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二人の想い 10
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「…俺がコバット王国にポーションを普及させる義務はない。お前とソイツは友人関係かもしれないが、俺にはなんの関係もない!」
え…?
えぇ!?
なんで今更そんな事言ってるの!?てかどうしてそんなに不機嫌なの??
腕組んでふいっと顔を反らしてるアルファルド。
対面に座ってるリリーはスカート握り締めて俯いてる。
こればっかりはアルファルドが了承してくれないと先に進めない。
私がリリーに期待させるようなこと言っちゃったのに、まさかアルファルドが拒絶するなんて思わなかったよ。
うーん……どうしよう……、私がアルファルドを説得するしかないのかな……
それはあんまり気が進まないし、なんでアルファルドが不機嫌なのかもわからないしさ。
「アルファルド様……どうかお願い致します。今までの非礼はお詫び致します。ですから、コバットにポーションを流通させて頂けないでしょうか……」
リリーが頭を下げてお願いしてる。
一国の王女がここまでするなんて、本当に国の使命を受けてやって来てるんだね。
「…なんと言われても俺は了承するつもりはない。…諦めて国へ帰れ」
ひどく冷淡な言い方に、私の方がカチンと来ちゃう。
こんなに頭下げてお願いしてる女の子に対して、そんな言い方はないよね。今までのことだって謝ってるのに、どうして頑なに拒むの?!
「アルファルド……お前、見損なったぞ……」
私は静かな怒りを称えて、隣で不機嫌そうに座ってるアルファルドを鋭い視線を送る。
「…っ」
「確かにリリーはポーション目的でお前に近づいたかもしれない。でも、それは国を背負ってやって来てるからだ。自分の人生を犠牲にして、好きでもない相手を追いかけて、必死になって気に入られなければならない……そんなの悲しいだろ?」
「…そんなこと、俺には関係ないっ」
やっぱりアルファルドは頑なに拒んでて、私の話に耳を貸そうともしない。
「なんでだよ……なんでそんなに、拒絶するんだ……? アルファルド」
「…お前こそっ! なんでそいつの肩ばかり持つ!?」
「え……?」
アルファルドはやっぱり不機嫌そう。でも言われてる意味も良くわからなくて。
間抜けな顔しながらアルファルドを見た。
「…俺よりそいつの方がいいのか?! 少ししか話してないのに随分親しくなっているしな…」
えぇ!?
もしかして、また嫉妬してるの??
アルファルドが隣にいる私の事を睨んでる。
それがすごくショックで必死に頭を回転させた。
肩を持つっていうか、同じ女の子だから気持ちが良くわかるってだけで……それがアルファルドにとっては自分よりもリリーを庇ってる風に取ったってこと?
「あー……いや。違うんだ、アルファルド。お前を蔑ろにしたわけじゃないんだ。ただ、リリーも友達だから助けてあげたいって思って……」
「俺のことも友達なんだろっ! お前は友達だったら誰でも親しげにして触れ合うのか!?」
「――!!」
その言葉を聞いた私はハッとして、ようやくアルファルドの言いたかったことがわかった。
あっ……
そっか…、そういうことか……
私がいつまでもアルファルドを友達の枠から出さないから。
いくら言葉で言っても、ずっと友達のままだから……アルファルドも不満だったのか……
キスもそれ以上も……アルファルドは望んでるのに、無意識に私が拒んでるのに気付いてて……
あれだけ私が好き好き言っててもそれは友情でしかないから、自分の気持ちに気づいたアルファルドにとっては不安で歯痒くてしょうがなかったんだね。
「……リリー。悪いけど、ちょっと席を外してくれるか?」
後ろを振り返ってリリーにお願いする。
「え? ……えぇ、わかったわ」
リリーも何となく察したのか、理由も聞かずに席を立ち上がって扉から出ていってくれた。
「アルファルド……」
「……」
二人きりになってアルファルドの名前を呼ぶけど、アルファルドはそっぽ向いてて私を見てくれない。
「俺、お前が好きだ」
「…っ、それは……友達としてだろっ」
「初めは、そうだったさ……」
アルファルドがゆっくりまた私の方を向いて、何か言いたそうに口を開いてる。
私はソファーに座ったままアルファルドの方に距離を詰めて、アルファルドの胸にぽすっと自分の頭をくっつけた。
「でも途中からお前のことが好きすぎて……友達って言ってないと抑えきれなくなってた……」
この先……私がアルファルドと離れるつもりなら、こんなこと言わないで、このまま友達だって通せば自然と距離を空けることができたのに……
その方がこれからの為にも良い筈なのに。
どうしてもそれができない。
「俺さ……アルファルドが思ってる以上に、もっともっとお前が好きなんだ。……でも、お前とずっと一緒にいれるわけじゃないから……」
「…俺がコバット王国にポーションを普及させる義務はない。お前とソイツは友人関係かもしれないが、俺にはなんの関係もない!」
え…?
えぇ!?
なんで今更そんな事言ってるの!?てかどうしてそんなに不機嫌なの??
腕組んでふいっと顔を反らしてるアルファルド。
対面に座ってるリリーはスカート握り締めて俯いてる。
こればっかりはアルファルドが了承してくれないと先に進めない。
私がリリーに期待させるようなこと言っちゃったのに、まさかアルファルドが拒絶するなんて思わなかったよ。
うーん……どうしよう……、私がアルファルドを説得するしかないのかな……
それはあんまり気が進まないし、なんでアルファルドが不機嫌なのかもわからないしさ。
「アルファルド様……どうかお願い致します。今までの非礼はお詫び致します。ですから、コバットにポーションを流通させて頂けないでしょうか……」
リリーが頭を下げてお願いしてる。
一国の王女がここまでするなんて、本当に国の使命を受けてやって来てるんだね。
「…なんと言われても俺は了承するつもりはない。…諦めて国へ帰れ」
ひどく冷淡な言い方に、私の方がカチンと来ちゃう。
こんなに頭下げてお願いしてる女の子に対して、そんな言い方はないよね。今までのことだって謝ってるのに、どうして頑なに拒むの?!
「アルファルド……お前、見損なったぞ……」
私は静かな怒りを称えて、隣で不機嫌そうに座ってるアルファルドを鋭い視線を送る。
「…っ」
「確かにリリーはポーション目的でお前に近づいたかもしれない。でも、それは国を背負ってやって来てるからだ。自分の人生を犠牲にして、好きでもない相手を追いかけて、必死になって気に入られなければならない……そんなの悲しいだろ?」
「…そんなこと、俺には関係ないっ」
やっぱりアルファルドは頑なに拒んでて、私の話に耳を貸そうともしない。
「なんでだよ……なんでそんなに、拒絶するんだ……? アルファルド」
「…お前こそっ! なんでそいつの肩ばかり持つ!?」
「え……?」
アルファルドはやっぱり不機嫌そう。でも言われてる意味も良くわからなくて。
間抜けな顔しながらアルファルドを見た。
「…俺よりそいつの方がいいのか?! 少ししか話してないのに随分親しくなっているしな…」
えぇ!?
もしかして、また嫉妬してるの??
アルファルドが隣にいる私の事を睨んでる。
それがすごくショックで必死に頭を回転させた。
肩を持つっていうか、同じ女の子だから気持ちが良くわかるってだけで……それがアルファルドにとっては自分よりもリリーを庇ってる風に取ったってこと?
「あー……いや。違うんだ、アルファルド。お前を蔑ろにしたわけじゃないんだ。ただ、リリーも友達だから助けてあげたいって思って……」
「俺のことも友達なんだろっ! お前は友達だったら誰でも親しげにして触れ合うのか!?」
「――!!」
その言葉を聞いた私はハッとして、ようやくアルファルドの言いたかったことがわかった。
あっ……
そっか…、そういうことか……
私がいつまでもアルファルドを友達の枠から出さないから。
いくら言葉で言っても、ずっと友達のままだから……アルファルドも不満だったのか……
キスもそれ以上も……アルファルドは望んでるのに、無意識に私が拒んでるのに気付いてて……
あれだけ私が好き好き言っててもそれは友情でしかないから、自分の気持ちに気づいたアルファルドにとっては不安で歯痒くてしょうがなかったんだね。
「……リリー。悪いけど、ちょっと席を外してくれるか?」
後ろを振り返ってリリーにお願いする。
「え? ……えぇ、わかったわ」
リリーも何となく察したのか、理由も聞かずに席を立ち上がって扉から出ていってくれた。
「アルファルド……」
「……」
二人きりになってアルファルドの名前を呼ぶけど、アルファルドはそっぽ向いてて私を見てくれない。
「俺、お前が好きだ」
「…っ、それは……友達としてだろっ」
「初めは、そうだったさ……」
アルファルドがゆっくりまた私の方を向いて、何か言いたそうに口を開いてる。
私はソファーに座ったままアルファルドの方に距離を詰めて、アルファルドの胸にぽすっと自分の頭をくっつけた。
「でも途中からお前のことが好きすぎて……友達って言ってないと抑えきれなくなってた……」
この先……私がアルファルドと離れるつもりなら、こんなこと言わないで、このまま友達だって通せば自然と距離を空けることができたのに……
その方がこれからの為にも良い筈なのに。
どうしてもそれができない。
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