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ギルド依頼 15
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「いや~、しかし驚いたよ。まさかアートと旦那様がねぇ……」
リタさんがニヤニヤしながら私を見て朝食を出してくれてる。
驚いたことにその辺はまだリタさんが作ってるみたいだね。お抱えのコックかシェフでも雇ってるのかと思った。
私は瞬時にさっきのことを思い出して、カァーッと真っ赤になって縮こまった。
ばっちりキスシーン見られちゃって、言い訳もできないし。
「…リタ、黙れっ」
アルファルドは上座に座って鋭い瞳でリタさんを睨んでる。
「わたしゃ、悪いなんて言ってないよ? アートが公爵家に嫁に来るならさ、それなりに整えておかないとねっ!」
真っ赤になってモグモグ朝食食べてる私に、リタさんはバチッとウインクしてる。
「え……や、そういうんじゃ……」
モゴモゴと話すけど、どう躱していいのかわからない。
さっきの事もあって、あんまり力いっぱい否定するのも憚られるし。
なんでリタさんてこんなに順応性が高いの?
普通、当主が男色なら止めるべきだと思うし、親代わりのリタさんなら反対してもおかしくないのに。
しかも以前ならまだわかるけど、今は公爵家も盛り返して来てるのに……きっと冗談だよね?
「…アトリクス。寝不足は大丈夫か?」
話し掛けられてアルファルドの方を向くと心配そうな顔してて、ニコッと笑って返事を返した。
「うん。お前のおかげで良く寝れた」
「…そうか」
ロイヤルパープルと黄金色の両目を細めて、嬉しそうに口角上げてるアルファルドがめちゃくちゃカッコいい。
はぁ……、アルファルドっていつ見ても美形だ。
黙って無表情なのもカッコいいのに、こうやってたまに笑ったり微笑んだりするのが本当にたまんない……
「アート、旦那様をよろしく頼むよ。前から旦那様はアートにゾッコンだからね。やっと持て成せるようになったんだからさ、もっと遊びに来なよっ!」
「へ? は、ハハッ……、そう……だね?」
う~ん、これもわざと言ってる?
アルファルドが狙われてるから周りに牽制してるのかな?側で控えてる使用人達も多分聞き耳立ててるだろうし。
ちょっと意図がわからないから返答に困るなぁ。
とりあえず笑って誤魔化した。
リタさんは侍女長になって取り仕切ってるらしいから、ホント公爵家も様変わりしたね。
毎日莫大な資産が舞い込んでくるから、あんなに物がなかったのに、今じゃ公爵家に相応しい感じで色々な物が置かれてるし、人もスゴく増えて綺麗になった。
◇◆◇
「なぁ、なんでアルファルドの部屋はそんなに物が増えてないんだ?」
食事も終えてアルファルドの部屋に戻って来た。
「…特に必要としてないからな。このくらいで十分だ」
以前リタさんが購入してきた応接セットもそのままで、アルファルドの部屋はそんなに変わらない。
そのソファーに二人で座って、お茶をもらって一緒に飲んでる。
「そっか。でも良かった。アルファルドが認められる日が来てさっ」
ニコッと笑ってアルファルドを見ると、隣にいたアルファルドも私を見てる。
「…全てお前のおかげだ。アトリクス」
ドキッとするくらい綺麗な笑顔を向けてくれて、またぽーっとアルファルドに見惚れちゃう。
またアルファルドの顔が近づいてきて、ハッとする。さすがに何度もキスばっかしてちゃダメだよね。
「あ……と、アルファルド、俺そろそろ戻るな。お前も忙しいだろ?」
話しかけて止めようとしたのに、アルファルドの顔はそのまま近づいてきて――
「…嫌だ」
アルファルドが一言言って私の頭の後ろに手を回して、引き寄せるみたいにキスしてくる。
「んっ」
親友だって言ってるのに……もう、言葉だけで意味を成してない。
座ってアルファルドの胸元に両手を置いて、目を閉じてしっかりと唇を受け止めた。
現実のアルファルドって……、意外とキス魔だよね。
私の知ってるゲームのアルファルドは嫉妬と憎悪に燃えながらも、物陰でヒロインを眺めてるだけだった。
だからこそ、こうして強引で積極的に迫って来てくれることがすごく嬉しくて……私をたまらない気持ちにさせるんだ。
「いや~、しかし驚いたよ。まさかアートと旦那様がねぇ……」
リタさんがニヤニヤしながら私を見て朝食を出してくれてる。
驚いたことにその辺はまだリタさんが作ってるみたいだね。お抱えのコックかシェフでも雇ってるのかと思った。
私は瞬時にさっきのことを思い出して、カァーッと真っ赤になって縮こまった。
ばっちりキスシーン見られちゃって、言い訳もできないし。
「…リタ、黙れっ」
アルファルドは上座に座って鋭い瞳でリタさんを睨んでる。
「わたしゃ、悪いなんて言ってないよ? アートが公爵家に嫁に来るならさ、それなりに整えておかないとねっ!」
真っ赤になってモグモグ朝食食べてる私に、リタさんはバチッとウインクしてる。
「え……や、そういうんじゃ……」
モゴモゴと話すけど、どう躱していいのかわからない。
さっきの事もあって、あんまり力いっぱい否定するのも憚られるし。
なんでリタさんてこんなに順応性が高いの?
普通、当主が男色なら止めるべきだと思うし、親代わりのリタさんなら反対してもおかしくないのに。
しかも以前ならまだわかるけど、今は公爵家も盛り返して来てるのに……きっと冗談だよね?
「…アトリクス。寝不足は大丈夫か?」
話し掛けられてアルファルドの方を向くと心配そうな顔してて、ニコッと笑って返事を返した。
「うん。お前のおかげで良く寝れた」
「…そうか」
ロイヤルパープルと黄金色の両目を細めて、嬉しそうに口角上げてるアルファルドがめちゃくちゃカッコいい。
はぁ……、アルファルドっていつ見ても美形だ。
黙って無表情なのもカッコいいのに、こうやってたまに笑ったり微笑んだりするのが本当にたまんない……
「アート、旦那様をよろしく頼むよ。前から旦那様はアートにゾッコンだからね。やっと持て成せるようになったんだからさ、もっと遊びに来なよっ!」
「へ? は、ハハッ……、そう……だね?」
う~ん、これもわざと言ってる?
アルファルドが狙われてるから周りに牽制してるのかな?側で控えてる使用人達も多分聞き耳立ててるだろうし。
ちょっと意図がわからないから返答に困るなぁ。
とりあえず笑って誤魔化した。
リタさんは侍女長になって取り仕切ってるらしいから、ホント公爵家も様変わりしたね。
毎日莫大な資産が舞い込んでくるから、あんなに物がなかったのに、今じゃ公爵家に相応しい感じで色々な物が置かれてるし、人もスゴく増えて綺麗になった。
◇◆◇
「なぁ、なんでアルファルドの部屋はそんなに物が増えてないんだ?」
食事も終えてアルファルドの部屋に戻って来た。
「…特に必要としてないからな。このくらいで十分だ」
以前リタさんが購入してきた応接セットもそのままで、アルファルドの部屋はそんなに変わらない。
そのソファーに二人で座って、お茶をもらって一緒に飲んでる。
「そっか。でも良かった。アルファルドが認められる日が来てさっ」
ニコッと笑ってアルファルドを見ると、隣にいたアルファルドも私を見てる。
「…全てお前のおかげだ。アトリクス」
ドキッとするくらい綺麗な笑顔を向けてくれて、またぽーっとアルファルドに見惚れちゃう。
またアルファルドの顔が近づいてきて、ハッとする。さすがに何度もキスばっかしてちゃダメだよね。
「あ……と、アルファルド、俺そろそろ戻るな。お前も忙しいだろ?」
話しかけて止めようとしたのに、アルファルドの顔はそのまま近づいてきて――
「…嫌だ」
アルファルドが一言言って私の頭の後ろに手を回して、引き寄せるみたいにキスしてくる。
「んっ」
親友だって言ってるのに……もう、言葉だけで意味を成してない。
座ってアルファルドの胸元に両手を置いて、目を閉じてしっかりと唇を受け止めた。
現実のアルファルドって……、意外とキス魔だよね。
私の知ってるゲームのアルファルドは嫉妬と憎悪に燃えながらも、物陰でヒロインを眺めてるだけだった。
だからこそ、こうして強引で積極的に迫って来てくれることがすごく嬉しくて……私をたまらない気持ちにさせるんだ。
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