冬来りなば、春遠からじ ~親友になった悪役公爵が俺(私)に求愛してくるけど、どうしたらいい…?

ウリ坊

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アルファルドがイケメンだった件 6

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「あっ、オクタン。明日休みだろ? 前に約束してたし、一緒に買い物行こうぜ」
「んと、うん! えと、今度は……平民街に行くの?」

 気を取り直して、反対側を一緒に歩いてたオクタンに話しかけた。
 前に魔道具屋に行ってから、オクタンとちょいちょいデートしてる。
 オクタンてホント可愛くて、一緒にいるとすっごく楽しいし癒やされるんだよね~。
 買い物行って美味しいもの食べたり、私が普段行かないようなお店も結構知ってて意外と勉強になるんだよね。

「そうだな……この前はオクタンが案内してくれたし、次は俺が案内するよ」
「うん。んと、楽しみだね!」

 オクタンに笑って話しかけた。オクタンもほわっと笑顔で返してくれて、二人で笑ってた。
 オクタンとはある意味両想いだよね。
 私が思う友達とか親友って、オクタンだからなぁ。
 
「…俺も、行く」
 
 そんなほんわかした雰囲気に横から割り込んできたのはアルファルドだった。
 
「ん? ……はっ? 俺も行くって……、お前も一緒に買い物に行くってことか?」
「…あぁ」

 え?! アルファルドもついてくるの!?
 いやいや、この容姿のアルファルドは絶対目立つよ!!

 相変わらず歩きながら肩組んでて、私を真横から見て期待に満ちた顔で答えを待ってる。

 うぅ~、ダメだよ……そんな顔するなんて卑怯だ! このイケメンめっ!
 もう、なんでもいいよって言ってあげたくなっちゃうじゃんかっ!!

 隣で並んで歩いてるオクタンを見ると、ちょっと困ったような顔してて……そうだよね。
 オクタンとしては私と二人で行くって思ってたもんね。

「悪いな、アルファルド。今回はオクタンと二人で行く約束してたから、お前とは一緒に行けない」
「……」

 きっぱり断るとアルファルドはシュンとした顔してて、思わず慰めてあげたくなるけど、そこはグッと堪えた。

「その代わり、次の日は一緒に出掛けようぜ? 前に約束してたしなっ」

 ニッと笑ってアルファルドに誘いをかけると、一気に表情が明るくなって組んでた肩をグイッと引き寄せられる。

「わっ……と!」
「…あぁ、必ずな」

 すぐ真横で目を細めて嬉しそうに微笑んでる。

 はうぅぅ~…。
 と、尊い!! アルファルドが尊過ぎるぅぅっ!!
 もうキュン死にしちゃうから!こんな眩しい笑顔向けられたら、それだけで昇天しちゃいそうだよぉ!!

「お、おぅ……そう……だ……な……」

 精一杯拳握り締めて、絶叫して襲いたい衝動をなんとか抑えてる。

 ハァ……ハァ……、落ち着け……ミラ。

 アルファルドってもう、何してもいちいち格好良くて……その度に胸のドキドキが止まらなくて、心の中で狂ったみたいに悶えてるんだよ!

 親友だからなのか、アルファルドは私の前だと結構表情豊かでさ。
 こんな風に笑うなんて知らなかった。

 おかしいなぁ……こうなる予定じゃなかったのに。なんで計画通りに進まないんだろう。

 やっぱりアルファルドって、すっごく手強い……
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