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アトリクスとルリオン 2
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いくら美形でも命令口調の俺様主義なのは私の趣味じゃないんだよねー。上から目線もアウト。
ここはハッキリ言ってやらないとダメだね。
「悪いが断る」
「──は?……よく聞こえなかったが…」
「だーかーら、断るっ!!」
ルリオン様は訳がわからないって顔してる。まさか断るなんて思ってないんだよね。
よほど意外だったのか組んでた腕もダラリと外して、信じられないみたいな表情で私を見てるし。
「俺の未来は俺自身が決める。お前がとやかく言う権利はない。そんなに栄誉あることなら他の奴に譲ってやれよ。俺は興味ないからな」
私の言葉を理解できないのか、したくないのか…ルリオン様は依然として同じ表情をしてる。
「…私の耳がおかしいのか?まさか…この提案を蹴るつもりじゃ…」
「あぁ、その通りだ」
今度は私が腕を組んでルリオン様に冷ややかな視線を送る。
「ハッ…貴様は、やはり…その程度か……後で、泣いて縋りついても、今の言葉は取り消せんぞ!」
立ち尽くしたままルリオン様は両手を握り締めて激高してる。
この人って意外と感情の起伏が激しいなぁ。マイアはこういう一面もわかってるのかね?ちょっと不安だよ…。
ま、私とマイアの前じゃ、見せる顔は違うと思うけどさ。
「取り消すつもりもないな…良く聞け。お前の主にもハッキリ言ったが、俺が望む人間はこの世に一人しかいない」
「…何を偉そうに抜かすっ!!」
戯言だと言われようとも自分の意見を変えるつもりはないし。
鋭い視線をルリオン様へと向ける。
「それはお前の慕う皇子様じゃない…皇帝陛下でもない。俺が自分の意思で共にいるのは、この世でただ一人…アルファルドだけだ」
ルリオン様はギリッと歯軋りし、血管が浮き出るくらいキツく手を握り締めてる。
怒るのも最もだと思うけど、あなたの望む通りにはできないよ。
「貴様があの爪弾きと共にいることは不愉快極まりない!アレはいないも同然の輩なんだっ!殿下も前々から気にされていた…貴様が陛下の意思を乱しているとな!平民だからと目を瞑ってきたが、これは反逆に値する行為だ!貴様ごとき平民を秘密裏に消すくらい造作もないっ……わかったら今すぐ奴から離れろっ!!」
肩を震わせ、息を荒げて話すルリオン様。この人って普段はもっと冷静沈着なのに、レグルス様のことになると異常なまでに取り乱すんだよね。
私は静かに聞いてた。
ここで感情を乱すのは相手の思う壺。
ふつふつと怒りは湧いてるけど、怒ることは認めてるのと同義。
私はそんなことしたくない。
「…言いたいことはそれだけか?」
「き、貴様ぁ!!」
禍々しい殺気を身体中に纏わせて、ルリオン様を射竦める。
ルリオン様が冷や汗を流し、焦るように一歩下がって再び木に寄りかかる。
「いいか…お前が今この場で無事に立っていられることを感謝しろっ…例え誰であろうと、アイツを悪く言う奴は俺が赦さない!!」
「……っく!…う…、…あ……なんだ…貴様はっ…!」
これは静かな威嚇。
これ以上とやかく言うならいくらルリオン様でも手加減しないから。
いくら美形でも命令口調の俺様主義なのは私の趣味じゃないんだよねー。上から目線もアウト。
ここはハッキリ言ってやらないとダメだね。
「悪いが断る」
「──は?……よく聞こえなかったが…」
「だーかーら、断るっ!!」
ルリオン様は訳がわからないって顔してる。まさか断るなんて思ってないんだよね。
よほど意外だったのか組んでた腕もダラリと外して、信じられないみたいな表情で私を見てるし。
「俺の未来は俺自身が決める。お前がとやかく言う権利はない。そんなに栄誉あることなら他の奴に譲ってやれよ。俺は興味ないからな」
私の言葉を理解できないのか、したくないのか…ルリオン様は依然として同じ表情をしてる。
「…私の耳がおかしいのか?まさか…この提案を蹴るつもりじゃ…」
「あぁ、その通りだ」
今度は私が腕を組んでルリオン様に冷ややかな視線を送る。
「ハッ…貴様は、やはり…その程度か……後で、泣いて縋りついても、今の言葉は取り消せんぞ!」
立ち尽くしたままルリオン様は両手を握り締めて激高してる。
この人って意外と感情の起伏が激しいなぁ。マイアはこういう一面もわかってるのかね?ちょっと不安だよ…。
ま、私とマイアの前じゃ、見せる顔は違うと思うけどさ。
「取り消すつもりもないな…良く聞け。お前の主にもハッキリ言ったが、俺が望む人間はこの世に一人しかいない」
「…何を偉そうに抜かすっ!!」
戯言だと言われようとも自分の意見を変えるつもりはないし。
鋭い視線をルリオン様へと向ける。
「それはお前の慕う皇子様じゃない…皇帝陛下でもない。俺が自分の意思で共にいるのは、この世でただ一人…アルファルドだけだ」
ルリオン様はギリッと歯軋りし、血管が浮き出るくらいキツく手を握り締めてる。
怒るのも最もだと思うけど、あなたの望む通りにはできないよ。
「貴様があの爪弾きと共にいることは不愉快極まりない!アレはいないも同然の輩なんだっ!殿下も前々から気にされていた…貴様が陛下の意思を乱しているとな!平民だからと目を瞑ってきたが、これは反逆に値する行為だ!貴様ごとき平民を秘密裏に消すくらい造作もないっ……わかったら今すぐ奴から離れろっ!!」
肩を震わせ、息を荒げて話すルリオン様。この人って普段はもっと冷静沈着なのに、レグルス様のことになると異常なまでに取り乱すんだよね。
私は静かに聞いてた。
ここで感情を乱すのは相手の思う壺。
ふつふつと怒りは湧いてるけど、怒ることは認めてるのと同義。
私はそんなことしたくない。
「…言いたいことはそれだけか?」
「き、貴様ぁ!!」
禍々しい殺気を身体中に纏わせて、ルリオン様を射竦める。
ルリオン様が冷や汗を流し、焦るように一歩下がって再び木に寄りかかる。
「いいか…お前が今この場で無事に立っていられることを感謝しろっ…例え誰であろうと、アイツを悪く言う奴は俺が赦さない!!」
「……っく!…う…、…あ……なんだ…貴様はっ…!」
これは静かな威嚇。
これ以上とやかく言うならいくらルリオン様でも手加減しないから。
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