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リブラ星夜祭 10
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みんなで朝食を食べ終わって、今度は帰る準備をしてる。手伝おうとしてたのにまた止められて、仕方ないから外に出て湖見てた。
周りの木を綺麗にしたから歩きやすくなったし、やっぱりすごく透明度が高くて綺麗。
また風を操って周辺に落ちてた細かい枝とか葉っぱを浮かせて、湖の畔に一箇所に集めてまとめた。
暇だったから風魔法を起こして湖の水を巻き上げたりして遊んでた。
これってかなり難しいんだよね。
小さな竜巻みたいな風を発生させて水を巻き込んでいくんだけど、補助魔法だから風の強さ加減を間違えると霧散しちゃうし。
「…アトリクス!」
私が遊んでると、またアルファルドが急いで走って来た。
「ん? どうしたの?」
そのままの勢いで私の元まで来て抱きしめて、また湖を見てる。
「あー……、もしかして、また?」
「……」
アルファルドって、どうしても私を女神様にしたいみたいだね。
湖を目の前に、アルファルドが無言で私が消えないように、庇うように身体を抱きしめてくれてる。
これって、アルファルドは私に居なくなって欲しくないって事でしょ?
もう、それだけで嬉しくて仕方ないんだよ?
わからないでしょ。
「バレたら仕方ないね。ごめんなさい……私……もう、行かないと……」
それっぽく悲しげな顔をしながら、アルファルドから身体を離す。
アルファルドはすごく焦ったみたいに、力強く抱きしめてくれて、回される腕に必死差が伺えて……アルファルドの腕の中で優越感を満喫してた。
「…ダメだ」
「なんでダメなの?」
「…お前が居なくなると……」
「うん! なに!?」
「………」
「ねぇ、何で黙っちゃうの!? その先はなんて言おうとしたの?!」
問い正すけど……アルファルドは抱きしめたままそっぽ向いてる。
友達だから恥ずかしくて言えないよね。
アルファルドにとって私は友達にしかなれない。私もそれを望んでる筈なのに。
ハァ……中途半端に一線超えちゃうとダメだな……
「…アトリクス……、お前、からかってるのか……」
「ハハッ、まさか」
「……」
黙ったままだけど、私を抱きしめてる腕を離したりはしなかった。私もアルファルドの背中に手を回して、顔を胸元に擦りつけた。
アルファルドには悪いけど、これを利用しない手はないよね。
湖の女神様ごめんなさい。ちょっとフリだけさせてもらいます。
「ごめんね、アルファルド。アルファルドとたくさん一緒にいれてすごく嬉しいの。こうして抱きしめてくれて、幸せ過ぎなのに……もっと先まで求めそうで……」
「…先?」
「うん。アルファルドの全部が欲しくて……今朝も襲っちゃったけど、今しかできない事だったから許してね……」
「……」
「でも、これ以上貴方の側にいると……やっぱりダメみたい……」
「…アト……リクス?」
アルファルドの胸に手を当てて、身体を離した。
アルファルドはまだ背中に手を回してて、不安そうに私のことを見てる。
私は両手を伸ばしてアルファルドの頬に手を添えて、自分の方へと引き寄せた。
つま先立ちして、アルファルドの形の良い薄い唇に、自分の唇をそっと重ねる。
「――!」
本当に触れるだけの軽いキス。
初めて触れるアルファルドの唇は意外と柔らかくて……、フニュッとした感触がたまらない。
心臓もすごくドキドキしてて、でもこんな軽いキスじゃ物足りない気持ちになっちゃう。
名残惜しいけど数秒ですぐ離して、ニコッと笑ってアルファルドから離れた。
風魔法を自分の周りに発生されて、さっきまとめた落ち葉や木の葉を巻き込んで、目隠しをするくらいの小さな竜巻を起こす。
「さよなら。アルファルド……」
「アトリクスっ!」
身体強化を使って一気に地面を蹴って、上空へと飛んだ。
公爵邸の屋根まで飛び移って、湖の畔にいるアルファルドに目をやった。
アルファルドは木の葉や落ち葉がハラハラと落ちてくる中、風に揺らめく湖を呆然と見つめてる。
よしっ、成功ーー!!
パパッと服を叩いて、風魔法で体の周りの葉っぱを落とす。
屋根の上から空いてたアルファルドの部屋の窓に侵入して中に入った。
急いで自分の荷物から男物の服と愚者の輪を出して付けて、素早く着替えて髪も一本に縛ってアトリクスへに変身していく。
そしてなに食わぬ顔で窓からアルファルドに声をかけた。
「アルファルドー、何してんだ?」
部屋の中からアルファルドを呼ぶと、まだ湖を見てたアルファルドはビクッとしたように後ろを振り向いて、公爵邸を見上げた。
「…あ、アトリクス? 男に、戻ったのか!?」
「ん? 朝から戻ってただろ?」
「…! だが……今、女のお前がここに……」
「ハハッ、何言ってんだよ。俺はずっとここにいたぞ?」
「――」
私の言葉を聞いてアルファルドはまた湖を振り返って、静かになった水面をジッと眺めてた。
ごめんね、アルファルド。
騙すような事しちゃって……ただでさえ初めから騙してるのに。
でも、こうしないと友達の状態に戻れないから。
あんな事があったのに、友達面して側にはいられない。
ミラにはもうならないから……だから、最後にアルファルドとの思い出が欲しかった。
もうこんなことはしないよ。
ちゃんと友達に戻るから――
アルファルドの部屋の窓から、私もしばらくキラキラ光る湖を眺めてた。
みんなで朝食を食べ終わって、今度は帰る準備をしてる。手伝おうとしてたのにまた止められて、仕方ないから外に出て湖見てた。
周りの木を綺麗にしたから歩きやすくなったし、やっぱりすごく透明度が高くて綺麗。
また風を操って周辺に落ちてた細かい枝とか葉っぱを浮かせて、湖の畔に一箇所に集めてまとめた。
暇だったから風魔法を起こして湖の水を巻き上げたりして遊んでた。
これってかなり難しいんだよね。
小さな竜巻みたいな風を発生させて水を巻き込んでいくんだけど、補助魔法だから風の強さ加減を間違えると霧散しちゃうし。
「…アトリクス!」
私が遊んでると、またアルファルドが急いで走って来た。
「ん? どうしたの?」
そのままの勢いで私の元まで来て抱きしめて、また湖を見てる。
「あー……、もしかして、また?」
「……」
アルファルドって、どうしても私を女神様にしたいみたいだね。
湖を目の前に、アルファルドが無言で私が消えないように、庇うように身体を抱きしめてくれてる。
これって、アルファルドは私に居なくなって欲しくないって事でしょ?
もう、それだけで嬉しくて仕方ないんだよ?
わからないでしょ。
「バレたら仕方ないね。ごめんなさい……私……もう、行かないと……」
それっぽく悲しげな顔をしながら、アルファルドから身体を離す。
アルファルドはすごく焦ったみたいに、力強く抱きしめてくれて、回される腕に必死差が伺えて……アルファルドの腕の中で優越感を満喫してた。
「…ダメだ」
「なんでダメなの?」
「…お前が居なくなると……」
「うん! なに!?」
「………」
「ねぇ、何で黙っちゃうの!? その先はなんて言おうとしたの?!」
問い正すけど……アルファルドは抱きしめたままそっぽ向いてる。
友達だから恥ずかしくて言えないよね。
アルファルドにとって私は友達にしかなれない。私もそれを望んでる筈なのに。
ハァ……中途半端に一線超えちゃうとダメだな……
「…アトリクス……、お前、からかってるのか……」
「ハハッ、まさか」
「……」
黙ったままだけど、私を抱きしめてる腕を離したりはしなかった。私もアルファルドの背中に手を回して、顔を胸元に擦りつけた。
アルファルドには悪いけど、これを利用しない手はないよね。
湖の女神様ごめんなさい。ちょっとフリだけさせてもらいます。
「ごめんね、アルファルド。アルファルドとたくさん一緒にいれてすごく嬉しいの。こうして抱きしめてくれて、幸せ過ぎなのに……もっと先まで求めそうで……」
「…先?」
「うん。アルファルドの全部が欲しくて……今朝も襲っちゃったけど、今しかできない事だったから許してね……」
「……」
「でも、これ以上貴方の側にいると……やっぱりダメみたい……」
「…アト……リクス?」
アルファルドの胸に手を当てて、身体を離した。
アルファルドはまだ背中に手を回してて、不安そうに私のことを見てる。
私は両手を伸ばしてアルファルドの頬に手を添えて、自分の方へと引き寄せた。
つま先立ちして、アルファルドの形の良い薄い唇に、自分の唇をそっと重ねる。
「――!」
本当に触れるだけの軽いキス。
初めて触れるアルファルドの唇は意外と柔らかくて……、フニュッとした感触がたまらない。
心臓もすごくドキドキしてて、でもこんな軽いキスじゃ物足りない気持ちになっちゃう。
名残惜しいけど数秒ですぐ離して、ニコッと笑ってアルファルドから離れた。
風魔法を自分の周りに発生されて、さっきまとめた落ち葉や木の葉を巻き込んで、目隠しをするくらいの小さな竜巻を起こす。
「さよなら。アルファルド……」
「アトリクスっ!」
身体強化を使って一気に地面を蹴って、上空へと飛んだ。
公爵邸の屋根まで飛び移って、湖の畔にいるアルファルドに目をやった。
アルファルドは木の葉や落ち葉がハラハラと落ちてくる中、風に揺らめく湖を呆然と見つめてる。
よしっ、成功ーー!!
パパッと服を叩いて、風魔法で体の周りの葉っぱを落とす。
屋根の上から空いてたアルファルドの部屋の窓に侵入して中に入った。
急いで自分の荷物から男物の服と愚者の輪を出して付けて、素早く着替えて髪も一本に縛ってアトリクスへに変身していく。
そしてなに食わぬ顔で窓からアルファルドに声をかけた。
「アルファルドー、何してんだ?」
部屋の中からアルファルドを呼ぶと、まだ湖を見てたアルファルドはビクッとしたように後ろを振り向いて、公爵邸を見上げた。
「…あ、アトリクス? 男に、戻ったのか!?」
「ん? 朝から戻ってただろ?」
「…! だが……今、女のお前がここに……」
「ハハッ、何言ってんだよ。俺はずっとここにいたぞ?」
「――」
私の言葉を聞いてアルファルドはまた湖を振り返って、静かになった水面をジッと眺めてた。
ごめんね、アルファルド。
騙すような事しちゃって……ただでさえ初めから騙してるのに。
でも、こうしないと友達の状態に戻れないから。
あんな事があったのに、友達面して側にはいられない。
ミラにはもうならないから……だから、最後にアルファルドとの思い出が欲しかった。
もうこんなことはしないよ。
ちゃんと友達に戻るから――
アルファルドの部屋の窓から、私もしばらくキラキラ光る湖を眺めてた。
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