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ギルド依頼 14

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 ハァ……、アルファルドが最近パワーアップしちゃって困る。キスするのも当たり前みたいになってて、今更引き返す事もできないし。

 ベッドから起き上がって久しぶりに入ったアルファルドの部屋をボケーッと眺めた。
 本棚や姿見、壁紙や絨毯も変わって、前より物が増えてて生活しやすくなってる。
 でも、普通の貴族に比べればまだまだ少ない方だよね。
 アルファルドはベッドから降りて服を着替えてる。
 
 上の服脱いでるアルファルドを盗み見てて、あれ? っと思う。

「アルファルド……背中……」

 私もベッドから降りて上半身裸になってるアルファルドに近づいた。

「…なんだ?」

「いや、お前の身体にあった古傷が綺麗になってる」

 背後から近づいて背中に手を置いて、なんの気無しに滑らかな肌をスッと撫でた。

「…っ」

「これもポーションのおかげなのか? 怪我や傷が治るのはわかるけど、元々あった古傷までこんなに治るんだ」

 おかしいな~? ダンジョン産のポーションにはそんな効果なかったのに。
 公爵家秘伝のポーションだと普通のポーションと違うのかな?
 
 アルファルドの身体をまじまじと見ながら前も確認する。綺麗についた腹筋とか脇腹にも細かい傷があったのに、やっぱり消えてる。これはポーション販売での謳い文句にしても良いかもしれない。

「…ぅ、アト……リクス……」

 手を添えて撫でながら確認してたら、頭上から切なげな声が聞こえてくる。

「へ……?」

 上を見上げるとアルファルドが赤い顔して口元を押さえてて。

「あ……、わっ! ごめん!」

 アルファルドの身体を撫で回してた私は、慌ててその手を離した。
 こっちも真っ赤になって即座に謝る。

 商品の事になると他が見えなくなっちゃうのは悪い癖だなぁ……
 
「…お前なら、構わない……」

 アルファルドが離れた私の手を取って、また自分の胸元に当てて触れさせてる。

「え……? えっ!? や、そういうつもりじゃっ!」

 ま……ま、待って~!!
 私にどうしろってぇ?! そんなこと言われたら襲うしかなくなっちゃうんですけど!! 
 襲いたいけど、男の状態は嫌なんだよっ! 

 それに私は、男になってもた、勃たないんだよ!

 こんなこと言いたくないけど……、男になっても呪われた魔道具ダークアイテムの呪いのせいなのか、私についてるアレは全く反応しない。
 触っても感覚もないし……情けないことにそういった行為はできないし、じゃなくてもしたくない。
 だから興奮すると鼻血が出てきちゃうんだよね。
 ハァ……、恥ずかしい……

 でも、アルファルドの肌にこうして触れるのはかなりの役得だな。

 滑らかなですべすべしてて、逞しい筋肉がすごく綺麗についてるんだ。
 前は傷だらけで男臭さが魅力的だったけど、傷が無くなったら芸術品見てるみたいに興奮してきちゃう。

 目の前の筋肉をドキドキしながら手でなぞってる。
 
「…っ、…ぅ」

 肌を撫で回しながら上を見上げると、アルファルドが仄かに頬を染めて眉を顰めてる姿が物凄く色っぽくて――

 うぅ~……、このまま押し倒しちゃいたいっ!!
 こんな美形がされるがまま感じてる姿なんて悶絶ものだよぉ~!!

 色めいた顔したアルファルドが、惚けた顔で見上げてる私の頬にいつもみたいに手を添えてきて……ゆっくりと顔を近づけてくる。

 もう……何度目だろ……?
 でも、何度しても――

 ドキドキしながらふにゅっとした薄い唇が重なって、もう片手が私の腰を引き寄せてる。

「旦那様ぁー、いつまで寝てん……」

 ノックもなしに、いきなり扉を開けてリタさんが入ってきた。

「「――!!」」

 その状態のまま私達とリタさんの動きが止まって、お互い固まってる。

 私はバッとアルファルドから離れて、顔を真っ赤にしてアルファルドに背を向けて距離を取る。

「え? あ? アー……トかい?? なんでここに?? いや、それより、今のは??」

 リタさんは頭からはてなマーク出して、訳の分からない顔してる。

 そりゃあそうだよね……いないはずの私がここに居て、しかもアルファルドと抱き合ってキスしてるし。
 
 もう最っ悪だよ!!
 なんでこんな見せ物みたいに何人にもキスしてるトコとか見られないといけないの!?

 もう本当ッ、勘弁してえぇぇ~!!
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