分…いや、数十秒くらい……。
俯いて考えてた。
この人達は、私の大好きな人をずっと蔑ろにしてきた。
私が知ってるだけでも、昔から数え切れないくらいアルファルドに酷いこと言って散々罵って、いないものみたいに扱って貶めてた。
そんな人達を助ける価値なんてあるの?
この状況下の中、アヌと戦ってればポラリスやレグルス様やルリオン様、リゲルやアケルナーがどうなったって誰も文句は言わない。
この人達がどうなろうと、この世界がどうなろうと…私はアルファルドさえいればそれで……。
「ルリオン…様っ…お願い、ですっ、目を…覚ましてっ!」
「レグルス様っ!もう少しお待ち下さいっ…ただいま、参りますっ!」
「くっ!もう…魔力が…無くなりそう…ですわっ…」
必死に呼び掛けてるマイア。
レグルス様を案じてるポラリス。
一人でアヌと必死に戦ってるリリー。
広場の真ん中で立ってて、私の中の世界がぐるぐる回ってる。
何が最善?
何が……、正解なの……。
わからない。誰か、教えてほしい……。
『メテオインパルス!』
その時、広場に聞き慣れた心地良い低音が響き渡った。
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