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ギルド依頼 12

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「俺、そろそろ帰るよ。驚かして悪かったな」

 気持ちが落ち着いた私は、アルファルドから身体を離して笑顔を向けた。

「…帰る必要なんてない。このまま泊まっていけ。外泊許可も出してるんだろ?」

 頬に手を添えて至近距離で話すアルファルド。
 
 う……まぁ、外泊許可は明日まで出してるけど…そういう問題じゃないんだよ。こんな関係になって泊まるのって大丈夫かな?

 アルファルドを見上げてちょっと考える。
 
「…アトリクス。お前と一緒に寝たい」

 見上げながら見る見る顔が赤くなっていっちゃう。
 お前と寝たいって、一歩間違えれば違う意味で取られちゃうからねっ!
 アルファルドが直球過ぎて困っちゃうよぉ!
 
「いや…でも、俺…汗臭いし、服も汚れてるから…」

 さっきまでモンスターと戦ってたし、動いて汗も掻いたから、嬉しいけどさすがにこんな格好で一緒に寝るのは遠慮したい。

 アルファルドが無事か確認したくて、ちょっとだけ顔見て帰るつもりだったのに…。

「…そんな事俺は気にしない。いいから寝るぞ」

「え、ちょっと、アルファルドっ」

 アルファルドはパッと身体を離して、私の手を引いて自分のベッドの脇に座らせる。

「待てって!俺、本当に帰るってば」

 アルファルドが良くても私はダメなんだよ。なんでこういう時は積極的なんだろう。
 
 アルファルドも隣に腰掛けて、また私の頬に手を添えて哀しそうな顔して私を見つめる。

「…俺と寝るのは嫌か?」
 
「っ!……嫌な訳…ないだろ。でも、寝るような格好で着てないし、お前のベッドが汚れるのは嫌なんだ」

「…俺は気にしないし、お前からは良い匂いしかしない。明日は休みだし、時間も気にせず寝れるだろ?前に、俺と寝るとぐっすり寝れると言ってたしな」

 アルファルドの言葉が純粋過ぎて赤面しかできないよ。どうしても私と寝たいってのが嬉しすぎてニヤけてきそうで困る。

「ハァ……もう、知らないからなっ。後で文句言うなよ」

「…言うわけないだろ」

 あぁ~もうっ!すごく嬉しそうに笑ってる顔が尊すぎるー!!そんな顔しないでよ!なんでそんなにイケメンなんだよ!
 無駄にイケメン過ぎて、いちいちドキドキが止まらないんだよ!もしかして私の理性を試してるの!?

 とりあえず靴だけ脱いでアルファルドのベッドのど真ん中に横になった。
 
「…アトリクス。そういえばここまでどうやって入って来たんだ?」

 隣で横になったアルファルドにドキドキしながら、また心臓に悪い質問をされる。

「あー…用事の途中でここ通ったからさ。悪いと思ったけど外から侵入させてもらった」

 仰向けになって冷や汗かきながら答える。

「…お前なら問題ない。近頃、部屋に侵入してくる輩が多くて、夜は部屋の扉に魔法結界を張っている」

「えっ!?暗殺者か?!」

 アルファルドの言葉に驚きを隠せない。バッとアルファルドの方を向いて、起き上がって尋ねた。

「…暗殺者の方がよほどマシだ。一思いに始末すればいいだけだからな」

 アルファルドは忌々しそうに憎悪を込めて話してる。
 暗殺者じゃない??

「魔法結界張るくらいだなんて、どんな奴なんだ?」

「…女だ」

「はっ??」

「…新しく使用人で雇った女が、夜になると度々侵入してくる」

 へ……??
 何それ…初めて聞いた……。

 私がショックと驚きでがく然とした顔でアルファルドを見てると、アルファルドは笑って話してくる。

「…安心しろ。何もない」

「え…本当に?」

「…あぁ。部屋に侵入してきた時点で剣を突き付けて追い出している。屋敷からもな…」

「あっ、…だから…」

 いつもは剣なんて常備してなかったのに、さっきのはそういうことか。
 納得したけど…、アルファルドがめちゃくちゃ狙われてる。
 そりゃそうだよね。こんなにカッコいいもん。これだけの美形が側にいたらふらふらっと近づきたくなるよね。

 でも、嫌だ。アルファルドが誰かに触れられるのなんて想像したくない。

「…アトリクス」

 私がよほど不安そうな顔してたのか、横向いて寝てた状態で身体を引き寄せて抱きしめてくれた。

「…俺にはお前だけだ。俺が心を許すのはお前しかいない」

「─っ」

 最近のアルファルドって、セリフまでイケメンになっちゃって…もう勝てる気がしないや。


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