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ギルド依頼 17

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 ここは正直に言うべきだよね……、いつまでも躱してられないだろうし。アルファルドの事傷つけたくない。

 私から離れて俯いてるアルファルドに近付いて、腰に手を回した。
 
「お前が俺に触れたいって思ってくれてるのはめちゃくちゃ嬉しい……でも、俺……できないんだ」

「…できない? なんのことだ?」
「いや、だから……そういった行為が……」
「……」

 さすがに恥ずかしくて、抱きついたままおでこをアルファルドの肩につけた。

 アルファルドの告白受けてからいつかはこうなるかも……ってなんとなく思ってたけど。
 まさかこんなに早く進展すると思わなかった。
 アルファルドってもっと草食系だと思ってたのに、意外と肉食系なんだよね。
 今までは自分の理性が持つか悩みの種だったけど、まさか自分の身の危険を感じて悩む日が来るなんて。
 男じゃなければ直ぐにでも解決するんだけど……、言葉で言うほど簡単な問題じゃないんだよ。

「身体的な問題で、お前じゃなくても誰とでも無理なんだ。こればっかは……、ポーションとかでも治らなくてさ」

 ここまで言えばわかってもらえたかな。これは本当の事だし、嘘はついてない。  

 アルファルドには本当に悪いけど、自分の正体を明かせないのに、こんな中途半端な関係でこれ以上進むなんてできないんだ。
 
「黙っててごめんな……」

 怒ったかな……。あれだけ襲う襲わないって騒いでたのに、蓋を開けたらこれだもんね。
 アルファルドもまだまだ若いし、私がそういうの無理だってわかれば他の子に目を向けちゃうかな……でも、アルファルドにとってはその方がいいよね。
 
 これで私の事諦めてくれれば――。

 ハァ……、私ってホント自分勝手だな。

 ずっと黙ったままのアルファルド。肩から顔を上げてアルファルドを見上げた。

「アルファルド?」
 
 黙ってたことに怒ってるのかと思ってたのに、アルファルドは何だか泣きそうな顔してる。

「なんで……お前、そんな顔して……」

「…アトリクスっ」

 いきなりガバっと抱きしめてきたアルファルドに、私はびっくりする。

「…すまない」

「へ……?」

「…お前が……、身体の事で悩んでるとも知らずに、俺は……」

 強く力を込めてぎゅうっと抱きしめられて息苦しくなっちゃう。

「ん、ちょっ、苦し……」

 私が身をよじるとアルファルドは腕の力を緩めてくれて、でも抱きしめたまま私の肩に頭を乗せてくる。

「…俺は気にしない。お前は、俺の側にいてくれるだけでいい…」
「――っ、アルファルドっ……」

 うわぁぁぁーー!!
 もうアルファルドがいい男過ぎてツラいよおぉぉ!!

 騙してる上に我慢させて謝られるなんてホント嫌だよ!
 自分が最低な人間になってる気分。
 もういっそ、めちゃくちゃ怒って他の人に乗り換えてくれれば、仕方ないって思えるのに……!

 ここまで言っても好きでいてくれるなんて……

 嬉しすぎて涙が出てきた。男ってだけでアルファルドにとってリスクがあるのに、身体的な欠陥があっても嫌わないでいてくれる。

「ごめっ、……アルファルド……」

「…泣くな、アトリクス。…お前は何も悪くない」

 もうその言葉でブワッと涙が出て来ちゃって、情けなさと申し訳なさと嬉しさで……

 ごめん…本当ごめん、アルファルド。
 アルファルドを騙して、苦しめてるのは私なのに。

 ――これも、あと少しで終わるから。
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