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校外実技演習 13

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 アルファルドとアケルナーが同時にインフェルノ撃って、その後にマイアがウォーターアローを放つと、水蒸気爆発みたいな効果が発生して暗黒竜が苦しんでる。

「グギャアァァッ!!」

 バタバタとまた地響きを轟かせてのたうち回ってる。

「素晴らしいです……まさか、魔法の掛け合せでこのような効果が……」

「こんな戦法……一体、どうやって思い付くのかしら……?」

 うーん、まあ企業秘密だよね~。
 この世界じゃここまでわからないからね。

 しばらく暴れてた暗黒竜から強い魔力反応を感じる。

「アルファルド!! 暗黒竜が口からドラゴンブレスを放ってくる!! メテオを頭に向けて撃って軌道をずらしてくれっ!!」

 辺り一帯が濃霧みたいになって視界が悪い。
 でも私にはそんなの関係ない。

「…任せろ」

 アルファルドがメテオを放つと無数の隕石が暗黒竜に当たって、真っ黒な炎が私達の軌道から外れて斜め左へと逸れる。
 それでも衝撃で木々が薙ぎ倒されて、暗黒の炎が通った場所は焼け野原になってる。

「なっ!!」

「あ、ぁ……、なんですの……? これは……」

 その軌道にいたモンスターが骨だけになって、生き残ったモンスターも黒い炎にのたうち回ってから絶命してる。
 
「アレに少しでも触れたら終わりだ」

 私が4人の前に立って、黒い焼け野原になった光景を見ながら静かに口を開いた。

「アレは闇属性の炎で、触れた者は地獄の業火に焼かれ死んだ後も苦しむ。どれだけ水を掛けても決して消えることはない。唯一消す方法があるとすればそれは、光属性の魔法のみだ」

 ポラリスがこの場にいない今、あの炎に囲まれたらおしまいだよね。
 無属性魔法なら消せるけど、そんなの最終手段だよ。

「そんなの……、防げないだろ!? あんなのどうやって倒すんだよ!? 教授達が来るまでに逃げるべきだろ?!」

 リゲルが私の後ろで喚いてるけど、逃げれるわけないじゃん。
 このメンバーじゃなくて誰が倒すんだよ。
 引率の教授達って頭良いだけでそこまで魔法レベル高い訳じゃないし、ポラリス来るのなんて待ってたら全滅だよ?

「おい、リゲル。お前の威勢の良さは口先だけか? 言っとくが教授達が来たところで、暗黒竜なんて倒せる訳ないだろ?」

「――んだよ! 平民っ!! なんゆでお前はそんな余裕なんだよ!! 魔法もろくに使えないくせにっ!!」

 ついにリゲルがブチ切れた。
 後ろから唾を飛ばす勢いで迫って来る。
 余裕ないのは判るけどさ……、ここで当たられても仕方ないんだけどなぁ。

「やめなさい、リゲル。むしろアトリクス君がこの場で一番貢献しているんですよ? なぜ貴方がたのチーム成績が常に上位なのか、これで良くわかりました」
「なんだよ! 偉そうに指示出してるだけじゃないかっ!」
「戦場に置いて指揮官のような役割を担っているのですから、十分過ぎるほど戦力になってます」
「~~っ!! お前はどっちの味方なんだよっ!!」

 キャンキャン吠えてるリゲルは無視しとくとして、ニッコリ笑って話してるアケルナーが一番怖い。

 黒い笑みを浮かべて、獲物でも狙うみたいな臙脂色の目が私を一身に見ててゾクッとする。

「先程頂いたハイポーションも、こう魔法を連発していては直ぐに魔力切れしてしまいますわ! 何か決定打になるものがなければこの場は切り抜けられませんわ!」

 おぉ~! さすが我が友マイア!!
 その辺の男どもよりよっぽど肝が据わってて冷静だ~!

「…アトリクス。どうする?」

 まぁ、一番は私がデュランダルで暗黒竜に立ち向かうってのが解決策だけど。それは極力避けたい。
 安全かつ確実な方法で倒すには、やっぱり剣聖級ソードマスタークラスに近いアケルナーに立ち向かってもらうしかないね。

 嫌だけどアケルナーに向かって話した。

「アケルナー、お前の魔法剣マジックソードで暗黒竜の核を壊すしかない」
「核? ……心臓のことですか?」

「そうだ。ドラゴン系の核は右側に存在する。お前が暗黒竜の背中に乗り、右側の核に向かって魔法剣を突き立てるしかないな」

 私が火炎龍倒した時も核を破壊したけど、あのときは怒りが抑え切られなくてバラバラに切り刻んじゃったからな……

 私の真ん前に立ったアケルナーは、嬉しそうに口角を上げて顔を近づけてくる。

「やはり貴方は素晴らしい……。これほど的確に伝説上のドラゴンの攻略法を思い付くとは……」

「う……」

 やっぱり怖ぁ……暗黒竜よりこいつの方が怖さを感じるよ。

「…アトリクスに触れるなっ!」

 私の隣にいたアルファルドが私の身体を自分の方に引き寄せて、アケルナーに向かって威嚇してる。

「あぁ~もう、いいから全員戦闘態勢に入れって! また攻撃が来るぞ!!」

 ここでふざけてる場合じゃないんだってば!

 スッと私から離れたアケルナーが自分の持ってた剣に炎を纏わせて魔法剣を作り出してる。

「僕が特攻隊として、ドラゴンに攻撃すればいいんですね?」

「あぁ、頼むぞ! マイア、リゲル、お前達はアケルナーの支援を頼む。暗黒竜がアケルナーに攻撃を仕掛てくるから、それを全て攻撃魔法で止めてくれ」

「お前っ、無茶苦茶言うなあっ!!」

「ふぅ……、わかりましたわ。責任重大ですわね……」

 霧で視界が悪い中、アケルナーが暗黒竜に向かって突っ込んでいく。
 左右に分かれてリゲルとマイアも攻撃魔法を繰り出せるように構えてる。

「…アトリクス、俺は……?」

「アルファルドは俺が指示する通りに動いてくれるか? むしろアケルナーよりお前の方にみんなの命運がかかってる」

 後方で指示しようと、他の3人には聞こえないようにアルファルドにボソッと呟いた。
 
「…あぁ、任せろっ」

 そう言うと、すごく嬉しそうにアルファルドは笑ってた。
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