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二人の想い 14
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リリー自身、その宰相がどう思ってるか自信がないんだろうね。
その気持ち良くわかるよ。
好きな人の前だと臆病になっちゃう気持ち。
「妹でも娘でも好意を感じてるなら大丈夫だ。本当に嫌いなやつなら、たとえ王女でも冷たい態度を取るだろ? 宰相と王女ならそこまで関わることもないだろうし。あとは押して押しまくれっ!」
リリーに向かって、座りながらガッツポーズしてニッと笑う。
「……アトリクス? どういうことかしら?」
「ま、とりあえずポーションの流通を条件に、その宰相に婚約を申し込めって言ってんの! よっぽど特殊な性癖さえなければお前が迫れば落ちるだろってこと」
「っ! ですが、こちら側からアプローチを掛けるなんて……」
飲んでたお茶を手に持ってリリーはうつむき加減で話してる。
確かに、この世界だと女性からアプローチするなんて普通ならあんまりないんだよね。
大体は男性側から誘いや告白してもらうのが一般的で、女の方からグイグイ迫るなんて行為は、はしたないことだって思われてる。
「あのなぁ……どうしても逃したくない相手なら、なりふりなんて構ってられないだろ?! 周りがどう思おうとも自分が好きなら思いの丈をぶつけろよ。じゃないと他のヤツに持っていかれるぞ? その後に後悔したって遅いんだからなっ!」
腕組みながら偉そうに話してる私。
リリーはちょっとは危機感を与えないと動かなそうだからさ。
案の定カップ持って思い詰めた顔して考えてる。
「…アトリクス……」
腕組みながらリリーを説得してた私に、隣で静かに話しを聞いてたアルファルドが突然名前を読んでくる。
「ん……? どうした?」
隣を振り返ると、アルファルドが何故か切ない顔して私を見つめてる。
「え……? なんだ?」
横から腕伸ばして私の肩を引き寄せると、もう片方の手を私の頬に伸ばして綺麗なご尊顔を私に近づけてる。
「ちょっ、アルファルド!?」
「…アトリクス、お前が好きだ。…お前さえいれば他は必要ない……」
「なっ……!」
間近に迫るアルファルドの顔を、真っ赤な顔して見てる。
「やっ、ちょっと待て! 俺はお前に口説けって言ってないから!」
綺麗に揺らめいてる紫と黄金色がひたすら真っ直ぐ私を見てて、さっき散々口説かれたのに何回言われてもドキドキしちゃうよ!
またぐぐっと迫ってくる口元を両手で抑えながらアルファルドを必死で止める。
「あ、アルファルド。そう言う台詞はここぞって時に使うもんだぞ。好きとか、あ……愛してるとか……何度も言ってると聞き慣れてきちゃうだろ? 大切な言葉は多様しないことをお勧めする」
そう言うとアルファルドの動きがピタッと止まる。
私もほっとして口元から手を離す。
「…嬉しくなかったか?」
しゅんとした顔して私を見てるから、そこはすかさず否定しとく。
両手を伸ばしてアルファルドの頬を包む。
「そんな訳ないだろ! お前に好きなんて言われたら嬉しいに決まってるっ!」
もうすでにお腹いっぱいな筈なのに、アルファルドが囁く告白はそれ以上に私を満たしてくれる。
赤くなりながらアルファルドを見てると、背中に手が回って引き寄せてる。
抵抗もろくに出来ないままアルファルドの顔が近づいて、あっという間に唇が奪われた。
「んッ」
薄い唇の触れる感触が気持ち良すぎて、頬に手を当てたまま待ちわびたみたいに、重なり合う唇にめちゃくちゃ興奮してる。
もう何度もしてるのに、やっぱりドキドキして切ない気持ちになって、また何度でもキスしたくなっちゃう。
「はぁ……羨ましいわ……。わたくしも、ここまで愛されて求められてみたいですわ……」
リリーが赤い顔して口元押さえながら、真正面で私達のキスシーンをまじまじと眺めながらほぅ……と呟いてる。
あ、またリリーいるの忘れてた……
バッと身体を離してバクバクする心臓を抑えながらアルファルドから距離をとる。
もうアルファルドの隣にいるのってホント危険だ!
こうして触れられるとどんな状況でも周りが見えなくなっちゃうよ。
人前でキスするのも平気になって来そうで怖い。
赤くなりながら咳払いして、座り直してリリーと向き合う。
「あー……、うん、まぁ……とにかく……頑張れよ。ポーションに関してはこっちで都合付けとくから。あとはリリー、お前次第だからな。お膳立てはしたからな」
ビシッとリリーに向かって釘を差すと、リリーは安心したように朗らかに微笑んだ。
「えぇ、ありがとうアトリクス! アルファルド様も……心から感謝致しますわ。国の代表として、この御恩は一生忘れません!」
アルファルドは腕組んでそっぽ向いてるけど、反論はしなかった。
ハァ……これでようやく物事が進んだかな。
私は大ダメージだし、色んなもの犠牲にしたけど……まぁ、丸く収まったなら良しとするか。
リリー自身、その宰相がどう思ってるか自信がないんだろうね。
その気持ち良くわかるよ。
好きな人の前だと臆病になっちゃう気持ち。
「妹でも娘でも好意を感じてるなら大丈夫だ。本当に嫌いなやつなら、たとえ王女でも冷たい態度を取るだろ? 宰相と王女ならそこまで関わることもないだろうし。あとは押して押しまくれっ!」
リリーに向かって、座りながらガッツポーズしてニッと笑う。
「……アトリクス? どういうことかしら?」
「ま、とりあえずポーションの流通を条件に、その宰相に婚約を申し込めって言ってんの! よっぽど特殊な性癖さえなければお前が迫れば落ちるだろってこと」
「っ! ですが、こちら側からアプローチを掛けるなんて……」
飲んでたお茶を手に持ってリリーはうつむき加減で話してる。
確かに、この世界だと女性からアプローチするなんて普通ならあんまりないんだよね。
大体は男性側から誘いや告白してもらうのが一般的で、女の方からグイグイ迫るなんて行為は、はしたないことだって思われてる。
「あのなぁ……どうしても逃したくない相手なら、なりふりなんて構ってられないだろ?! 周りがどう思おうとも自分が好きなら思いの丈をぶつけろよ。じゃないと他のヤツに持っていかれるぞ? その後に後悔したって遅いんだからなっ!」
腕組みながら偉そうに話してる私。
リリーはちょっとは危機感を与えないと動かなそうだからさ。
案の定カップ持って思い詰めた顔して考えてる。
「…アトリクス……」
腕組みながらリリーを説得してた私に、隣で静かに話しを聞いてたアルファルドが突然名前を読んでくる。
「ん……? どうした?」
隣を振り返ると、アルファルドが何故か切ない顔して私を見つめてる。
「え……? なんだ?」
横から腕伸ばして私の肩を引き寄せると、もう片方の手を私の頬に伸ばして綺麗なご尊顔を私に近づけてる。
「ちょっ、アルファルド!?」
「…アトリクス、お前が好きだ。…お前さえいれば他は必要ない……」
「なっ……!」
間近に迫るアルファルドの顔を、真っ赤な顔して見てる。
「やっ、ちょっと待て! 俺はお前に口説けって言ってないから!」
綺麗に揺らめいてる紫と黄金色がひたすら真っ直ぐ私を見てて、さっき散々口説かれたのに何回言われてもドキドキしちゃうよ!
またぐぐっと迫ってくる口元を両手で抑えながらアルファルドを必死で止める。
「あ、アルファルド。そう言う台詞はここぞって時に使うもんだぞ。好きとか、あ……愛してるとか……何度も言ってると聞き慣れてきちゃうだろ? 大切な言葉は多様しないことをお勧めする」
そう言うとアルファルドの動きがピタッと止まる。
私もほっとして口元から手を離す。
「…嬉しくなかったか?」
しゅんとした顔して私を見てるから、そこはすかさず否定しとく。
両手を伸ばしてアルファルドの頬を包む。
「そんな訳ないだろ! お前に好きなんて言われたら嬉しいに決まってるっ!」
もうすでにお腹いっぱいな筈なのに、アルファルドが囁く告白はそれ以上に私を満たしてくれる。
赤くなりながらアルファルドを見てると、背中に手が回って引き寄せてる。
抵抗もろくに出来ないままアルファルドの顔が近づいて、あっという間に唇が奪われた。
「んッ」
薄い唇の触れる感触が気持ち良すぎて、頬に手を当てたまま待ちわびたみたいに、重なり合う唇にめちゃくちゃ興奮してる。
もう何度もしてるのに、やっぱりドキドキして切ない気持ちになって、また何度でもキスしたくなっちゃう。
「はぁ……羨ましいわ……。わたくしも、ここまで愛されて求められてみたいですわ……」
リリーが赤い顔して口元押さえながら、真正面で私達のキスシーンをまじまじと眺めながらほぅ……と呟いてる。
あ、またリリーいるの忘れてた……
バッと身体を離してバクバクする心臓を抑えながらアルファルドから距離をとる。
もうアルファルドの隣にいるのってホント危険だ!
こうして触れられるとどんな状況でも周りが見えなくなっちゃうよ。
人前でキスするのも平気になって来そうで怖い。
赤くなりながら咳払いして、座り直してリリーと向き合う。
「あー……、うん、まぁ……とにかく……頑張れよ。ポーションに関してはこっちで都合付けとくから。あとはリリー、お前次第だからな。お膳立てはしたからな」
ビシッとリリーに向かって釘を差すと、リリーは安心したように朗らかに微笑んだ。
「えぇ、ありがとうアトリクス! アルファルド様も……心から感謝致しますわ。国の代表として、この御恩は一生忘れません!」
アルファルドは腕組んでそっぽ向いてるけど、反論はしなかった。
ハァ……これでようやく物事が進んだかな。
私は大ダメージだし、色んなもの犠牲にしたけど……まぁ、丸く収まったなら良しとするか。
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