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淑女作法部 3
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「ではこれより、淑女作法部改め殿方達を見守る会を始めさせていただきますわ…」
初めに口を開いたのは議長であるモブ令嬢A。広くないサークル部屋の四角いテーブルを挟み、アカデミアの制服に身を包んだ彼女たちは四方向に座っている。
「それでは、恒例の近状報告にまいりましょう」
上座に座ったモブ令嬢Aが静かに議会が進んでいく。
「はい、議長。わたくしから報告致しますわ」
手を挙げたのはモブ令嬢B。
「えぇ、お願い致しますわ」
モブ令嬢Aが頷くとモブ令嬢Bはその場で立ち上がる。
「最近のレグルス様とルリオン様のご様子ですが、お二方ともお互いのパートナーとなるご令嬢とご一緒なさる場面が殆どでしたわ。ただ、学内の食堂で楽しげ談笑されている姿も見受けられまして…周りの視線を釘付けにしておりましたわ」
モブ令嬢Bは頬を染めてその場面を思い返している。
「わたくしも見ていましたわ。お二人の揃う姿は見る者を引き付けますわね…麗しい午後の一時でしたわ」
「はい、仰る通りですわ」
「その調子で引き続きお願い致しますわ。では、次の方」
ポーッしているモブ令嬢Bを横目に、次に手を挙げたのはモブ令嬢C。
「はい、次はわたくしが報告致します」
「えぇ、どうぞ」
モブ令嬢Cが立ち上がり報告していく。
「近頃のリゲル様とアケルナー様は、リゲル様がペアを組んでらっしゃるスピカ様にお怒りなのか、アケルナー様に文句を溢している姿を良く見かけますわ」
「あら、そうですの?」
「はい。ですが、リゲル様が捲し立てるように文句を言った後、アケルナー様が慰めるようにリゲル様の頭を撫でてましてっ!それをリゲル様が真っ赤になって子供扱いするな、と怒ってらっしゃる姿が微笑ましかったですわ…」
モブ令嬢Cは頬に手を当て、うっとりと目を閉じている。
「まぁ!アケルナー様がリゲル様の頭を……わたくしも拝見したかったですわ…」
「えぇ、是非とも見て頂きたかったですわ」
モブ令嬢Aとモブ令嬢Bがうっとりとしていると、モブ令嬢Dが元気良く挙手をする。
「はい!議長!」
「─ハッ!」
すでに立ち上がり、片手をピンと伸ばしてまた声を上げる。
「はい!議長っ!!」
「失礼致しましたわ。次の方どうぞ」
気を取り直してモブ令嬢Aがモブ令嬢Dを促す。
「アトリクス君と公爵の愛が止まりませんわ!!」
鼻息も荒くモブ令嬢Dが顔を真っ赤にして拳握り締めている。
「え…えぇ、あの二人ですわね…」
「公爵が髪をお切りなり美丈夫に変わってからというもの、アトリクス君との絡みも更に増えまして、公爵は常に背後から腕を回してアトリクス君を愛しそうに抱きしめておりますの!!」
バンッと卓上を叩き、握った拳を震わせて力説している。
「お二人は常時くっつき、公爵は隙きあらばアトリクス君に触れて、アトリクス君も嫌がる素振りすら見せず頬を染めて受け入れてらっしゃる姿が麗しくって…はうぅ!」
興奮しすぎなのかモブ令嬢Dはそのまま机に倒れ込んだ。
「しっかりなさって!ここは淑女作法部ですのよ」
「も、申し訳御座いませんわっ!」
再び立ち上がったモブ令嬢D。
「コホン。アカデミア構内においても郊外実技演習でも、度々公爵がアトリクス君の頬に手を触れ顔を覗き込んでまして、それをアトリクス君が魅了されたかのようにずっと公爵を見つめてますの!もう周りなどまるで見えておらず、お二人の世界に染まっておりましたわっ!!」
モブ令嬢Dは両手を握り頬を上気させると、目を輝かせながらぷるぷると震えている。
「…認めたくありませんが、あの二人の触れ合いは目を奪われますわね。公爵は麗人となりアトリクスと恋仲のようになっておりますわ」
「えぇ!まさにその通りですわ!!お二人の姿は本っ当目の保養になりまして、周りのご令嬢方も密かにお二人を眺めて騒いでいるくらいですものっ!!」
興奮状態のモブ令嬢Dに、モブ令嬢Bとモブ令嬢Cも賛成している。
「えぇ、確かにあのお二人は見ていてうっとり致しますもの」
「そうですわね。お二人とも麗しいですからね」
「そうなんですの!!公爵があれだけの美形でアトリクス君も美少年なので、しかもお互いが愛し合っていますからその触れ合いがたまりませんわっ!!」
モブ令嬢Dがまたまた興奮状態で声を荒げている。
「静粛にっ!静粛にー!!」
「ハッ!わたくしとしたことが…また取り乱してしまいましたわ…」
「お気持ちは察しますが、ここはお淑やかに参りましょうね」
「はい、申し訳御座いませんわ」
モブ令嬢Dが席に座り、ハンカチを出して額の汗を拭っている。
「さて今回も大変充実した収穫がございましたわ!引き続き皆様の報告を楽しみにしております。ではこれにて本日の殿方達を見守る会を終了致しますわ!」
机を囲んでパチパチと盛大な拍手が起こり、日々変化を遂げる淑女作法部は閉幕した。
◇
サークル活動中のアトリクス達。
ポーションをかき混ぜている最中、またまた背後から悪寒が走り、連続でクシャミをしている。
「んと…大丈夫、アート君。…風邪?」
「ん?いや…なんだ?また誰か噂してるだろ」
「…寒いのか?アトリクス」
「わっ!アルファルド、抱き着かなくて大丈夫だからっ!」
「…遠慮するな」
「ではこれより、淑女作法部改め殿方達を見守る会を始めさせていただきますわ…」
初めに口を開いたのは議長であるモブ令嬢A。広くないサークル部屋の四角いテーブルを挟み、アカデミアの制服に身を包んだ彼女たちは四方向に座っている。
「それでは、恒例の近状報告にまいりましょう」
上座に座ったモブ令嬢Aが静かに議会が進んでいく。
「はい、議長。わたくしから報告致しますわ」
手を挙げたのはモブ令嬢B。
「えぇ、お願い致しますわ」
モブ令嬢Aが頷くとモブ令嬢Bはその場で立ち上がる。
「最近のレグルス様とルリオン様のご様子ですが、お二方ともお互いのパートナーとなるご令嬢とご一緒なさる場面が殆どでしたわ。ただ、学内の食堂で楽しげ談笑されている姿も見受けられまして…周りの視線を釘付けにしておりましたわ」
モブ令嬢Bは頬を染めてその場面を思い返している。
「わたくしも見ていましたわ。お二人の揃う姿は見る者を引き付けますわね…麗しい午後の一時でしたわ」
「はい、仰る通りですわ」
「その調子で引き続きお願い致しますわ。では、次の方」
ポーッしているモブ令嬢Bを横目に、次に手を挙げたのはモブ令嬢C。
「はい、次はわたくしが報告致します」
「えぇ、どうぞ」
モブ令嬢Cが立ち上がり報告していく。
「近頃のリゲル様とアケルナー様は、リゲル様がペアを組んでらっしゃるスピカ様にお怒りなのか、アケルナー様に文句を溢している姿を良く見かけますわ」
「あら、そうですの?」
「はい。ですが、リゲル様が捲し立てるように文句を言った後、アケルナー様が慰めるようにリゲル様の頭を撫でてましてっ!それをリゲル様が真っ赤になって子供扱いするな、と怒ってらっしゃる姿が微笑ましかったですわ…」
モブ令嬢Cは頬に手を当て、うっとりと目を閉じている。
「まぁ!アケルナー様がリゲル様の頭を……わたくしも拝見したかったですわ…」
「えぇ、是非とも見て頂きたかったですわ」
モブ令嬢Aとモブ令嬢Bがうっとりとしていると、モブ令嬢Dが元気良く挙手をする。
「はい!議長!」
「─ハッ!」
すでに立ち上がり、片手をピンと伸ばしてまた声を上げる。
「はい!議長っ!!」
「失礼致しましたわ。次の方どうぞ」
気を取り直してモブ令嬢Aがモブ令嬢Dを促す。
「アトリクス君と公爵の愛が止まりませんわ!!」
鼻息も荒くモブ令嬢Dが顔を真っ赤にして拳握り締めている。
「え…えぇ、あの二人ですわね…」
「公爵が髪をお切りなり美丈夫に変わってからというもの、アトリクス君との絡みも更に増えまして、公爵は常に背後から腕を回してアトリクス君を愛しそうに抱きしめておりますの!!」
バンッと卓上を叩き、握った拳を震わせて力説している。
「お二人は常時くっつき、公爵は隙きあらばアトリクス君に触れて、アトリクス君も嫌がる素振りすら見せず頬を染めて受け入れてらっしゃる姿が麗しくって…はうぅ!」
興奮しすぎなのかモブ令嬢Dはそのまま机に倒れ込んだ。
「しっかりなさって!ここは淑女作法部ですのよ」
「も、申し訳御座いませんわっ!」
再び立ち上がったモブ令嬢D。
「コホン。アカデミア構内においても郊外実技演習でも、度々公爵がアトリクス君の頬に手を触れ顔を覗き込んでまして、それをアトリクス君が魅了されたかのようにずっと公爵を見つめてますの!もう周りなどまるで見えておらず、お二人の世界に染まっておりましたわっ!!」
モブ令嬢Dは両手を握り頬を上気させると、目を輝かせながらぷるぷると震えている。
「…認めたくありませんが、あの二人の触れ合いは目を奪われますわね。公爵は麗人となりアトリクスと恋仲のようになっておりますわ」
「えぇ!まさにその通りですわ!!お二人の姿は本っ当目の保養になりまして、周りのご令嬢方も密かにお二人を眺めて騒いでいるくらいですものっ!!」
興奮状態のモブ令嬢Dに、モブ令嬢Bとモブ令嬢Cも賛成している。
「えぇ、確かにあのお二人は見ていてうっとり致しますもの」
「そうですわね。お二人とも麗しいですからね」
「そうなんですの!!公爵があれだけの美形でアトリクス君も美少年なので、しかもお互いが愛し合っていますからその触れ合いがたまりませんわっ!!」
モブ令嬢Dがまたまた興奮状態で声を荒げている。
「静粛にっ!静粛にー!!」
「ハッ!わたくしとしたことが…また取り乱してしまいましたわ…」
「お気持ちは察しますが、ここはお淑やかに参りましょうね」
「はい、申し訳御座いませんわ」
モブ令嬢Dが席に座り、ハンカチを出して額の汗を拭っている。
「さて今回も大変充実した収穫がございましたわ!引き続き皆様の報告を楽しみにしております。ではこれにて本日の殿方達を見守る会を終了致しますわ!」
机を囲んでパチパチと盛大な拍手が起こり、日々変化を遂げる淑女作法部は閉幕した。
◇
サークル活動中のアトリクス達。
ポーションをかき混ぜている最中、またまた背後から悪寒が走り、連続でクシャミをしている。
「んと…大丈夫、アート君。…風邪?」
「ん?いや…なんだ?また誰か噂してるだろ」
「…寒いのか?アトリクス」
「わっ!アルファルド、抱き着かなくて大丈夫だからっ!」
「…遠慮するな」
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