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番外編
二人の結婚式 前編
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「…ミラ、お前に見せたいものがある」
ある日の朝。
寝起きの私に、アルファルドが突然ベッドの中から話し出した。
「んー……なぁに?」
まだ眠くて、アルファルドの裸の胸元にすり寄りながらむにゃむにゃを返事を返した。
最近忙し過ぎて、夜以外はアルファルドとの時間すら取れてなかったから。
アルファルドにべったりくっつきながら、また夢の国に旅立とうとしてた私を、アルファルドがヒョイッと抱え上げた。
「えっ? ちょっ……どうしたの?」
「…ひとまず風呂だ」
隣接してる浴室に二人でゆっくり浸かって、上がったタイミングでサラとメリダが別室で待ち構えてた。
「さぁ、奥さま! 気合を入れて準備いたしましょう!」
「ふふふっ~、楽しみですわね~!」
「えぇ?? なに? なんのこと??」
アルファルドはいつの間にかどこかに行っちゃって、理由のわからない私は、二人にされるがまま準備とやらを整えてる。
「ねぇ、これから何かあるの? これって、結構なドレスだよ? どこかの要人とのパーティーでもあったっけ??」
普段しないような念入りな化粧に、着ることもないような豪華で綺麗な純白のドレスや装飾……
ベールまで被せられて、両手にはブーケも持たされて……これって、もしかしてもしかしなくても……あれだよね?
「…ミラっ!」
準備が整った私のもとに、いつもと違って真っ白なタキシードを着て髪を上げたアルファルドが入ってきた。
「うわぁ~!! アルファルド!? めちゃくちゃカッコイイ……!!」
「…お前も、とても綺麗だ」
お互い見慣れない格好に、それ以上かける言葉を失ってた。
だってアルファルドって震えるくらいカッコイイんだもん!
こんなに毎日近くで見てるのに、やっぱり見惚れるくらい綺麗な顔してるから、飽きることなんて全然ない。
「えー…、おっほん! そろそろ行きますぞ!」
しばらく二人で見つめ合ってたら、見かねたタウリが間を割って入ってきた。
「行くって、どこへ??」
「…もちろん、俺たちの結婚披露パレードだ」
「え!? 結婚、披露パレードぉ!?」
全く何も聞いてなかった私は、いつの間にか進められてた計画に驚きを隠せなかった。
「アルファルド?! いつの間にそんなこと」
「…お前は俺のために急いで婚姻を決めただろう? 誓いどころか、式の一つも挙げていない。だから、ずっと気になっていたんだ」
「――っ! アルファルド……」
うそっ! めちゃくちゃ嬉しいー!!
アルファルドがそんなこと気にしててくれたなんて!!
私のほうが過ぎたことみたいに気にもしてなかったのに……
「うぅ……お前って、どこまでイケメンなんだよっ!! こんなことされたら、もう泣くしかないだろ!?」
「奥様! 泣いてはお化粧が崩れてしまいます! 今しばらく我慢してくださいませっ!!」
「ささっ、公王様! シリウス様を馬車へと移動させてくださいませっ!!」
せっかく支度をした私が泣いてる姿を見て、慌てたサラとメリダがアルファルドを外へと促してる。
「…あぁ。行くぞ」
アルファルドが私を抱き上げて、その後をタウリがついてきてる。
大公家の邸宅内でも、使用人達が花びらを巻きながら私達を祝福してくれてる。
「公王様! シリウス様! おめでとうございます!!」
「この世界が平和なのも、お二人のおかげです!!」
「公王様! シリウス様ぁ!! お二人は私達の憧れです!!」
「シリウス様! 貴女のおかげで俺たちはどん底から救われました!! 言葉にならないくらい貴女に感謝しております!! ありがとうございます!! 公王様といつまでもお幸せにぃぃ!!!!」
みんな笑ってるのに、泣きながら私達を見送ってくれて、それを見ただけで私もブワッと涙があふれてきちゃった。
みんな……ありがとう……!!
私がこれまでやってきたことは、全部無駄じゃなかったんだ……
泣いちゃダメだって思ってるのに、涙が止まらない。
「…ミラ、こんなにも大勢の人間がお前に感謝している。……だが、その中で一番お前に感謝しているのは、他でもないこの俺だ」
「っ……、アル……ファルド……」
「…お前が俺を救い、惜しみない愛を与えてくれたおかげだ。…お前の想いに応えられるよう、俺も国の頂点として努力する」
「う、ん……うんっ」
「…愛してる。…いつまでも、俺の心を捕らえる者は、お前だけだ」
「――うん!」
アルファルドに抱えられながら、やっぱり涙が止まらなくて……特注の馬車に乗る前にサラとメリダが化粧直ししてくれた。
「お二人とも。とても良くお似合いですよ。こうして旦那様の晴れ姿を見ることができるとは……、長生きするものですね……」
「アート! すごく綺麗だね! 本当にありがとよ……アートのおかげさ……ダメだね。年取ると……、涙もろくてね……」
大公城の入口で待ち構えてたリタさんとベッテルさん。
二人ともハンカチ片手に泣き出しちゃって、アルファルドに抱えられてた私も、降ろしてもらって二人に抱きついた。
「お二人とも、ありがとうございますっ!! アルファルドがここまで立派になれたのも全部お二人のおかげです! 感謝しかないです!! これまでアルファルドを支えてくれてありがとうございました!!!!」
ここでも大号泣しちゃって、もうグズグズだよ。
馬車乗る前からハンカチ1枚駄目にしちゃって、サラとメリダも大変そう。
ようやく屋根のないオープン式の馬車に乗り込んで、大公城を後にする。
首都リブラもものすごい熱気で、街中……っていうか、国中の人たちが集まってるんじゃないかってくらい人で埋め尽くされてる。
「大公様ぁぁ!! シリウス様ぁぁ!! おめでとうございまーす!!」
「シリウス様ぁ!! 大好きですー!! 愛してます!!」
「大公様ー! シリウス様ー! いつまでもお幸せにー!!」
歓声が響く中、ゆっくり馬車がリブラの大通りを走ってて、私とアルファルドは集まってくれた人たちに向かって笑顔で手を振ってる。
前方にはリゲルとアケルナーが馬に乗って馬車を先導してて、後ろからタウリとオクタン、アンカが同じく馬に乗ってついてきてる。
「…ミラ」
「ん? なに?」
沿道に向かって手を振ってたら、隣りにいたアルファルドに急に呼ばれてそのまま腰も引き寄せられた。
「んッ!?」
その瞬間にワァッ!! って大歓声が上がった。
アルファルドが唐突にキスしてきたせいなんだけど……
いや、本当にアルファルドって大勢の前でキスするの好きだよねー……
いい加減私も慣れてきたけど、いや、慣れるのもどうかと思うんだけどさ。
もう周りはワーワーキャーキャーうるさくて、お祭り騒ぎみたいにヒートアップしちゃってるし。
「はぁっ……」
結構長い間キスしてて、唇が離れてアルファルドの綺麗な顔が間近にあって、オッドアイを嬉しそうに細めて私を見つめてる。
うっ……こんなに幸せそうな顔見ちゃったら、何も言えなくなっちゃうよ。
ハァ……、やっぱりアルファルドには敵わないや……
「…ミラ、お前に見せたいものがある」
ある日の朝。
寝起きの私に、アルファルドが突然ベッドの中から話し出した。
「んー……なぁに?」
まだ眠くて、アルファルドの裸の胸元にすり寄りながらむにゃむにゃを返事を返した。
最近忙し過ぎて、夜以外はアルファルドとの時間すら取れてなかったから。
アルファルドにべったりくっつきながら、また夢の国に旅立とうとしてた私を、アルファルドがヒョイッと抱え上げた。
「えっ? ちょっ……どうしたの?」
「…ひとまず風呂だ」
隣接してる浴室に二人でゆっくり浸かって、上がったタイミングでサラとメリダが別室で待ち構えてた。
「さぁ、奥さま! 気合を入れて準備いたしましょう!」
「ふふふっ~、楽しみですわね~!」
「えぇ?? なに? なんのこと??」
アルファルドはいつの間にかどこかに行っちゃって、理由のわからない私は、二人にされるがまま準備とやらを整えてる。
「ねぇ、これから何かあるの? これって、結構なドレスだよ? どこかの要人とのパーティーでもあったっけ??」
普段しないような念入りな化粧に、着ることもないような豪華で綺麗な純白のドレスや装飾……
ベールまで被せられて、両手にはブーケも持たされて……これって、もしかしてもしかしなくても……あれだよね?
「…ミラっ!」
準備が整った私のもとに、いつもと違って真っ白なタキシードを着て髪を上げたアルファルドが入ってきた。
「うわぁ~!! アルファルド!? めちゃくちゃカッコイイ……!!」
「…お前も、とても綺麗だ」
お互い見慣れない格好に、それ以上かける言葉を失ってた。
だってアルファルドって震えるくらいカッコイイんだもん!
こんなに毎日近くで見てるのに、やっぱり見惚れるくらい綺麗な顔してるから、飽きることなんて全然ない。
「えー…、おっほん! そろそろ行きますぞ!」
しばらく二人で見つめ合ってたら、見かねたタウリが間を割って入ってきた。
「行くって、どこへ??」
「…もちろん、俺たちの結婚披露パレードだ」
「え!? 結婚、披露パレードぉ!?」
全く何も聞いてなかった私は、いつの間にか進められてた計画に驚きを隠せなかった。
「アルファルド?! いつの間にそんなこと」
「…お前は俺のために急いで婚姻を決めただろう? 誓いどころか、式の一つも挙げていない。だから、ずっと気になっていたんだ」
「――っ! アルファルド……」
うそっ! めちゃくちゃ嬉しいー!!
アルファルドがそんなこと気にしててくれたなんて!!
私のほうが過ぎたことみたいに気にもしてなかったのに……
「うぅ……お前って、どこまでイケメンなんだよっ!! こんなことされたら、もう泣くしかないだろ!?」
「奥様! 泣いてはお化粧が崩れてしまいます! 今しばらく我慢してくださいませっ!!」
「ささっ、公王様! シリウス様を馬車へと移動させてくださいませっ!!」
せっかく支度をした私が泣いてる姿を見て、慌てたサラとメリダがアルファルドを外へと促してる。
「…あぁ。行くぞ」
アルファルドが私を抱き上げて、その後をタウリがついてきてる。
大公家の邸宅内でも、使用人達が花びらを巻きながら私達を祝福してくれてる。
「公王様! シリウス様! おめでとうございます!!」
「この世界が平和なのも、お二人のおかげです!!」
「公王様! シリウス様ぁ!! お二人は私達の憧れです!!」
「シリウス様! 貴女のおかげで俺たちはどん底から救われました!! 言葉にならないくらい貴女に感謝しております!! ありがとうございます!! 公王様といつまでもお幸せにぃぃ!!!!」
みんな笑ってるのに、泣きながら私達を見送ってくれて、それを見ただけで私もブワッと涙があふれてきちゃった。
みんな……ありがとう……!!
私がこれまでやってきたことは、全部無駄じゃなかったんだ……
泣いちゃダメだって思ってるのに、涙が止まらない。
「…ミラ、こんなにも大勢の人間がお前に感謝している。……だが、その中で一番お前に感謝しているのは、他でもないこの俺だ」
「っ……、アル……ファルド……」
「…お前が俺を救い、惜しみない愛を与えてくれたおかげだ。…お前の想いに応えられるよう、俺も国の頂点として努力する」
「う、ん……うんっ」
「…愛してる。…いつまでも、俺の心を捕らえる者は、お前だけだ」
「――うん!」
アルファルドに抱えられながら、やっぱり涙が止まらなくて……特注の馬車に乗る前にサラとメリダが化粧直ししてくれた。
「お二人とも。とても良くお似合いですよ。こうして旦那様の晴れ姿を見ることができるとは……、長生きするものですね……」
「アート! すごく綺麗だね! 本当にありがとよ……アートのおかげさ……ダメだね。年取ると……、涙もろくてね……」
大公城の入口で待ち構えてたリタさんとベッテルさん。
二人ともハンカチ片手に泣き出しちゃって、アルファルドに抱えられてた私も、降ろしてもらって二人に抱きついた。
「お二人とも、ありがとうございますっ!! アルファルドがここまで立派になれたのも全部お二人のおかげです! 感謝しかないです!! これまでアルファルドを支えてくれてありがとうございました!!!!」
ここでも大号泣しちゃって、もうグズグズだよ。
馬車乗る前からハンカチ1枚駄目にしちゃって、サラとメリダも大変そう。
ようやく屋根のないオープン式の馬車に乗り込んで、大公城を後にする。
首都リブラもものすごい熱気で、街中……っていうか、国中の人たちが集まってるんじゃないかってくらい人で埋め尽くされてる。
「大公様ぁぁ!! シリウス様ぁぁ!! おめでとうございまーす!!」
「シリウス様ぁ!! 大好きですー!! 愛してます!!」
「大公様ー! シリウス様ー! いつまでもお幸せにー!!」
歓声が響く中、ゆっくり馬車がリブラの大通りを走ってて、私とアルファルドは集まってくれた人たちに向かって笑顔で手を振ってる。
前方にはリゲルとアケルナーが馬に乗って馬車を先導してて、後ろからタウリとオクタン、アンカが同じく馬に乗ってついてきてる。
「…ミラ」
「ん? なに?」
沿道に向かって手を振ってたら、隣りにいたアルファルドに急に呼ばれてそのまま腰も引き寄せられた。
「んッ!?」
その瞬間にワァッ!! って大歓声が上がった。
アルファルドが唐突にキスしてきたせいなんだけど……
いや、本当にアルファルドって大勢の前でキスするの好きだよねー……
いい加減私も慣れてきたけど、いや、慣れるのもどうかと思うんだけどさ。
もう周りはワーワーキャーキャーうるさくて、お祭り騒ぎみたいにヒートアップしちゃってるし。
「はぁっ……」
結構長い間キスしてて、唇が離れてアルファルドの綺麗な顔が間近にあって、オッドアイを嬉しそうに細めて私を見つめてる。
うっ……こんなに幸せそうな顔見ちゃったら、何も言えなくなっちゃうよ。
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